日本で暮らす避難民の方たち 直面する課題を語る
7月29日金曜日、日本財団は、避難民の方たちへの生活費支援を1,000人から2,000人に増やすことを発表しました。記者発表では、避難民の方たちから、日本での生活の現状が語られました。
記者発表では、幼い子ども2人と母親を連れて3月26日に日本に避難してきたムリヤフカ・ナタリアさん(神奈川県在住)が登壇しました。
来日当初は、やはり非常に戸惑ったそうです。言葉ができないし、知っている人が全くいないという困難に直面しました。
ウクライナで周りの友達と引き離されることになった子どもたち(ミロスラヴァちゃん6歳・ヴラジスラヴァちゃん3歳)のことも、とても気がかりでした。ナタリアさんは、2人の子どもを地元の学校と保育園に通わせています。ウクライナにいるときはダンスを習っていた長女のミロスラヴァちゃんは、周りの人たちのサポートのお陰で体操教室やプールに通い始めたとのことです。
住居も大きな課題です。ナタリアさん家族はスーツケース一つで日本に避難してきました。現在は身元保証人になってくれた叔母さんの家で暮らしていますが、やはりいずれは3人で暮らしたいという希望をもっています。今後は、日本財団の支援を活用してアパートを借りる計画を立てています。
2007年から日本で暮らすスヴィドラン・オレナさん(埼玉県在住)は、今回の侵攻を受け、母親イリーナさんをウクライナから日本に呼び寄せました。
イリーナさんは避難直後の1カ月は家に閉じこもったきりでした。最近は少しずつ、コンビニやスーパーに買い物にも出かけるようになってくれているそうです。
オレナさんは、お母さんに一番必要なのはこの社会における「居場所」だと語りました。日本語のオンライン授業を受けて、少しずつ日本語を理解するようになってきたイリーナさんに、日本語の壁を乗り越えて「居場所」を見つけていってもらいたいと願っています。
ナタリアさんとオレナさんの言葉からは、「言葉」「人間関係」「住まい」と様々なことについて不安を感じながらも、日本で必死に暮らしておられる避難民の方たちのご様子がうかがえました。
日本財団では、日本で生活する避難民を支える活動に対して、できるだけ多くの方たちに参加していただきたいと願っております。
あらためて皆さまからの温かいご支援をお願い申し上げます。
ドネーション事業部 橋本朋幸
日本で生きていくという選択肢を、ウクライナの人々へ。
日本財団では、ウクライナ避難民支援を行う各団体への助成プログラムのほか、これまで独自でウクライナ避難民支援も行い、合計1,428名(2022年10月26日時点)に渡航費・生活費・住環境整備費支援を行ってきました。
また、日本に避難してきたウクライナの人々へさらなる支援を行うため、ウクライナ避難民支援基金を開設しています。いただいたご寄付はウクライナ避難民の皆さんが安心して生活を送り、地域に溶け込むことができるように、日本語学習の支援、生活相談窓口、物資の配布(交通系ICカード等)、地域イベントでの交流などに使われる予定です。