おもちゃセット「あそびのむし」に子どもたちの反応は?認定NPO法人 芸術と遊び創造協会

心がときめく宝物のような時間

難病の子どもたちに、おもちゃの時間をもち、わくわく、どきどきしてほしいという想いが込められたおもちゃセット「あそびのむし」。その第2弾では、第1弾の声を元に厳選したおもちゃに加えてオリジナルの木のおもちゃが新たに制作され、全国150の病院や施設に贈られました。これを受け取った子どもたちはどんな反応をみせたのでしょう。支援施設にお話を聞きました。

NPO法人みらい予想図「重症児デイサービスいっぽ」は高知県にある重症心身障害児を受け入れる施設。呼吸器を付けているなど、重度の障害のある就学前の子どもたちが通っています。

副施設長の小笠原沙和さんは、あそびのむしのおもちゃで遊ぶ子どもたちの姿に驚いたといいます。

「触覚や音に敏感なお子さんが多いのですが、おもちゃに触れてもいつもは手を引っ込めてしまう子がずっとおもちゃを撫でていたり、音を避けていた子が木の音色が優しいからか不快な表情を見せなかったりと、木の温もりや手触りはこんなにも子どもへの伝わり方が違うのかと驚きました」。

「また、自分で手を伸ばすことが難しい子も多いのですが、じっと目で追っている子がいて、『すごく見ているね!』とみんなで感激しました。その子なりに不思議に思って、すごい発見をしているんだろうな。表情には出なくても、頭の中でいろいろなことを考えているんだろうな」。そう小笠原さんは感じています。

おもちゃ遊びは子どもたちにとって、わくわく、どきどき、心がときめく宝物のような時間になっているのかもしれません。

「重い障害がある子どもたちがいる施設ですが、その子たちなりに楽しく遊べることがたくさんの方に伝わったらいいなと思っています」。

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回転式ドラムの心地よい音は子どもたちの好奇心と興味を引き出しました
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音がでるもの、見た目が分かりすいものに子どもたちは関心を示します

おもちゃとの出会いが生きる力に

あそびのむしがきたことで、遊びの選択肢が増えて遊びの質も変わったといいます。もともとは予算の関係もあって選択肢が少なかったのが、子どもが好きなおもちゃを選んで遊ぶ環境ができたことも大きな変化でした。

「食事の注入をしている子どもに、逆流しないようゆっくりと1時間半かけて注入をする間、これまではその子に合わせた手遊びなどをしていましたが、オルゴールや回転式ドラムなど音が出る遊びの引き出しが増えました」。

回転式ドラムを回すとほかの子も興味をもち、みんなで輪になるなど、友達とのかかわりや遊びが生まれることも。

「おもちゃに触れることでいろいろなことに気付いたり、楽しいと思うことでこつこつと遊びに取り組むことができるようになり、集中力がついたり遊びの持続時間が延びるなど、その子なりに楽しんでいく、人生を豊かにする土台になるのではないかと思っています」。

遊びを通じて子どもたちは生きる力を育みます。大好きなおもちゃとの出会いがその大事な大事な一歩になっています。

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お気に入りのおもちゃをかかえて
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木のおもちゃの優しい感触が心地よいね

お披露目会、イベントを開催

群馬県で活動する社会福祉法人あい「児童デイゆーふる」は、障害のある子どもたちの生活介護事業と放課後等デイサービスの事業を行っています。あそびのむしのお披露目会や遊びのイベントを開催するなど、あそびのむしを大切に活用されている様子を伺いました。

「あそびのむしが届いた時は、おもちゃ1つ1つにメンバーの顔が浮かび、これはあの子が使えそうだよね、これはあの子に…と夢が膨らみました。お母さんたちにご協力いただいて箱から取り出す作業を一緒にしたのですが、『〇ちゃんはこれが好きなんじゃない?』と話して盛り上がりました」と施設長の横川美紀さんは目を細めます。

「あそびのむしのお披露目会では、子どもたちにカーテンの後ろにいてもらい、おもちゃの箱を部屋の中央に配置してからカーテンをオープン! 子どもたちの表情がぱっと明るくなりました。一人一人がおもちゃを選び、遊びだして、お気に入りが大好きに変化して『もっとやりたい!』となりました」。

「あそびのむし」コーナーを常設したところ、「これで遊びたい」と気持ちを伝えるようになったり、友達の好きなおもちゃを出してあげて一緒に遊ぶなど、新しいコミュニケーションも生まれています。

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贈られてきた箱をデコレーションして「あそびのむしコーナー」が誕生しました

みんなで「あそびのむし」を楽しもう!

2024年1月に「あそびのむしで遊ぼう」というイベントを開催。親、きょうだい、学校の先生も参加して、みんなで遊び方を考えるなど、普段はない交流もできて「新鮮だった、すごく楽しかった」と大変好評でした。

「レクリエーションにあそびのむしの時間を作ったり、音楽療法にあそびのむしの楽器を取り入れるなど、楽しんでいます」。今後もあそびのむしを使ったイベントを定期的に行い、様々な形で活用していきたいと横川さんは考えています。

「あれだけたくさんの中からおもちゃを選べるのはすごいことです。自分で好きなものを選べる力がこんなにもあったということ、興味関心を持ち遊び続けられることに気付かされました」。横川さんは子どもたちの持つ力に驚き、おもちゃの可能性を感じたといいます。

「ここに通う子どもたちはみんな何かしらの病気や障害を抱えていますが、児童デイゆーふるでは、どれだけ楽しく過ごしてもらえるかを考えて、一瞬一瞬に全力投球し、子どもたちにやりきった満足の表情で帰ってもらっています。あそびのむしがきて遊びの幅が増えてとてもありがたい。多くの人に広めたいし、活用していきたいです」。

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ハンドルを回して音を奏でる「マジカルハンドルカードオルゴール」に耳を傾ける男の子たち。このおもちゃは大人気で箱から出すと子どもたちが集まってきます

「難病の子どもと家族を支えるプログラム」

日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラムでは、日本全国に難病の子どもと家族の笑顔を増やしていきます。

認定NPO法人 芸術と遊び創造協会

「日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラム」に興味をお持ちの方は、ぜひ難病児支援ページをご覧ください。

文責 ライター 玉井 肇子
日本財団 公益事業部 子ども支援チーム