小さなアクションが未来を変える!地建工業の取り組み①日本財団チャリティー自販機で「寄付」と「災害への備え」を同時実現
山梨県甲府市で防災を通じた地域貢献活動に注力する地建工業株式会社。防災公園や災害用資機材の整備、キッチンカーや防災イベントの開催など、社員発のアイデアを生かして様々な取り組みを行っています。2023年には日本財団チャリティー自販機を山梨県の民間の総合建設企業として初導入。災害時には飲料の無償提供も可能な「防災型自販機」として地域の皆さんの認知も進んでいます。地域住民と協力しながら、地域の防災力向上に貢献する同社の取り組みをリポートします。
災害から地域の安全を守りたい~地元企業が支える地域の防災力
水害の多い日本では、毎年のように大雨や台風により河川の氾濫や堤防の決壊、土砂崩れなど大きな被害が起きています。山梨県甲府市の郊外、笛吹川と荒川の合流地点に位置する大里(おおさと)地区も、度重なる水害に悩まされてきた水害常襲地帯。この地区では以前から官民協働による水害に強い街づくりが進められてきました。

その中心的役割を果たしているのが、同地区に本社を構える地建工業株式会社です。大正時代創業の同社は長年にわたって、主に山梨県内の河川工事や道路工事などの公共事業に従事するかたわら、様々な地域貢献活動に全社を挙げて取り組んできました。
「公共工事をメイン事業とする当社にとって地域貢献は、ごく当たりまえの活動です。地域の安全と発展なしに当社発展もありません」と同社の松村公二会長。「地域に根差した企業として、この街の笑顔と未来を支え続けることを宣言し、SDGs活動にも取り組んでいます」と話します。

特に地域の防災・減災への取り組みには力を入れており、2023年8月には甲府市や地元自治会連合会と水害や地震などの災害が発生した際に甲府市などが行う応急活動への支援を盛り込んだ協定書を取り交わしました。同社が取り組む主な災害支援活動には次のようなものがあります。
1. 防災公園の整備

2023年には本社から車で数分のガソリンスタンド跡地を買い取り、救護室や公衆トイレを備えた防災公園(約570㎡)を自社で整備、「CHIKEN防災プラザ / 甲府市災害協定締結指定避難公園」として開放する。
2. 防災資機材の保有・提供
本社敷地内の倉庫に発電機や工具など災害用の資機材を豊富に備え、災害時には地域での救援活動や避難所での活動に提供する。

3. 備蓄食料の提供・キッチンカーによる食事提供

本社敷地内に大型冷蔵庫のある食糧備蓄庫とキッチンを完備し、災害時には被災者のための炊き出しを行う。
キッチンカーも保有し、災害時に温かい食事を避難所等に届ける。
4. ドローンによる危険箇所のリアルタイム中継
免許を保有する社員がドローンを操縦し、撮影した映像をリアルタイムでオンライン配信、危険箇所を確認できるシステムを無料で開放する。災害時のみでなく、冬季には積雪・凍結状況を撮影・配信して交通安全や児童の登下校時の安全確保に役立てている。

5. 防災イベントへの協賛・協力
地域で行われる防災イベントには積極的に協賛・協力し、防災士・危機管理士の資格をもつ社員による出張セミナーや防災訓練の実施などを行う。

気軽に寄付ができる!「防災型チャリティー自販機」の設置で地域との絆がより深く

こういった取り組みの多くは会長からのトップダウンで行われたものではなく、社員から寄せられた意見やアイデアを実現したものです。社員を代表して地域貢献活動をけん引するのが、会長の娘で同社取締役CAOの松村舞子さんです。
舞子さんは自ら地域の消防団で活動するほか、防災士や食品衛生責任者など災害時に役立つ資格を取得。常に新たな情報を収集し、万が一のときに地建工業が地域の防災拠点としての役割を果たせる体制の構築・維持に努めています。

2023年6月、山梨県内の企業で初となる日本財団チャリティー自販機を本社敷地内と「CHIKEN防災プラザ」内に設置したのも舞子さんの発案によるもの。チャリティー自販機はドリンク1本の購入につき10円が「日本財団子どもサポート基金」など日本財団が実施する社会貢献プロジェクトに寄付される自販機で、全国に約8,200台が設置されています。
地建工業が設置した自販機は、災害時に停電しても乾電池で作動し、無料で飲み物を取り出すことができる災害支援型のもの。設置を決めた理由について、舞子さんは「災害時に無料で近隣住民に提供ができるような自動販売機を探しているとき、日本財団のHPでチャリティー自販機の存在を知って、シンプルな寄付の仕組みがすごく良いなと思いました。自販機の利用をきっかけに、近隣にお住いの皆さんに地建工業が防災拠点になっていることや、災害時に地建工業に行けば食料や飲み物の支援が受けられることを知ってもらいたいと思って、自社での設置を決めました」と話します。
「日本財団さんとはそれまで直接やりとりをしたことはなかったのですが、ホームページのお問い合わせフォームから連絡を入れると、すごく迅速かつ丁寧に対応してくださったので、安心して手続きを進めることができました」。

地域住民とともに「支援の気持ち」を能登の被災地へ
日本財団チャリティー自販機設置から約2年。今では地域の皆さんの認知度も上がり、中には毎日のように利用される方もいるそうです。「毎日散歩がてら買いに来てくださる方、通勤の途中にわざわざ車を停めて買いに来てくださる方もいらっしゃいます。『同じ買うなら、少しずつでも社会に貢献できるものを買いたいから』っておっしゃる方が多いですね」。
「社会貢献活動を通じて地域の方と接したり、話したりする機会が増えました。少しずつですが、地域の皆さんとの絆が深まっているのを実感でき、とても嬉しいです」と語る舞子さん。地域の皆さんとの会話から地域の課題に気づかされ、次の取り組みに繋がることも多いそうです。2024年1月に発生した能登半島地震では、これまでの経験や地域との信頼関係を生かし、同社と地域が一丸となって能登の被災地を支援する取り組み「SAKURAまるしぇ」が行われました。
「小さなアクションが未来を変える!地建工業の取り組み②~地域イベントで能登の被災地を応援」
に続く