「拾う」から「生まない」へ 海ごみ問題を“自分ごと”にする「うみごme」プロジェクト
海ごみの抑制に挑戦する「うみごme」による対話型展示イベントの第2弾「みんなのうみごmeコンテスト &うみごme展」が、2026年2月21日に神奈川県鎌倉市のイトーヨーカドー大船店で開催されました。
ごみを生み出す“ひとの気持ち”を可視化しよう!

「うみごme」による本展示イベントは、日本財団と特定非営利活動法人イシュープラスデザインが連携し、株式会社イトーヨーカ堂からのご寄付を原資に実施しているものです。2025年10月にイトーヨーカドーアリオ川口店で初めてイベントを開催し、話題を呼びました。

2回目となった今回のイベントでは、イトーヨーカドー大船店の一角に設けられた特設会場で、「みんなのうみごme展」を開催。参加者が自分の中にある“ごみにつながる気持ち”をキャラクターとして描き出すワークショップを行いました。
参加者は、海ごみにつながる気持ちをキャラクターとして表現した「うみごme」の紹介パネルを見たあとで、自分のなかにある「うみごme」の姿を用意されたクレヨンや色鉛筆で描いていきます。
イベントに参加した子は「頑張って描いて楽しかったです。ごみとお別れする方法は難しいと思いました」と話し、保護者からは「普段何気なく見ている道端のごみも、かわいく思えるようなワークショップでした。子どもと一緒に参加したことで、普段はあまり話すことのない環境保全についても話すきっかけになりそうです」といった声が。
作品づくりを通して自然と会話が生まれ、「なぜ海にごみが流れ着くのか」「自分たちにできることは何か」を考える時間となりました。


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「うみごme」のキャラクターデザインを手がけた、イシュープラスデザインの土屋はるなさんは、今回の手応えについて次のように話します。「ごみ問題というと、どうしても“正解を学ぶ場”になりがちです。でも、キャラクターにすることで、自分の中の気持ちを客観的に見つめ直すことができる。子どもたちが楽しみながらも『あ、これ自分かも』と気づく瞬間が生まれていたのが印象的でした」。

さらに、スーパーという日常の空間で実施した意義についてもこう続けます。「特別なイベント会場ではなく、普段の買い物の場だからこそ、よりリアルに“自分ごと”として考えられる。親子の会話が自然に生まれ、学びがそのまま日常につながっていく感覚がありました」。
みんなの心の中にいる「うみごme」

会場には、これまで開催した全国各地でのごみ拾いワークショップの中で参加者の方が描いたイラストも展示されました。並んだのは、子どもから大人まで、さまざまな世代が描いた「うみごme」たち。
「ついポイ捨てしてしまう気持ち」「便利さを優先してしまう心」「楽な方法を選んでしまう自分」など、それぞれの内面がユーモラスに表現されています。どの作品にも共通しているのは、誰かを責めるのではなく、「自分の中にある気持ち」として描かれていること。
「食べるつもりだったのに・・・ごみ」
「意図的に忘れる傘ごみ」
「Myバッグ持参しないごみ」などなど。
日常の具体的な行動と結びついたイラストを前に、来場者からは「わかる、わかる!」「自分も経験ある」といった共感の声が聞かれました。
海ごみ問題解決の第一歩は、他人ごとの問題を自分の問題にすること

「うみごme」プロジェクトのリーダーを務めるイシュープラスデザインの白木彩智さんは、立ち上げの背景を次のように語ります。「海ごみの現場を取材し、清掃活動を続けている方々の話を聞く中で見えてきたのは、『拾っても拾ってもなくならない』という現実でした。回収の取り組みはもちろん大切です。しかし、それだけでは追いつきません。大事なのは、そもそも『ごみが生まれないようにすること』ではないかと考えました」。
では、海ごみはどこからやってくるのでしょうか。「海ごみの約8割は、街で発生したプラスチックごみなどが川を通じて海へ流れ出たものだといわれています。つまり、海ごみ問題は私たち日常の延長線上に生まれているということです。どこか他人ごとになってしまっている海ごみ問題を自分ごとにしてほしいという思いから、『海ごみの中には“自分(me)”がいる』という意味を込めて『うみごme(みぃ)』と名付けました」と白木さん。
「うみごme」は、身近に落ちているごみを手がかりに、そこから見えてくる私たち一人ひとりの小さな身勝手な気持ちを、可視化するプロジェクトです。ごみを単なる不要物として扱うのではなく、その裏にある気持ちや社会構造に目を向けることで、海ごみ問題の根本に迫ろうとしています。
言うまでもなく、海ごみ問題はすぐに数字で成果が見えるものではありません。しかし、白木さんは会場で交わされる小さな対話や、作品の中に表現された小さな気づきに、確かな手ごたえを感じていると言います。「すぐに行動が変わらなくてもいいと思っています。ただ、一度立ち止まって考える時間が生まれること。その積み重ねが、やがて一人ひとりの行動を変え、社会の空気を変えていくのではないでしょうか」。
ごみを「拾う」から「生まない」へ。海ごみ問題を日々の暮らしの中から問い直す「うみごme」の取り組みは、少しずつその輪を広げています。
関心を育むことが、海を守る力になる
本プロジェクトをサポートする海洋事業部の松本侑也は、海洋ごみ対策について次のように話します。「ごみを拾う活動はもちろん大切です。ただ、それだけで大きな変化を生み出すのは簡単ではありません。いかに多くの人が関心を持ち、考え続けられるか。その土台をつくることが重要です。今回の『うみごme』では、ごみをキャラクターとして描き、名前をつけるという手法を通じて、見えにくかった“気持ち”を可視化しました。ごみは普段、あまり意識されません。でも、名前をつけ、姿を描くことで、急に自分ごとになる。子どもたちが真剣に向き合う姿を見て、関心を育てる一つの形がここにあると感じました」。
日本財団では、「瀬戸内オーシャンズX」をはじめ、さまざまな形で海洋ごみ問題に取り組んできました。これからも、デザインの力を生かしながら、多くの人が無理なく関われる仕組みづくりを広げていきます。
海を守るために必要なのは、特別な誰かの行動ではなく、一人ひとりの小さな関心です。その関心を育てる挑戦を、これからも多くの方々とともに支えてまいります。引き続き、皆さまからの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします。

日本財団の「海洋プロジェクト基金」では、多くの人が海に関心を持ち、海の課題を自分ごととして捉える社会の実現を目指し、海への関心を高める啓発活動から、持続可能な海の未来を構築する具体的な取り組みまで、多角的なプロジェクト等を通じて、海の未来へとつながる取り組みを推進してまいります。
皆さまの温かなご寄付をお待ちしております。
- ※ 2026年度より基金名が「海洋プロジェクト基金」に変更されました。