『夢の奨学金 第11期生』認定証授与式および2025年度活動報告会が開催されました
『日本財団夢の奨学金』の第11期生の認定証授与式と、2025年度で卒業を迎える奨学生の活動報告会が、2026年3月7日(土)に日本財団にて開催されました。新たに仲間となる11期生は14名、このうち当日は11名が参加し、3名の卒業生と現役生、OB・OG、ソーシャルワーカー、日本財団関係者が一堂に会し、それぞれの門出を祝いました。
第1部:認定証授与式~新しい仲間一人ひとりに~
前半の第1部は、今年度新たに奨学生として認定された第11期生が登壇し、一人ひとりに認定証が授与されました。新入生をはじめとする奨学生へ向けて、日本財団の佐藤常務理事より、温かい激励の言葉が贈られました。

「今日は遠方からわざわざお集まりいただき、ありがとうございます。皆さんの奨学金は、数多くの寄付者の方々に支えられています。中には『自分が死んだら財産を若者のために生かしてほしい』と遺贈寄付をしてくださる方もいらっしゃいます。そうした方々に支えられているということを忘れないでください。
私は皆さんを見ていて、『これから何でもできる世代だ』と羨ましく思います。人生百年時代と言われる今、皆さんにはあと60年、70年という十分な時間があります。ぜひ色々なことに挑戦し、経験を積んでください。最近は『コスパ』や『タイパ』と言って無駄を省くことがもてはやされますが、無駄だと思える経験もいつか必ず役に立つ時がきます。色々な経験をしている人のほうが、20年後、30年後に魅力的な面白い人間になっています。楽しいことやうまくいくことばかりではないと思いますが、失敗を恐れず何度でも挑戦してください。そして皆さんが年を重ねたとき、頭の片隅で『あのとき、日本財団にお世話になったな』と少しでも思い出してもらえれば嬉しいです」
第11期生がこれからの夢や目標を発表
認定証を受け取った11期生は、それぞれが歩んできた背景と、これからの具体的な目標を力強く語ってくれました。
医療・リハビリの分野や、動物・海洋生物の分野に進む人は、「些細な変化に気づける看護師や助産師を目指し、国際化を見据えて語学力も身につけたい」、「怪我で苦しんだ経験から、今度は自分が裏方としてスポーツマンを支える理学療法士になりたい」と語りました。また、「畜産学部に進学し、将来は調教師になりたい」、「水産学科でシャチを中心とした海洋生物の研究をして、人間との共存に貢献したい」と意気込みました。

教育や福祉、法務関係に進んだ人も多く、「自分が教育に救われたように、子どもたちに居場所を提供できる教育に携わりたい」、「児童相談所で働き、事情を抱える子どもたちの支えになりたい」と語りました。
法学部で学ぶ奨学生は、「法的視点も大切にしながら、困難を抱える子どもたちが夢を諦めないよう支援を行いたい」と目標を掲げました。大学院で学ぶ奨学生は、「当事者として児童養護施設出身者の大学進学について研究し、社会でまだ問題化されていない課題の解決に貢献できる研究者になりたい」と語りました。
さらに、語学や国際系の大学に進んだ人は「留学を経験し、グローバル化が進む中で活躍できる子どもをサポートしたい」、「子どもや人権に関わる分野で活動し、自身の経験を通して困難を抱える人たちを支えたい」とチャレンジングな夢を語ってくれました。専門学校へ進み「人生の大きな節目である結婚式を支え、人に寄り添えるウェディングプランナーになりたい」と語る人など、それぞれの夢や目標を語ってくれました。
第2部:活動報告会では卒業を迎える3名が発表
後半の第2部では、卒業を迎える奨学生3名による活動報告会が行われました。発表に先立ち、長年選考委員を務めるボートレーサーの木村光宏選手、そして社会で活躍する奨学生OBから力強いメッセージが送られました。
「皆さんには、社会に出た時に『かっこいい先輩』として、施設や社会的養護のもとで暮らす子どもたちの『ヒーロー』になってほしいと切に願っています。私は小学3年生から6年生まで児童養護施設で生活し、ボートレーサーとして30年以上この業界にいます。学生の時代もいろいろなことがあると思いますし、社会人になれば必ず壁にぶち当たります。その時は、夢の奨学金を通して学んだというプライドと自信を持って、初心を忘れずに社会の荒波を乗り越えていってください」
「世界で活躍する職人に」「行動が希望を生む」
卒業する奨学生の活動報告も行いました。これまでの学生生活を振り返り、どのようなことを学んだか、自分はどう考えたか、これからの進路や後輩へのメッセージ等を伝えてくれました。
トップバッターは、愛知県の調理専門学校で学んだ9期生です。学校やアルバイト先のカウンター寿司店で実践的な調理技術を磨き、オーストラリアでの海外研修では現地の食文化から大きな刺激を受けました。成人式には同級生の依頼で120食分のパーティー料理を作り上げ、料理で人を笑顔にする喜びを再確認したそうです。就職活動では、SNSを駆使する気鋭の寿司職人に直接アピールし、見事採用を勝ち取りました。「やりたいことは今のうちに挑戦すること、自己投資をすること、尊敬できる人と付き合うこと。この3つを後輩に伝えたいです。夢の奨学金のおかげで、諦めかけた夢を叶えることができました。将来はニューヨークで働き、自分の店やチェーン店を持つという夢に向かって成長していきたいです」

続いて、大学院で学ぶ奨学生です。行政の子どもの学習支援事業について研究する傍ら、自ら学習支援NPOを立ち上げ、現在は年間約600人の子どもたちに居場所を提供しています。また、長年敢えては語ってこなかった自身の社会的養護の生い立ちをドキュメンタリー映画の上映会で語った経験から、その当事者性が活動の「強み」に変わったと実感したといいます。
「後輩の皆さんに伝えたいのは、『ありのままでいられる場所は必ずあるし、自分で作ることもできる』ということです。奨学金のおかげで生活の心配をせず、生きる意味を追求できました。我慢が多かった過去ですが、行動が希望を生むと知りました。これからも情熱を持ち、研究と支援活動に取り組んでいきます」
「メリハリが自分を強くして、前向きに頑張れる」
最後は、薬学部で学んだ10期生です。中学生の時に母親をがんで亡くした経験から薬剤師を志しました。6年間の厳しい学びの中で、治療薬に関する研究に粘り強く取り組みました。同時に、塾講師のアルバイトや音楽フェスでのリフレッシュなど充実した日々を過ごし、この春からは調剤薬局で薬剤師としての一歩を踏み出します。「後輩の皆さんにお伝えしたいのは、『メリハリが自分を強くする』ということです。頑張る時は頑張り、休む時は楽しむことで、長い学生生活でも前向きに努力を続けられます。皆さまのご支援があったからこそ、国家試験対策に集中できました。この感謝を胸に、将来はがん患者さんの心に寄り添える専門薬剤師を目指します」
活動報告の後、日々奨学生を支え見守ってきたソーシャルワーカーが前に立ち、会場の全奨学生に向けて温かいエールが送られました。
「今日発表した3人はもちろん、現役生の皆さんが1年間頑張った様子も活動報告書で確認し、嬉しく思っています。担当だけでなく、ソーシャルワーカー全員が皆さんのことを応援していることを覚えておいてください。」「新11期生の皆さん、そして進級や就職で環境がガラッと変わる現役生の皆さん。これから困ったことや『こんな時どうしたらいいんだろう』と悩むことがあれば、何でも気軽に相談してください。我々が全力でサポートします」「夢の奨学金は、寄付者の方々の思いで成り立っています。感謝の気持ちを忘れずに頑張っていきましょう」と、愛のある力強い言葉が贈られました。

同じ経験をした『ピア(仲間)』との支えあいを
報告会の結びに、日本財団公益事業部子ども事業本部長 高橋より、温かい労いと今後のためのアドバイスが送られました。
「この奨学金の特徴は、ソーシャルワーカーのサポートがあることと、同じ経験をした『ピア(仲間)』との交流があることです。ピアとの交流は、今後の人生を支える大きな力になります。ぜひ皆で支え合ってください。そして、この奨学金には『自分が学校に通えなかったから、若い人に通ってほしい』という思いで寄付をしてくださる方々の存在があることも、忘れないでください。
これから一人暮らしを始めるなど環境が大きく変わる中で、どうしても調子が落ちてしまう時期があるかもしれません。そういう姿を見せたくないと思うかもしれませんが、それは誰にでもあることです。無理をせず、なるべく早くソーシャルワーカーさんや友達に相談してください。
日本財団は、皆さんとこれからも長く繋がり、応援し続けていきたいと思っています。本日は本当におめでとうございます」

授与式・報告会終了後は、恒例の記念撮影が行われました。「ここからスタート!」という思いを新たに、皆さん笑顔で写真に納まりました。活動報告会終了後は、別室にて交流会が開かれました。学年横断的にグループに分かれて、自己紹介をしながら、さまざまなテーマでの語らいの時間を過ごしました。