日本財団職員による現地レポート:令和8年熊本地震支援(10月23日 侍SPIRIT)
令和8年熊本地震の発災から2カ月余りが経過した今も、被災地では倒壊した塀や損傷した家屋などの撤去作業が続いています。中には、人の手だけでは片付けることが難しく、専門的な技術や重機を必要とする現場も少なくありません。
今回は、遠方から被災地へ駆けつけ、重機を使った復旧作業を通じて被災された方々の生活再建を支える、災害ボランティア団体「侍SPIRIT」の取り組みをご紹介します。
名古屋から11時間。被災地へ駆けつけるボランティア
平日の仕事を終わらせた夜に名古屋を出発し、11時間かけて熊本県八代市へ。翌朝8時に現地に到着すると、長旅の疲れを見せる間もなく、重機を使った復旧作業の現場へと向かいました。
活動しているのは、普段は運送会社で営業職として働く男性です。仲間からは「サムライ」と呼ばれています。休日は甲冑を着て武将活動に携わっていることから、この名で活動しているといいます。
「本名を明かさないわけではありません。ボランティアネームの「サムライ」の名で知られているので、あえて本名は名乗っていないだけです。」サムライ氏が災害支援に携わるようになったきっかけは、2011年の東日本大震災でした。仙台港にあった勤務先の営業所が津波で被災し、自らも救援活動に加わりました。その経験が、災害の度に被災地へ足を運び続ける原点になったといいます。
それ以来、災害が発生すると、規模を問わず休暇を利用して被災地へ駆けつけています。普段は仕事を持つ身だからこそ、限られた時間をやりくりしながら、自分にできることで被災者の力になろうと支援活動を続けてきました。
それぞれの技術と経験を生かした復旧支援
サムライ氏が所属する団体「侍SPIRIT」は、魂と絆を胸に刻んだ7人のメンバーで活動しています。メンバーは石川県や千葉県など、さまざまな地域に暮らし、職業も異なります。それぞれが持つ技術や経験を生かし、自分たちにできることを通じて、被災された方々の生活再建を支えています。
この日、作業にあたったのは、地震によって塀が倒壊した民家で、たくさんの崩れた石の塀は重量があり、人の手だけで片付けることは容易ではありません。そこで重機を使い、倒壊した石の塀を一つずつ取り除いていきます。
この活動は、一見すると単なる片付けのように思えるかもしれません。しかし、倒壊した塀を取り除き、安全な生活環境を取り戻すことは、被災された方々が再び日常を送るための大切な一歩となります。

サムライ氏は、今回はこの後も現地で3日間活動を続ける予定だといいます。
「帰りはフェリーで帰ります」被災地間での移動には多くの時間がかかります。それでも、支援を必要とする人がいれば、仕事の合間を縫って被災地に駆けつけます。
被災地のボランティアセンターには、今も多くの支援ニーズが寄せられています。倒壊した家屋や塀の片付け、貴重品の取り出しなど復旧・復興に向けて解決しなければならない課題は多く残されています。
「時間があれば、また熊本に入って活動したい」とサムライ氏は語ります。
一つずつ、日常を取り戻すために
災害によって壊れたものを片付けることは、単なる撤去作業ではありません。
倒壊した塀を取り除くことで、被災された方々が再び安心して生活できる環境を整え、暮らしの再建へと歩みを進めることにつながります。
復旧には、まだ多くの時間と人の力が必要です。それでも、目の前の課題を一つずつ解決していくことが、被災地の未来を切り開く力となります。
遠方から駆けつけるボランティアの力、そして、その活動を支える多くの人々の思い。その一つひとつが、被災地の復旧を前へと進めています。
日本財団では、皆さまからお寄せいただいたご寄付を活用し、こうした被災地での復旧活動を支える取り組みを後押ししていきます。
被災された方々が一日でも早く安心した生活を取り戻せるよう、引き続き皆さまの温かいご支援を心よりお願い申し上げます。