日本財団職員による現地レポート:令和8年熊本地震支援(10月26日 一般社団法人八代青年会議所)
再び蛇口から水が出る日へ。被災地で始まる新たな給水支援
令和8年熊本地震の発災から約3カ月。熊本県八代市や氷川町では、地震によって井戸や給水設備が破損し、今も生活用水の確保に苦労している家庭があります。
飲み水だけでなく、トイレや洗濯、掃除など、日々の暮らしに欠かせない水。設備が壊れ、自宅の蛇口から水が出なくなったことで、被災された方々は不便な生活を余儀なくされてきました。
こうした状況を受け、日本財団では、10月23日に八代市で井戸が被災した八代市内の高齢者、障害者等、配慮を要する方のいらっしゃる約300〜400世帯に対する給水支援を開始しました。
今回は、皆さまからお寄せいただいたご寄付を活用した日本財団の支援を通じて、一般社団法人八代青年会議所が取り組む、新たな給水支援の仕組みをご紹介します。
水を必要とする家庭へ、継続的に届けるために
八代市や氷川町では、日常生活に井戸水を利用している家庭があります。今回の地震では、井戸が破損したことで、これまで当たり前に使えていた生活用水を確保できなくなった世帯が生じました。
発災後、地域の支援団体やボランティアなどが各家庭へ水を運び、被災された方々の暮らしを支えてきました。しかし、水を必要とするすべての家庭に、人の手で水を運び続けることは容易ではありません。支援が長期化するにつれ、活動に必要な人員や費用の確保も課題となります。また、自分で水を運べる方がいる一方、高齢者や障害のある方など、給水拠点まで足を運ぶことが難しい方もいます。
そこで、日本財団は、八代市、一般社団法人八代青年会議所と連携し、各家庭の状況に応じて生活用水を確保できる、新たな支援体制づくりを進めました。
10月23日の記者発表では、日本財団の担当者、堀井が事業の概要を説明しました。また、事業を実施する一般社団法人八代青年会議所の柳口崇理事長は、「被災地では今も生活用水の確保に困っている方々がいます。今回、多大なるご支援をいただいたことに感謝するとともに、この課題にしっかりと向き合い、被災された方々が一日でも早く日常を取り戻せるよう尽力していきたい」と述べ、今後の活動への決意を語りました。
また、八代市の小野泰輔市長は、「発災直後から、井戸や給水設備の被災による生活用水の確保が大きな課題になると、市民の方々から声が寄せられていました。これまでボランティアの皆さまに支えられてきましたが、井戸の復旧には時間がかかり、支援を継続するための仕組みづくりが必要でした。今回、日本財団、八代青年会議所の皆さまに、特に支援を必要とする方々へ水を届ける仕組みを整えていただき、大変ありがたく思っています。」と述べました。

発災後、初めて蛇口から水が出る瞬間
近隣の被災世帯で、実際の給水支援の様子が公開されました。
まず、給水車から、軽トラックに積まれた2つの給水タンク(1つ1,000リットル)へ水を補給します。その後、給水タンクを載せた車両が、生活用水の確保に困っている家庭へ向かいます。現地では、支援スタッフが給水タンクを設置し、小型ポンプやホースなどを使って、家庭で水を利用できるように設備を整えます。

当日は、給水車から軽トラックに積載された給水タンクへ水を補給し、生活用水の確保に困っている住民の自宅へと車両を走らせました。
その後、敷地内に設置してある500リットルの給水タンクに、支援スタッフが小型ポンプやホースを接続し、自宅の蛇口から水を使えるようにするための作業を進めました。
そして、発災後初めて、自宅の蛇口から水が流れ出しました。
今回支援を受けた住民の方は、地震によって自宅の水が一切出なくなり、これまで家族がタンクで運んできた水を浴槽などにためて生活していました。
今回の支援について、住民の方は次のように語ります。
「地震の後、自宅では水が一切出なくなってしまいました。これまでは息子たちがタンクを買ってきて、水を運んで浴槽などにためてくれていましたが、自分では重い水を運ぶことができず、本当に大変でした。井戸の復旧も見通しが立っておらず、まだ時間がかかりそうです。今回の支援で、重い水を運ばなくてもよくなるのは本当にありがたいです。感謝しかありません。」

蛇口をひねれば水が出る。普段は当たり前に感じられることも、災害によってその日常が失われたとき、暮らしにとってどれほど大切なことなのかを改めて実感します。今回の取り組みは、単に水を運ぶだけでなく、被災された方々が自宅で生活用水を使える環境を整え、日常生活を取り戻すための支援です。

自助・互助・共助・公助を組み合わせた、新たな給水の仕組み
今回の事業では、それぞれの家庭の状況に応じて、複数の方法で生活用水の確保を支援します。
自分で水を運ぶことができる方や、家族・親族などの協力を得られる方には、給水タンクを積んだ軽トラックなどを貸し出し、給水拠点で水を確保して自宅へ持ち帰れる仕組みを整えます。
一方、高齢者など、自力で水を運ぶことが難しい方々には、自宅に設置する500リットルの給水タンクや小型ポンプ、ホースなどを無償で貸し出し、必要に応じて支援スタッフが水を届けます。支援を必要とする世帯については、八代市が相談を受け付け、各家庭の状況を確認したうえで、関係団体と連携して対応します。
この取り組みで大切にしているのは、自分でできることは自分で行う「自助」、家族や知人による「互助」、地域住民同士の「共助」、そして行政などによる「公助」を組み合わせることです。
すべての家庭に同じ方法で水を届けるのではなく、それぞれの状況に応じた支援を行うことで、限られた人員や資機材を有効に活用し、継続的に生活用水を確保できる体制を目指しています。
水が戻るその日まで。そして、次の災害への備えへ。
今回の給水支援の最終的な目標は、各家庭が再び生活用水を確保できるようになることです。市の水道管への新たな接続や、被災した井戸の復旧などによって、自宅で水を使える状態へと移行するまで、必要な支援を続けていきます。
また、設備が復旧した家庭からは給水タンクやポンプなどを回収し、次に必要としている家庭へ貸し出すことで、限られた資機材を有効に活用します。
さらに、この事業には、今回の災害で得られた経験を、将来の備えにつなげるという目的もあります。給水タンクや車両などの資機材だけでなく、行政や地域団体との連携体制、支援が必要な世帯を把握する仕組み、資機材の管理・運用方法などを地域に残すことで、次の災害時にも迅速に対応できる体制づくりを目指しています。
水を届けることから、地域で水を確保できる仕組みをつくることへ。
今回の支援は、被災された方々の目の前の困難を解決するだけでなく、地域が将来の災害に備えるための取り組みでもあります。
日本財団では、皆さまからお寄せいただいたご寄付を活用し、被災された方々の生活再建と、災害に強い地域づくりを後押ししていきます。
被災された方々が一日でも早く安心した生活を取り戻せるよう、引き続き皆さまの温かいご支援を心よりお願い申し上げます。
- ※ 2026年10月31日をもちまして令和8年熊本地震への寄付の受付は終了となります。