第4期生の応募受付開始!

8月、夢の奨学金は来年度第4期生の応募期間を迎えました。

パイロット事業として東海地区限定で応募を受け付けた第1期から早3年。昨年度は全国各地から約200通の応募書類が日本財団に届きました。徐々に夢の奨学金制度を進路の選択肢に加えてくれる学生が増えてきたものの、一方では既卒者も対象とすることなど、届けたい方に情報が届いていない課題も抱えています。
そこで、私たちは制度開始から初めてとなる応募説明会を東京と大阪で開催しました。制度概要の紹介や日本財団のこと、夢の奨学金は寄付して下さる方々の思いに支えられていること、など私たちが伝えたいことをお話しすると同時に、質疑応答コーナーも設けました。
「私も対象になるの?」「海外留学をしたいのだけど」「夢が変わったときはどうするの?」
参加者の方々と近い距離で皆さんの疑問にお答えする機会は、私たち職員にとっても貴重な時間となりました。
そして今回の説明会には、現在支給を受けている先輩奨学生が登壇。学生生活や将来のこと、奨学金選考時の様子など、学生が一番気になっていることに等身大のアドバイスを届けてくれました。

写真:横1列に並び、タイミングを合わせてジャンプする奨学生たち
夢に向かってジャンプ!!

以下、東京での説明会時に登壇してくれた奨学生が、その場で話してくれたメッセージを、ご本人承諾のうえ、転載いたします。

はじめまして。
私は夢の奨学金2期生で専門学校2年の真家祐実です。
よろしくおねがいします。

私は、高校をストレートに卒業したわけではないし、今の学校にも現役で進学したわけでもありません。
私は、世間的にいうとグレて生きてきました。施設も転々としては、逃げ出し・・・退所後も友達の家で暮らしてきました。
その頃は自分の人生に投げやりで、もうどうにでもなれ・・・そんなことばかり考えて生きてきました。
でも、あるきっかけで出会った私が尊敬するお医者さんや看護師さんのおかげ変わることができました。
勉強の大切さや、自分の人生は自分のものだから自分で道を決めていいということ、過去は変えられないけど乗り越える力をつけて未来はかえられる・・ということ。
たくさんのことを教えてもらい、支えてもらい、グレていてどうしようもなかった私は、前を向くことができ今は夢を叶えるために、この夢の奨学金の力をかりて学校に通わせていただいています。

私がこの夢の奨学金に応募をした1番のきっかけは『私の夢を叶えるためにはこの奨学金しかない!』と思ったからです。
私は正直すぐ心が折れてしまうことが多く、どっちかというと弱い人間です。
例え進学できたとしても学校の勉強に加えて、学費や生活費をまかなうほどのアルバイトと両立できるのだろうか・・・と考えたときに「無理」だなと思いました。
そのため進学なんて”夢のまた夢の話だよな”と考えていた時に私が尊敬している方にこの奨学金を教えていただき、応募してみなよ!と背中を押され応募しました。
ただ、いざ申請書を書きはじめると本当に私なんかが応募してもいいのかな?と悩んだり進学できても頑張れるかな?と不安になったりもしました。
応募の申請書には生い立ちや人生プランを書く欄がありどんな風に書けばいいのかわからずに途方にもくれました。
ただ、悩みに悩んででたその答えはとってもシンプルで、自分の想いや夢への想いを素直に書くことだなーと思い、応募締め切り日ぎりぎりに書き上げて速達で応募したのを覚えています。
一次審査の結果が来るまではドキドキで、合格の結果が来た時には奇跡かと目を疑いました。笑
二次審査は面接でその案内も一緒に届いたのですが、面接時間1時間と書いてあり、1時間もなに話すの?と想像もつかなかったため、ありのままの自分でいこう!とぶっつけ本番で挑みました。
とっても緊張して胃がキリキリ痛む中、面接会場に行きました。でも実際は面接というよりは、フリートークみたいな感じで芳川さん(日本財団職員)の優しい雰囲気のおかげでリラックスして自分のも思いを伝えることができ、1時間なんてあっという間でした。

あとは・・・(児童養護施設等の)職員さんの前でこんな話をするのも気が引けるのですがこの奨学金には、施設長のサインは必要ありません。また進学後も施設と良好な関係をたもて、連絡がとれること・・・などと他の社会的養護向け奨学金の応募条件に必ずといっていいほどある、施設も進学を応援していて、施設との関係が良好な子限定みたいな条件が一切ないことや、既卒者も対象としてくれていることも私がこの奨学金に応募した大きな理由です。

私の夢は、看護師です。
強く優しく患者さんの生きる力を支え、その力を最大限に発揮できるように患者さんに寄り添える看護師になりたいと思っています。
その夢を叶えるために、いまは看護専門学校に通っています。
1年生の時は看護の基礎となる部分を勉強してきました。
またベットメイキングや血圧測定、採血や点滴の方法など演習を繰り返し行い看護技術を身につけてきました。
2年生になってからは、小児や成人、母性、老年など様々な領域別での看護の方法を学んだり、お医者さんによる授業で病気について学んだりしています。
2年生になってからは、より深い内容を学ばせていただいていて毎日わくわくしています。

最近では、災害看護という災害現場での看護やトリアージ方法を学ぶ講義も始まりました。
最初は関心があまりなかったのですが、実際に学んでみると興味が湧いてきて毎週その講義を楽しみにしています。
興味がないと思っていたことも、学んでみると案外楽しくて関心を持つことが多いのでとりあえずやってみることも大切なんだなーと最近は感じています。

また実際に病院での実習もスタートしました。患者さんを受け持たせていただき、その患者さんにはどんな看護が必要かを考え実際に計画を立てて看護を提供させていただいたりもしています。
実習は辛いことの方が多いですが、何もかも未熟な学生の私に患者さんが「ありがとう。あなたが来てくれてよかったわ!頑張って看護師になってね」とかけてくださる言葉が頑張るパワーになっています。
あとは、2年後の国家試験合格に向けての模試や小テストと毎週たたかっています。

ただもちろん勉強ばかりしているわけではありません。
友達と遊んだり、夏休みにはBBQや花火をしたりクリスマスにはパーティーをしたり、みんなで年越しをして、初詣に行ったり・・・今までできなかった「ふつうに遊ぶ」ということがこの奨学金のおかげで経験することができています。
奨学金を受給する前までは、ただ生きていくために余計なことはなにも考えないで必死に生活する毎日でした。
勉強したり遊んだりする気力も余裕もどこにもありませんでした。
人間なんて、オトナなんて大嫌いで、将来のことを考えても絶望して、生い立ちを恨んで、産まれてきたことを後悔する毎日でした。

でも、今はちがいます。
今までできなかった沢山のことができるようになって、辛いこともあるけれど学びたいことがお金の心配をせずに安心できる環境で学べるおかげで、勉強にも集中することができています。

それに私は夢をみつけ、それを叶えるために、この奨学金を受給しながら学校に通いはじめることができたおかげで、”幸せ”という感情を初めて知り、感じることができ、”生きる希望”をもつことができました。

写真
日本財団会長 笹川から奨学生認定証授与を受けました

ただ生活費として給付される5万円だけでは生活はできません。
光熱費や保険料、携帯代や雑費、体調を崩せば病院代や薬代、、そんな支払いをすれば5万円なんてすぐになくなってしまいます。
もちろん貯金もできないので、今も私はアルバイトをしていますがアルバイト漬けのつらくキツイ生活ではなく、週3回くらい学校の勉強や自分の生活や体調に影響がない程度で働けています。

それに学校という小さい社会で生きていると、息詰まることもたくさんあります。
だからこそ、アルバイトをすることで学校とは別のコミュニティができて、そこにまた友達とか居場所もできます。
奨学金を受給する前みたいな”生きていくために働く”というよりは、お小遣い稼ぎと息抜きのためのアルバイトという気軽な気持ちで働くことができるので、精神的にも安定して生活をすることができています。

また夢の奨学金は奨学生の交流会が定期的に全国各地で開催されるので行ったことがない地域にも行くことができます。
去年は大阪と名古屋に行ったのですが、初めて新幹線のチケットを買って1人で新幹線に乗って・・・ちゃんとチケット買えるかな?目的まで行けるかな?とドキドキでしたが社会勉強もできてプチ旅行気分も味わえました!笑

でも1番はそこで奨学生の仲間や財団の職員さんたちと会って話して息抜きをして、また頑張る力をもらうことが毎回楽しみになっています。
みんな同じような環境で生きてきた子たちなので、ありのままの自分で素直に包み隠さずいろいろな話をすることができます。
それぞれ違う分野の学校に行っているので、みんなの話を聞くことも楽しいし、同じ分野の学校に行ってる子とは大変さなどを分かち合えたりします。
近すぎず、遠すぎないちょうどいい距離感の関係で・・・・居心地がいいです。

ただ、久しぶりにみんなと会う前は毎回ドキドキです。でもみんなと会うと笑顔になれて、楽しい時間を過ごして、バイバイするときは、ちょっぴり寂しくもなります。
でも、普段も悩んだり困った時にはラインや電話をしたり、ツイッターにリプ(返信)をしてくれたりと支えあえる大切な仲間もこの奨学金でできました。

今、私は将来自分がどんな人生を歩んでいきたいのか迷子になっています。
看護師という根本的な夢は変わっていませんが、日々いろいろなことを学び感じ、たくさんの人と出会い、さまざまなことに興味が湧いて、夢の奨学金に応募したときよりもやりたいことが増える日々です。
専門卒業後に大学に編入してもっと深く看護を学びたいとも思うし、早く現場にでて働きたい思いもあります。就職するとしたら大学病院にするのか、総合病院にするのか、興味がある小児看護をしっかり学べるこども病院がいいのか。
将来どんな自分になって生きていくのか絶賛悩み中です。

でも、そんな贅沢なことを悩めるのもこの夢の奨学金があるからこそで、そこには応援してくださる日本財団の職員さんや担当SW(ソーシャルワーカー)さんがいてくださるからです。

みなさんもたくさん悩んで、感じて、自分の夢にチャレンジしてみてください!!
自分が学びたいことを学ぶのはとっても楽しくて毎日がわくわくの連続です。
もちろん夢を叶えることは辛いことも苦しいこともたくさんあります。
でも自分があきらめなければ大丈夫です。
私はもう自分で自分の人生をあきらめたくないから、やりたいことに貪欲にチャレンジしていきたいです。
だってもうひとりぼっちじゃないから。
たくさんの仲間ができて
どんなことも、どんなときも
私たちを応援し続けてくれる
日本財団夢の奨学金があるから。

それにこの奨学金は寄付で成り立っています。
そのことを知ったとき、泣きそうになるほど嬉しかった気持ち。
見ず知らずの私たちを応援してくれている方がたくさんいるという事実。
それも私が頑張り続けることができている理由です。
そんな方々の温かい気持ちがそこにはあるから。その想いを受け取り、その恩を次は私がペイフォアードしていきたいです。

それでも、どんなに強い気持ちがあっても心が折れてもうすべてが嫌になって逃げだしたくなるとき何度もあると思います。
でも、大丈夫です。

日本財団の職員さんやSW(ソーシャルワーカー)の方、奨学生の仲間たちは絶対に力になってくれます。
私たちを見捨てたりなんてしません。

自分の将来を決めることは簡単ではないとおもいます。
この奨学金に応募すること自体に勇気がいるし、不安もあると思います。
でも覚悟をもてば乗り切れないことはないと私は思っています。
大丈夫。3月にまたここで4期生になるみなさんとお会いできるのを楽しみにしています。

そして最後に施設の職員さんや里親さん、児相の職員さん、、みなさんもお忙しいとは思いますが大人の価値観や想いでこどもの幸せを決めつけないでください。
忙しいことを理由しないでください。
子どもたちにはひとりひとりにそれぞれの人生があります。
夢を叶え、自分の人生を自分で選び幸せをつかむ権利が、普通の家庭の子たちと同じように平等にあってもいいはずです。

どうか子どもたちの夢に反対するのではなく、どうしたらその夢を叶えられるか、という方法を一緒に考えて見つけてあげてください。

私は施設の職員や児相の方たちにあなたにはムリ!と進学を反対されてきました。その後は一切相談することができなくなりました。相談したいとも思えませんでした。
今でも進学したことを報告できていません。

もちろん反対した理由はそれなりにあったのだと思います。
その理由もたくさんの経験をした今なら少しわかる気がします。
だから、看護師という夢を叶えたら無断外泊を繰り返すたびに寝ないで帰りを待っていてくれた施設の職員さんたちや施設を逃げ出しては、何度も電話をかけてきてくれて、待ってるから!と夜遅くまで児相センターで待っててくれて、本気でしかってくれて、施設探しを何度も何度もしてくれた児相の方たちにドヤ顔で『私、夢かなえたよ!看護師になったよ』という報告と『ありがとうとごめんなさい』という感謝と謝罪の気持ちを伝えたいと思っています。

どんなにオトナに反抗している子でも、そうじゃない子でも、自分の周りにいるオトナには応援してもらいたいって、背中を押してほしいって、心のどこかでは思っているはずです。
どうかその気持ちを受け取ってください。
裏切らないでください。
これ以上のハンディを抱えさせないでください。

長くなりお聞き苦しいこと沢山あったと思いますが、最後まで聞いてくださりありがとうございました。

写真
温かな笑顔が印象的です

彼女のメッセージがより多くの若者に届くことを願ってやみません。
夢を諦めない。その気持ちを私たちは全力でサポートしていきます。

日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム 中野裕愛

寄付の状況 2022年9月末現在
5億2,538万9,928円

日本財団への寄付 4つの特徴

  1. 寄付金はすべてを支援活動に活用します
  2. 50年以上の助成実績があります
  3. 寄付者の皆さまにきちんと報告します
  4. 税制上の優遇措置が受けられます
日本財団子どもサポートプロジェクトロゴ

日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。