安心して暮らせる社会を目指し、地域の担い手を育てる難病の子どもと家族の支援者を増やす取り組み
「難病の子どもと家族を支えるプログラム」活動報告ページへようこそ。
こんにちは。国内事業開発チーム 難病の子どもと家族を支えるプログラム担当の正木です。
鳥取県と聞くとどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。日本財団は2015年より鳥取県と共同プロジェクト※を実施しており、「難病の子どもと家族の地域生活支援」の一環で、2016年11月、鳥取大学医学部附属病院に「小児在宅支援センター」が開設されました。
- 鳥取県×日本財団共同プロジェクトとは みんなでつくる“暮らし日本一”を目指し、地域住民が元気に暮らし、誇りを持てる社会づくりを目的に、日本財団と鳥取県が共同プロジェクトを実施することで合意し、2015年11月18日(水)に協定を締結しました。5年にわたり30億円規模を想定し、連携して取り組んでいます。
鳥取県には約500名の医療的なケアの必要な子どもがいるといわれています。病院を退院した後、家庭では365日24時間体制でご家族が子どものケアを行っており、精神的・肉体的な負担をどのように減らしていくのかが今後の大きな課題となっています。
そこで、小児在宅支援センターでは医療的なケアが必要な子どもとその家族の地域生活を支えるため、小児在宅ケア対応ができ、関係機関と連携できる人材を養成することを目的として、医師、看護師、介護士等を対象に、トレーニングを実施しています。医療的なケアの必要な子どもの受け皿が増えること、日中を過ごすことのできる場所の選択肢が増えることが、ご家族の生活の質の向上につながります。
小児在宅支援センターの人材育成プログラムでは、実務を通じて専門性や実践力を身につけてもらうことを目的としていることから、OJT(On the Job Training)方式をとっています。本プロムラムでは、既に小児在宅ケアを実践している専門職も参加するのですが、そういった方々にとっても普段の自身のケアを客観的に振り返るよい機会になっています。
また、研修生は自分にとって、または担当している子どもにとって今何を学ぶ必要があるのかを考え、カリキュラムを自分で組み立てます。研修修了後も、担当する子どもの状況によって必要な支援はそれぞれ異なります。このトレーニングを通じ、現場に出てからも「自ら考えて学ぶ」習慣をつけてもらうことが、この選択式のカリキュラムの狙いです。
トレーニングの方法としては、
- スタッフが地域の訪問看護師らと一緒に家庭を訪問し、医療的ケアの指導をする。
- スタッフが保育園や特別支援学校などを訪問し、教員や看護師に子どもの観察のポイントや緊急時の対応を指導する。
- 鳥取大学医学部附属病院での外来診療に立会い、診療の仕方の指導を受ける。
の3つがあります。トレーニングの期間は半年を目処にしていますが、当初の目標を達成するまでトレーニングは続きます。
この11月で開設から丸2年。事業開始当初の目標を大きく上回り、これまで38名の医師や看護師が研修を修了しました。今後は修了者自身が講師になる為のトレーニングも計画しており、さらに地域全体で医療的なケアが必要な子どもとその家族を支えるための担い手の育成に注力していく予定です。
医療的ケアが必要な子どもとその家族が地域で安心して暮らせる社会を目指し、日本財団は今後もお子さんとご家族を支える担い手づくりを支援していきます。
難病の子どもとその家族が「日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラム」に興味を持っていただけた方は、ぜひ難病児支援ページをご覧ください。
日本財団 ソーシャルイノベーション本部 公益事業部 国内事業開発チーム 正木宏幸
関連リンク
日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。