競技を超えたアスリートたちのパラスポーツを通したダイバーシティ!

東京2020の開催まで後1年に迫った2019年7月8日、東京・お台場にある日本財団パラアリーナにて、「HEROs PARA-SPORTS DAY 2019」を開催させていただきました。日本を代表するアスリートや元アスリートが集い、パラリンピアンとともにスポーツの垣根を超えて、パラスポーツを体験していただきました。スポーツの力で、障がい者への理解を促進するまさにダイバーシティ&インクルージョンを叶えたイベントでした。今月は、熱く盛り上がった一日についてお届けします。

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HEROs PARA-SPORTS DAY 2019に参加したアスリートたち

開会宣言は、HEROsアンバサダーの根木慎志氏と、この日新たにアンバサダーに就任した元なでしこジャパンの近賀ゆかり選手が務めました。本イベントは「競技を超えて集ったアスリートたちが、真剣にパラスポーツで競い合う」ことで、ダイバーシティ&インクルージョンを発信することを目的とし、現役・OB、健常者・パラの垣根を超えた選手たちが赤、白、青、黒の4チームに分かれて対戦しました。

試合に向けてのアイスブレイクでは、アイマスクを付けて同じ血液型の人を見つける、音やジェスチャーなしに4択に回答する、など工夫が求められるものでした。選手たちは、初めは手を上げて同じ血液型の人を見つけようとするも、それでは見えないことに気が付き、手を叩いたり、肩を組んだりして問題をクリア。人の情報の8割は視覚からのものだそうです。

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アイマスクをして同じ血液型の人を探している様子

アイスブレイク後の最初の種目は、シッティングバレーボール。床に座って行うバレーボールで、立ち上がりや飛び跳ねは反則です。一般のバレーボールコートより狭く、ネットも低めに設置されていますが、手を使って移動するため、移動距離が短くなり、チームメンバーとの協力なしに勝つことは難しい競技です。

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シッティングバレーボールの様子

次はゴールボール。この競技の特徴は、試合中静かにしなければならないところ(ゴールを決めたときの歓声はOK)です。選手は目隠しを着用し、相手チームが投げた鈴入りのボールを音だけを頼りにブロックします。暗闇の中で、頼りになるのは聴覚と反射神経、そして自分の位置を把握するためにコートに貼られたラインを触る触覚だけです。3対3で行い、それぞれがセンターとサイドを担当し、交互にボールを投げ合うというルールもシンプルで、誰でもすぐにチャレンジすることができる競技です。

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ゴールボール中の様子

車いすバスケットボールを未経験者用にアレンジした車いすポートボールも大いに盛り上がりました。車いすバスケットボールとの大きな違いは、ドリブルとゴールの有無です。ポートボールではドリブルがなく、バスケットリングの代わりに自分のチームの台に乗ったゴールマンがボールをキャッチすれば得点となります。

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試合開始ジャンプボールの様子。ボールを取り合う選手たち

最後には、バスケットボール用の車いすをバトンにした車いすリレーを行いました。スピードやコーナリングテクニックだけでなく、スムーズなバトンタッチも勝敗を分ける鍵となる競技です。会場は、ランナーを応援する歓声で大盛り上がり。並走し仲間を勇気づけたり、チームのみんなで応援をしたり、即席チームとは思えない団結ぶりに、スポーツが持つ可能性を感じずにはいられませんでした。

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車いすリレーの様子。慣れない車いすで激走する選手たち

全ての競技を終えて、結果白チームが213点で見事優勝しました。続くは、黒チーム182点、そして青チームの121点。パラスポーツでは競技によって得手、不得手が入れ替わるため、誰もが同じラインに立ってゲームを楽しむことができます。プレーヤー同士のコミュニケーションも不可欠のため、チームの結束も自然と高まるのもパラスポーツの特徴です。誰もが勝利を目指して、ぶつかり合う姿は、他のスポーツと全く変わりありません。障がいの有無関係なく、勝利を目指す選手たちの一生懸命な姿はまさにダイバーシティ&インクルージョンを体現していました。

HEROsアンバサダーで今回、優勝の栄冠を手にした白チームのキャプテンを務める元パラアイスホッケー日本代表の上原大祐氏は、「最高のメンバーに恵まれて優勝することができました!スポーツは一瞬で一つになれると改めて感じる、非常にいいイベントでした。HEROsアンバサダーとしてこのようなイベントを続け、もっともっといろいろな人たちを巻き込んでいきたいですね!」と優勝の喜びを語り、大会をまとめました。

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白チームの優勝が発表された瞬間、喜ぶメンバーたちの様子

パラスポーツは様々な魅力と可能性を持っています。今回参加したアスリートたちも、パラスポーツで体感したダイバーシティの本質を、それぞれの競技に持ち帰って発信していきます。これまでスポーツが苦手だった人も是非チャレンジしてみてください。

中田英寿氏、大林素子氏、他アスリートたちがパラスポーツの魅力を語る

HEROsアンバサダー 中田英寿氏

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車いすシャトルランをする元サッカー日本代表中田英寿氏

スポーツの力・パラスポーツの力について、「スポーツは、ただルールがあるだけで、そこには国境も人種も健常者や障害者といったくくりもないんです。今回、4つのパラ競技を体験して感じたのは、プロの選手であろうと自分の競技以外のスポーツをする機会があまりなかったなってことですね。現役時代からこういった機会があれば、もっといろんな人ともつながれたし、いろんなスポーツに興味が持てたとも思います」と話しました。

また、「スポーツを引退した後に、いろいろな競技の選手たちが競技の垣根を超えて出会えるのはとても良いこと。今後もスポーツの力を使って、人や社会に還元していきたいですね。HEROsの活動はこれからです!」と今後についても熱く語りました。

HEROsアンバサダー 大林素子氏

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現在は、スポーツキャスターや大学の客員教授として活動をしている大林素子氏

パラスポーツを体験してみて、「元バレーボーラーなのでシッティングバレーボールが上手かといえば、そんなことはなく、セットを取られてしまいました…。普段とらない姿勢でプレーするので、難しかった。腕もパンパンです!」と、パラスポーツの難しさを語りました。

今回のイベントについては、「2018年からHEROsのアンバサダーとして、さまざまな運動会イベントに参加しましたが、アスリートのみのイベントは初めて。競技の違いなど関係なくHEROsのメンバーで一つのチームになれた気がしました。 これまでいっぱい応援してもらいさまざまな人に支えられてきました。これからは自分が応援し、支える側に回りたいです」と話しました。

新HEROsアンバサダー 女子サッカー 近賀ゆかり選手

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新HEROsアンバサダーの近賀ゆかり選手

イベント当日に、HEROsアンバサダーに就任した近賀ゆかり選手は、アンバサダー就任について「分からないことばかりですが、同じサッカーをしていた中田英寿さんなどもいるのでとても光栄です。これから頑張っていきます!」と意気込みを話しました。

パラスポーツを体験してみて、「それぞれの競技に特性があって、それをつかむことで向上できるところは、他のスポーツと全く変わらないことです。ゴールボールなど感覚を研ぎ澄ませるスポーツなどともっと早く出会っていたら、自分の競技にも生かせていたかも。年齢を超えて、いろんな人がつながれるパラスポーツをもっと広めたいですね」とパラスポーツの魅力を語りました。

HEROsアンバサダー 河合純一氏

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バルセロナからロンドンまで6つのパラリンピック大会に出場し、21ものメダルを獲得したパラ水泳のレジェンド、河合純一氏

パラスポーツが持つ可能性について、「そもそもスポーツって楽しいな、面白いなっていう気持ちや人とつながれて良かったという思いがベースにあると思うんです。そういうツールの一つとして、いろいろな方が楽しめるきっかけになるパラスポーツをもっと健常者の方にも体験してもらえたらうれしいですね」と語りました。

パラ卓球 金子和也選手

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パラ卓球選手の金子和也選手

パラスポーツの魅力について「障害があると、スポーツは難しいのではと思われる方もいると思いますが、競技として成り立ちながら、自分の感覚や、相手の弱点を見抜いて戦うパラスポーツは、人間ってここまでできるんだという可能性や感動を届けられるスポーツだと考えています。パラ卓球の場合、障害に応じてクラス分けがあるなど、平等に戦えるところも魅力の一つですね」と語りました。

参加アスリート

HEROsアンバサダー 

東 俊介氏(ハンドボール)
上原 大祐氏(パラアイスホッケー)
大林 素子氏(女子バレーボール)
河合 純一氏(パラ競泳)
近賀 ゆかり選手(女子サッカー)
中田 英寿氏(サッカー)
根木 慎志氏(車いすバスケットボール)

HEROs AWARD受賞者・団体

飯沼 誠司氏(ライフセービング)
北野 華子氏 (Being ALIVE Japan)
長谷川 翔氏 (Being ALIVE Japan・プロビーチバレー)

アスリート

伊藤 みき氏(女子フリースタイルモーグル)
今井 友明選手(車いすラグビー)
太田 渉子選手(パラテコンドー)
荻原 次晴氏(ノルディック複合)
小野 真由美選手(女子ホッケー)
金子 和也選手(パラ卓球)
ギャオス内藤氏(プロ野球)
坂本 博之氏(ボクシング)
杉田 秀之氏(ラグビー)
田口 亜希選手(パラリンピック射撃)
田中 琴乃氏(新体操)
花岡 伸和氏(車いすマラソン)
原田 季郎選手(ラグビー)
巻 誠一郎氏(サッカー)
三宅 克己氏(車いすバスケットボール)
宮下 純一氏(競泳)
山田 幸代選手(ラクロス)
池 あいり選手(パラ水泳)
石川 雄大選手(パラアイスホッケー)
宿野部 拓海選手(パラ卓球)
堀江 航選手(パラカヌー)
本堂 杏実選手(パラアルペンスキー)
三元 大輔選手(車いすバスケットボール)

寄付の状況 2022年9月末現在 
1億8,095万3,302円

日本財団への寄付 4つの特徴

  1. 寄付金はすべてを支援活動に活用します
  2. 50年以上の助成実績があります
  3. 寄付者の皆さまにきちんと報告します
  4. 税制上の優遇措置が受けられます