HEROs AWARD 2017受賞者アンジェラ・磨紀・バーノン氏による榛名女子学園訪問「自分を大切にする、自分を愛するために。」

HEROsでは、皆さんから寄せられた寄付金を活用し、スポーツの力を有効に活用して子どもたちの支援を進めています。
今月は、HEROs AWARD 2017の受賞者であるアンジェラ・磨紀・バーノン氏が2度にわたって実施した「HEROs更正支援プロジェクト」についてお届けします。

8月29日・10月7日の2回にわたり、群馬県にある榛名女子学園でアンジェラ・磨紀・バーノン氏による「HEROs更正支援プロジェクト」を実施しました。
本プロジェクトは、少年院にいる子たちに、アスリートのモチベーショントークやスポーツ交流を通して更正を促すことを目的としています。

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アンジェラ氏による講演の様子

榛名女子学園は、関東・甲信越・静岡地方の家庭裁判所または裁判所において、審判若しくは裁判により保護処分または刑の執行を受けるため少年院送致決定を受けた14歳以上20歳未満の女子少年を収容する国の施設です。

当施設には、虐待・いじめ・母子家庭・依存の経験がある在院者が多く、特性として未熟な自己統制力・規範意識の欠如・愛情欲求不満・低い自己評価が挙げられます。また、28.4%が覚せい剤事犯、71.6%は窃盗等の非行で収容されています。出院後の進路については、46.9%が無職、21%が学生、32.1%が有職となっています。全国的にも、出院後に職に就けないことが多く、再犯を犯してしまうことが多いのが現実です。

そこで、HEROs AWARD 2017受賞者で、プロサーファー・ヨガインストラクターであるアンジェラ氏は、在院生たちと一緒にヨガをした後、自らが生まれ育った環境や辿ってきた人生を語るというプログラムを提案し、HEROs更生支援プロジェクトを実施しました。アンジェラ氏が登場した最初は、在院生たちは緊張した面持ちで心を閉ざした様子でした。しかし、ヨガを始めて10分ほど経つと、在院生たちはヨガの厳しさに声を上げ笑みがこぼれ始めました。ヨガ終盤にはアンジェラ氏がみんなの輪に入っていきました。ヨガを通してアンジェラ氏に対して在院生が心を開いていく様子を見て、スポーツの力を感じずにはいれませんでした。難しいヨガポーズの際に、アンジェラ氏は「チャレンジしよう。チャレンジせずに諦めるのはもったいない!」と声をかけ、頑張る気持ちを奮い立たせました。

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ヨガを教えるアンジェラ氏

ヨガ交流後のアンジェラ氏による講話では、在院生たちは真剣に耳を傾けていました。アンジェラ氏は自身の経験談を赤裸々に話し、それに対して共感を示す様子が多く見受けられました。在院生と同じ女性として、アンジェラ氏は「Shine Your Light 自分を大切にする・愛すること」の大切さを伝えました。ハワイ在住のアンジェラ氏は、アメリカでは「自分を大切にすることで周りを幸せにできる」という価値観があり、「自分は大切にされる価値があると信じることの大切さ」について語りました。

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アンジェラ氏の講話を真剣に聞く在院生たちの様子

最後に、アンジェラ氏は在院生たちに「あなたの理想の人生は?」と問いかけ、理想の自分がどんな人なのか、理想に近づくために何をしなければならないのか、を考えると人は変わることができると力強くエールを送りました。変わるためにまずは1ヶ月努力してみようと話し、「自分を大切にする・愛せる自分になるための行動や考え方」を紙に書いてもらいました。みんなの変化を見届けるべく、アンジェラ氏は榛名女子学園への再訪問を約束しました。

最後に、在院生の代表は「少年院出院者は良く思われない中で、アンジェラさんのように応援してくれる人がいることを忘れずに、社会復帰に向けて頑張ります。」とアンジェラ氏に伝えました。

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笑顔でHEROsTシャツを贈呈するアンジェラ氏

それから約1ヶ月が経過し、アンジェラ氏は榛名女子学園に再訪しました。アンジェラ氏の笑顔あふれるヨガ体験で、今回も早速在院生と距離を縮めている様子でした。今回は、2回目ということもあり、さらに難しい体勢のヨガにもみんなで挑戦。この日を迎えるまで「ヨガは大変だし疲れるから1回目は諦めてしまったポーズもあるし、またヨガをするのは嫌だ」と思っていたという在院生も、アンジェラ氏の明るい声掛けに応じて積極的に挑戦するなど、1回目からの成長が見られました。まずは1ヶ月努力する、ということを実際にしてみた結果なのかもしれないと感じる場面でした。

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マインドワークショップの様子

今回も、ヨガを終えた後は講話の時間でした。前回より、少し長く時間を設けマインドワークショップを実施しました。
前回に続いて、今回は「Believe your dreams 自分の夢を信じる」ことの大切さを伝えました。「この先どんな人生を過ごしていきたいか、イメージし、できると信じることが大事。」と熱く語りました。そのためにも、今の夢をカードに書いて毎日見ることをすすめました。アンジェラ氏は自身の夢について目を輝かせながら話してからみんなに夢のシェアをお願いすると、数人の在院生が挙手して夢を語りました。その様子からは、講話中は静かに聴いていた在院生たちがアンジェラ氏との会話を楽しみにしていたようにも感じ取れました。

とてもいい雰囲気でワークショップは進むと、最後の質疑応答の時間では、「どこに行ったらアンジェラさんに会えますか?」という質問もありました。アンジェラ氏は「ハワイの海の中に一番長くいます」と笑いを誘うと、次々とアンジェラ氏についての質問がありました。2回を通し、在院生の中でのアンジェラ氏への興味関心が高まって、在院生との心の距離がぐっと近くなっていました。

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ハグを待つ在院生の列に喜ぶアンジェラ氏

そして、最後には、1回目には勇気がなく提案することすらできなかったという「ハグ」を自ら提案。希望する在院生たちとハグをして声を掛けながら、一人ひとりに愛を届けました。中には、ハグをしたまま、なかなか離れない在院生もいました。終了後、アンジェラ氏は「ハグができて本当に良かった」とほっとした表情で話していました。そして、2回にわたり榛名女子学園が訪問させてくれたことに感謝の気持ちを伝えていました。

「自分を大切にする」、「自分の夢を信じる」というアンジェラ氏からのメッセージはとても心のこもったものでした。アンジェラ氏のように、在院生を応援している人がいることこそ、少年院にいるみんなへの希望の光です!

日本財団HEROsはスポーツの力、アスリートの力を活用して、子どもたちに希望を与えるために更生支援プロジェクトをはじめとして今後も活動していきます。

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