【現地レポート】茨城県、被災者の心身 鍼灸師のマッサージでケア

写真:体育館内に置かれた簡易ベッドのうえに横たわった被災者にマッサージをする茨城県鍼灸師会の活動の様子
水戸市の体育館で活動する茨城県鍼灸師会の会員(同会提供)

「令和元年東日本台風」と命名された台風19号は、茨城県にも甚大な被害をもたらしました。県内では死者2人を出し、家屋損壊は2019年12月時点で全壊や半壊、一部損壊を含めると4,000棟以上に及びました。

台風19号が接近した2019年10月12日、気象庁は午後7時50分に大雨特別警報を発令しました。大雨に見舞われた茨城県では一時は2万戸以上が断水し、多くの避難者が出ました。多くのボランティアが駆けつけ、大雨で浸水した家屋の清掃などを手伝いました。

そうした被災者やボランティアの疲れを癒やそうと、茨城県鍼灸師会は被災直後の10月末から11月初旬にかけて、鍼や灸、マッサージを計6日間、延べ200人以上に施しました。

県鍼灸師会の大高達雄会長は「被災した住宅の片付けでは、普段は動かさない重い家具などを運ぶ作業もあり、腰や肩の痛みを訴える人たちにとても喜ばれました」と話します。

写真:温泉施設内にある畳の部屋の入り口付近で、マッサージの順番を待つ女性やスタッフの後ろ姿
マッサージのボランティアは茨城県大子町の温泉施設でも施された (茨城県鍼灸師会提供)

県鍼灸師会のマッサージは被災者の体のケア以外の効果も生みました。大高さんは「マッサージをしている間は被災者の話を聞く時間でもありました。被災した苦しさは、身近な人には言えないけれど、私たちのような外から来た人には言いやすいのかもしれません。話を聞くことが心のケアにもなったと思います」と振り返りました。

大高さん自身が営む鍼灸院には被害がありませんでした。一方、知人が勤める整骨院は床上浸水し、開業できない時期が続きました。身近な人が被災したことや、普段使う道路が冠水した様子を見て、「これまでは他人事だった災害が一気に身近に感じられました」。そして、こう意気込みます。「被災者の方に喜んでもらえることは何かを考え、勉強して、またボランティアに臨みたいです」


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