パラスポーツの楽しさを体感!日本代表アスリートが車いすバスケに挑戦した一日
2022年4月17日(日)、TOKYO SPORT PLAYGROUND(東京都江東区)にて、車いすバスケ ビギナーズカップが開催されました。
本イベントには、今回特別に結成された「HEROsチーム」が参加。
監督は根木慎志さん(元車いすバスケ日本代表)、参加選手は東俊介さん(元ハンドボール日本代表)、萩原智子さん(元競泳日本代表)、寺川綾さん(元競泳日本代表)、大野均さん(元ラグビー日本代表)、岩下達郎さん(元3×3バスケ日本代表)、小田凱人さん(車いすテニス日本代表)といった豪華なメンバーが集結しました。
トップレベルのアスリートが競技の枠を超えて、車いすバスケに挑戦した今回の企画。当日のイベントの様子をお届けします。
トップアスリートから聞く、「難しい!」
まずは監督の根木さんがご挨拶。「今日はいろんな種目の選手が集まっています。楽しみながら応援してください!」
その後、各チームのウォーミングアップが始まりました。HEROsチームは、車いすの操作に慣れるため鬼ごっこからスタート。皆が徐々に車いすで動けるようになってきたところで、根木さんがターンの指導を開始しました。
車いすバスケでは、ボールを保持したまま2回まで漕ぐことが認められ、3回以上になるとトラベリングになります。根木さん自ら見本を見せながら、2回漕いでターンする練習に挑戦。さすがはトップアスリート、皆吸収力が早かったです。
続いて、シュート練習へ。なかなかシュートが決まらないものの、入ったら全員で喜ぶ姿が印象的でした。根木さんからのアドバイスを受けながら順調に練習は進んでいきました。
得点を決める上で特に重要な、レイアップシュートの練習も。あまりにもシュートが決まらない様子に、東さんは「このままで優勝狙えるの?(笑)」と発破をかけます。「このままではだめだ!」と、皆が熱心に練習を重ねていました。
シューティング練習もひと段落し根木さんがメンバーを集めます。「みんなで気合いを入れて楽しむぞ!ミスをしても喜ぼう!」と声かけ。「ボールを持ったら、まずはリングを見て、いけそうならシュートをする。笑顔でボールを取りにいこう!」自然と周囲が笑顔になる、根木さんの明るい声かけが終始響きわたっていました。
試合が始まるまで、全員で円になってパス練習も。ボールを2個にして速いペースで回したり、ボールを持ったらハンドリングをしたり、さまざまな方法で交流を深めていました。
根木監督の作戦が的中!HEROsチームが優勝へ
そして1回戦が始まります。今回の大会は、前半と後半それぞれ7分ずつで全試合が実施されました。
HEROsチームはゴール下まで何度も攻めるも、最後のシュートが決まらずなかなか得点が入りません。初めてシュートを成功させたのは、ゴール下でフリーになった岩下さん。元3×3の日本代表だけあって、落ち着いて最後のシュートを決めていました。前半は相手に1本取られて、2-2の同点で折り返しました。
後半は、寺川さんからゴール下の岩下さんへパスが決まって、4-2と点差を広げます。点差を守りきり、見事1回戦を突破しました。
今回参加していたのは4チームだったため、1回戦の次は決勝戦となります。優勝を目前とした試合前、“アスリート魂”に火がついたのか、それぞれ時間を見つけて車いすの操作やパスなど自主練習に取り組む姿が見られました。
そして、負けられない最終決戦が始まりました。東さんが声をかけて円陣を組み、試合開始。HEROsチームは、身長が高くシュート率が高い岩下さんにパスを入れて得点を重ねる作戦です。作戦は的中して、岩下さんのシュートだけで6-0に。その後東さんが決めて8-0となり、試合が終了、見事HEROsチームが優勝を飾りました。
車いすバスケは、健常者も存分に楽しめる
試合後にMCからHEROsチームの強さの秘訣を聞かれると、根木さんは「ポテンシャルはもちろんですが、アスリートならではの負けず嫌いなところです。あとは寺川さんの笑顔!」と回答。
「選手の皆さんの感想もお願いします!」と根木さんが誘導し、各選手が来場者に向かってコメント。岩下選手は「車いすバスケは初めてでしたが、とても楽しかったです。誰でもできますし、もっと広まって欲しいと思います。見るだけでなく、一緒に楽しみましょう!」と話し、大野選手や寺川選手も「健常者でも楽しめるスポーツだと改めて実感しました」と車いすバスケの魅力を体感した様子でした。
車いすバスケを体験できる機会はあったとしても、実際に障がい者と健常者が一緒になって実践的にプレーする機会は少ないもの。ただ、分け隔たりなく誰もが共に楽しめるものであり、他のスポーツと一緒であることが参加者に伝わったように思えます。
東さんは「車いすに乗るということが、どれほど大変なことか実感できます。仲間への思いやりを培っていけるスポーツかなと。ぜひ広めていって、仲間になっていきましょう」とコメント。小田選手は「こういったイベントが増えていけば、車いすテニスや車いすバスケ含めてパラスポーツが盛り上がっていくと思うので、引き続きよろしくお願いします!」とパラスポーツへの思いを語りました。
パラスポーツは、障がいを持っている人だけが取り組むものではありません。健常者も含めて誰もが一緒になって楽しめるスポーツです。トップアスリートが先頭を走り、スポーツの輪がまた少し広がった一日でした。