日本でクリスマスを過ごすウクライナ避難民に、心温まるプレゼントを

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メッセージ日本語訳「日本財団とみなさんの手厚いサポートに感謝します。我々の生活を快適でストレスの少ないものにする支援をいただき、本当にありがとうございます。お気遣いいただきありがとうございます。そして、悲惨な状況に一緒に寄り添っていただき、ありがとうございます。」

日本にはこれまで2,300人以上のウクライナ避難民の方々が入国し、今もその多くが日本で生活をしています。

2022年2月にウクライナ侵攻が開始してから約1年。慣れない土地で暮らすことを余儀なくされた方々をサポートするため、日本財団はさまざまな事業を行っています。

今回、株式会社コーセーからご寄付をいただき、日本でクリスマスを過ごすウクライナ避難民の皆さんに、素敵な化粧品セットのプレゼントを贈ることができました。

「日本で過ごすクリスマスが心温かいものなりますように」というメッセージカードをそえて贈られたプレゼント。皆さんに想いは届いたのでしょうか。

プレゼントを受け取っていただいたシャルコ・ソフィアさんにお話を伺いました。

日本に避難してきて約1年、ソフィアさんの日本での生活は?

ソフィアさんが日本に避難をしてきたのは2022年3月末。日本で暮らすようになってからもうすぐ1年(取材時)になるそうです。パートナーを頼って日本へ来ることにしたというソフィアさん。その決断は簡単ではありませんでした。

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ソフィアさんにはオンラインでインタビューさせていただきました。

「もともとウクライナにいたときに調べたことがあったので、日本についてある程度の知識はありました。もともと日本人は他人に優しいというイメージを持っていましたね。
今回、私は一人で日本へ避難しています。ウクライナに家族を残すことはとても難しい決断でした。
幸い、日本にはパートナーがいましたので、日常生活の上で大きな問題はありませんでした。パートナーのご家族にも手厚くサポートをいただいていますし、それ以外のさまざまな方にもサポートや相談に乗っていただいているので、とてもありがたく感じています」(ソフィアさん)

周囲のサポートのおかげで困り事は少ないと話す、ソフィアさん。しいて困り事をあげるとすれば、日本に来られたウクライナ避難民の方の多くがぶつかる、言語の問題だそうです。

「日本の生活にも慣れてきましたし、困ったり悩んだりすることは少なくなっています。今、一番悩んでいるのは言語の壁ですね。母国語のほかに英語を話せるのですが、日本語は話せません。英語と同じように勉強すればできるようになるかと思ったのですが、なかなか難しいですね。
でも、機会があるときはできるだけ日本語で話そうと努力しています。これからも勉強を続けていきたいと思います」(ソフィアさん)

ソフィアさんはウクライナ人が集まるカフェにしばしば訪れるそうです。そこで他のウクライナ人の方からよく聞く悩みが、買い物の仕方の違いなのだとか。買ったものを返品するにはどうすればいいのか。壊れた場合はどこに持っていけばいいのか。そういった細かいこと一つひとつが日本語のわからないウクライナの方にとっては悩みの種になるようです。

また、カフェでよく聞くのが仕事探しの悩み。日本語を話すことができないと、どうしても仕事は制限されてしまいます。ソフィアさんの場合は英語を話せるため、現在インターナショナルな環境の職場で、フルタイムで働くことができているそうです。

「私はもともとウクライナではビューティーサロンで働いていました。日本に来てから一度転職をしたのですが、現在もウクライナのときと同じようにサロンで働いています。ほとんどのお客様が外国人の方なので、言語もまったく問題ありません。
でも、やっぱり他のウクライナ人の方からは仕事探しの悩みはよく聞きますね」(ソフィアさん)

クリスマスプレゼントの化粧品セット、ソフィアさんの反応は?

以前、コロナ禍に伴う支援事業で医療従事者の皆さまに向けて化粧品セットの寄贈をいただいたことのあるコーセー。

日本財団がウクライナ避難民支援基金を立ち上げた際に、ウクライナ避難民の方の多くが女性であることをお伝えすると「今回もぜひ力にならせてください」と快く支援を申し出ていただきました。

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コーセーから寄贈された化粧品セット

今回寄贈いただいたのは化粧品セット。メイクセットとスキンケアセットの2種類を用意して、選んでいただけるようにしました。クリスマスプレゼント企画として実施された本企画。実はウクライナではキリスト教の宗派によって12月25日に祝う方と1月7日に祝う方がいらっしゃいます。そのため12月25日から1月7日の期間にプレゼントが届くようにしました。

今回の支援事業を担当した日本財団職員のインナ・ガジェンコは、ウクライナ出身。学生時代に交換留学で日本に訪れ、数年前から日本に滞在しています。日本財団がウクライナ避難民支援を開始した後、「自分も少しでも役に立てれば」という想いで入職しました。

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プレゼントキットを説明するガジェンコ

ウクライナの方に喜んでもらうためには、どんな化粧品が良いか。ガジェンコが頭を悩ませました。

「コーセーさんからアイテムの候補を実際に送っていただいて、ウクライナの皆さんにはどういうものが好まれるか、意見をお伝えさせていただきました。
ウクライナの女性はメイクアップがとても好きなので、メイクセットの方が人気が出ると思ったのですが、実際に募集してみると意外な結果でした。
ウクライナと日本では環境が違うので、在日ウクライナ人女性の方には乾燥が気になるという方がとても多いようです。これまでに960件の化粧品セットを贈らせていただいたのですが、578件がスキンケアセットでした」(ガジェンコ)

では、プレゼントを受け取ったソフィアさんには喜んでもらえたのでしょうか?

「ウクライナで暮らしていたとき、パートナーが日本からやって来ると毎回日本の化粧品をプレゼントしてくれていました。肌の問題がそれで改善したので、もともと日本の製品を使っていたんです。
コーセーのことはプレゼントをいただく以前から知っていて、実際に使用したこともありました。私は今回スキンケアのセットをいただいたのですが、気に入って毎日使っていたので、ほとんど使い切ってしまいました。
日本の冬は肌が乾燥します。スキンケアセットに入っているアイテムを使って、肌が元気になったような気がします」(ソフィアさん)

美容のプロであるソフィアさんにもお墨付きをいただいた今回のセット。日本財団にはソフィアさんの他にも「日本の化粧品が大好きで、いつも肌が健康で整っています」「スタイリッシュな瓶に入った製品のテクスチャーは、とても軽く、心地よいです」など、さまざまなご好評の声が届いています。

加えて、ソフィアさんから感謝の言葉もいただいています。

「私にとって化粧品をつける瞬間はとても大切な時間です。肌に良い影響があったということもそうですが、私たちのことを考えてわざわざプレゼントを贈っていただいたことを想像すると、とても温かい気持ちになります。いただいたものを使うと、本当に感謝の気持ちでいっぱいになりますね」(ソフィアさん)

日本財団がウクライナ避難民支援基金を立ち上げてから現在に至るまで、多くの方々から支援をいただきました。寄付総額は¥180,784,564(2023年4月5日現在)になります。

改めてガジェンコが一人のウクライナ人女性として、支援の意義について話してくれました。

「日本の皆さんからの支援は、ウクライナ避難民の皆さんの大きな助けになっていると思います。入国の段階では渡航費を自分では払えない人も多いと思いますし、日本で暮らし始めてからも経済的に困窮する方が少なくないと聞きます。
ソフィアさんのように英語で仕事ができる人はとても運がよく、日本語が分からないために仕事が見つからないという人もいます。そういった人たちは、支援があるからこそ、安心して生活することができているのです。」(ガジェンコ)

日本で生きていくという選択肢を、ウクライナの人々へ。

日本財団では、ウクライナ避難民支援を行う各団体への助成プログラムのほか、これまで独自でウクライナ避難民支援も行い、合計1,428名(2022年10月26日時点)に渡航費・生活費・住環境整備費支援を行ってきました。

また、日本に避難してきたウクライナの人々へさらなる支援を行うため、ウクライナ避難民支援基金を開設しています。いただいたご寄付はウクライナ避難民の皆さんが安心して生活を送り、地域に溶け込むことができるように、日本語学習の支援、生活相談窓口、物資の配布(交通系ICカード等)、地域イベントでの交流などに使われる予定です。