日本財団子どもたちに家庭をプロジェクト

特別養子縁組や里親制度のさらなる普及により、生みの親と暮らすことのできない子どもたちがあたたかい家庭で暮らせる社会を目指すプロジェクトです。

社会的養護を必要とする子どもたち

様々な家庭の事情で生みの親と暮らせない子どもたちが、日本には約4万2,000人います。国連のガイドラインによると、こうした子どもたちは里親制度や養子縁組を通じて家庭で暮らすことが望ましいとされていますが、日本では施設で生活する子どもが多い傾向にあります。現在、日本で社会的養護を必要とする子どものうち約80%が乳児院や児童養護施設などの施設、約20%が里親家庭やファミリーホームで暮らしています。諸外国では里親家庭で暮らす子どもの方が多く、日本でもより子どもが家庭で暮らせるようにする取り組みが必要です。

各国の要保護児童に占める里親委託児童の割合(2018年前後の状況)(%)

各国の要保護児童に占める里親委託児童の割合(2018年前後の状況)(%)の棒グラフ。イギリス73.2%。ドイツ48.3%。フランス44.2%。イタリア52.4%。アメリカ81.6%。カナダ(BC週)85.9%。オーストラリア92.3%。香港57.0%。韓国29.6%。日本21.5%。
※「乳幼児の里親委託推進等に関する調査研究報告書」(令和2年度厚生労働省先駆的ケア策定・検証調査事業)
※日本の里親等委託率は、令和元年度末(2020年3月末)
※ドイツ、イタリアは2017年、フランス、アメリカ、カナダ(BC州)、香港は2018年、イギリス、オーストラリア、韓国は2019年の割合
※里親の概念は諸外国によって異なる。

また、生みの親の元に戻ることができない子どもについては、養子縁組により新しい家庭を得ることが望ましいとされ、日本では、公的機関である児童相談所と民間団体が、子どもの福祉を目的とした養子縁組を行っています。日本で特別養子縁組をする子どもは年間500人程度ですが、アメリカでは毎年5万人以上、イギリスでは4,500人以上の子どもたちが養子縁組しており、日本での養子縁組の取り組みがまだまだ少ないことがわかります。

パーマネンシー(恒久的な家庭)という考え方

「子どもの代替養育に関するガイドライン」には、下記のように書かれています。

  • 家族による養育のもとに子どもを留めるか、家族に戻すための努力を支援し、それに失敗した場合は、養子縁組やイスラム法におけるカファーラなど、他の適切で恒久的な解決策を見いだす努力をすること。
  • そうした恒久的な解決策を見いだすまでの間、あるいはそれが不可能であったり、その子どもに最善の利益をもたらさなかったりする場合には、代替養育の最も適切な形を特定し、確保すること。

子どもが生みの親の元に戻ることができない場合は、生物学上の親戚または非常に近い関係性の個人、または養子縁組などの“恒久的”な家族を探すことが望ましく、里親による保護や施設による保護は、それが見つかるまでの“代替的”な養育、つまり一時的なものという位置づけです。子どもが大人になっても関係性を継続しうる家族を得ることが目標となっており、これを「パーマネンシーケア」といいます。

里親や施設など“代替的”な養育を受ける期間は、できる限り短くしようとする方針が諸外国では取られています。

写真:子供が外を眺めている様子

児童福祉法の改正

日本でも2016年6月に改正児童福祉法が公布され、生みの親が養育できない子どもは、養子縁組や里親・ファミリーホームなど家庭と同様の養育環境で、継続的に養育されることが原則となりました。またこれまで養子縁組は児童相談所の業務として明確に位置づけられていませんでしたが、法律の改正により児童相談所が取り組むことになりました。
日本財団は、この法律の理念の実現を目指し、子どもたちがあたたかい家庭で育つ社会に向けて、「子どもたちに家庭をプロジェクト」を通じて様々な活動を行っています。

写真:赤ちゃんを笑顔で父親が見ている様子

子どもたちに家庭をプロジェクトの活動

周知啓発

日本の養子縁組や社会的養護の現状が広く認識されるために、4月4日を「養子の日」として啓発活動を行っています。あわせてホームページやフェイスブックでの情報発信や、講演会・シンポジウムなどを実施しています。

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養子の日イベントの模様

調査研究と政策提言

家庭養護の推進にかかわる調査研究や、法律や制度の改善に向けた政策提言を行っています。また、多くの方に知っていただけるよう報告書やガイドブックなどを発行しています。

表紙
里親に関する意識調査 表紙

人材育成

里親を対象とした研修(フォスタリングチェンジ)、特別養子縁組についての研修、妊娠相談にかかわる専門職のための研修等を企画・実施・支援しています。

ネットワークの構築

「子どもの家庭養育推進官民協議会」や「全国妊娠SOSネットワーク」など関係者のネットワーク構築や連携を促すことで、課題解決が促進されることを目指しています。

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「子どもの家庭養育推進官民協議会」発足記者発表での記念写真

民間団体への資金協力

特別養子縁組と里親制度の普及や、モデルプロジェクトの実施を目指して、民間の里親支援機関や養子縁組団体への資金協力を行っています。

関連リンク

お問い合わせ

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