難病児支援

写真:難病児とその保護者たちが談笑する様子

小児がんや心臓の病気など、とても重い病気で、常に治療と向き合っている子どもたちは全国で14万人以上。また、人工呼吸管理や経管栄養など、何らかの医療的ケアを必要としながら自宅で生活している子どもは全国で18,000人といわれ、 私たちの町にも重い病気と共に暮らしている家族がいます。その中には病院と家の往復が生活の中心となり、厳しい治療を強いられる子どもも少なくありません。難病の子どもと家族を「地域で支える体制」を整え、医療・福祉・教育、子ども、家族を支える専門家をつないで、子どもと家族の社会的孤立を防ぎ、みんながみんなを支える取り組みを推進しています。

難病児とその家族を支援

小児がんや心臓の病気など、とても重い病気で、常に治療と向き合っている子どもたちは全国で14万人以上。

また、人工呼吸管理や経管栄養など、何らかの医療的ケアを必要としながら自宅で生活している子どもは全国で18,000人といわれ、 私たちの町にも重い病気と共に暮らしている家族がいます。

その中には病院と家の往復が生活の中心となり、厳しい治療を強いられる子どもも少なくありません。

「何で自分だけが病気なの?」、「学校にいきたい、友達と遊びたい」、という言葉を受け止める両親の辛い気持ちは想像に難くありません。

「病気になった原因は親にあるのではないか?」、「できることなら自分が代わってあげたい」という出口のない思いに何度も何度も押しつぶされそうになりながら、小さな命を守るため懸命に頑張っている家族に私たちは何ができるのでしょうか。

私たち日本財団は、彼らが助けを必要としたとき、つらくて悲しいとき、いつでも安心して頼ることができる「つながり」や、同じ病気と闘っている「仲間」、そして子どもたちには「夢や希望」を届けるため、全国に生活サポート拠点を立ち上げ、子どもたち一人ひとりにあわせた経験と成長の場を増やすための活動を進めています。

私たち一人ひとりにできることは限られていますが、たくさんの気持ちをあわせて、頑張っている子どもとその家族に「ひとりじゃないよ」というメッセージを届けていきましょう。
皆さんからのご寄付は、全額、病気と闘う子どもとその家族の支援に大切に活用させていただいています。

社会のなかで 難病の子どもを育てる

写真:瓦井 千寿さん、尊くん、“うりずん”のスタッフのみなさん
大好きなスタッフさんと。看護師や介護士が常駐し、子どもと家族をサポートします。

難病児と家族を地域で孤立させない取り組み

医学の発達に伴い、救うことができるいのちが増えた反面、家庭のなかで子どもたちの介護を担う家族への支援が不足し、疲弊する人も少なくありません。
2016年春、栃木県に完成した新「うりずん」は、胃ろうや人工呼吸器など、医療ケアが必要な子どもを日中に預かり、家族全体の生活をサポートすることができるようになりました。利用者の瓦井 千寿さん、尊(たける)くんに、“うりずん”を利用した生活と、子育ての模様をうかがいました。

すべてが母の責任だと思っていた

「休日は家族でのんびり過ごし、春先はお花見やバーベキューに出かけます。尊はドライブが好きで、高速道路に乗ると喜ぶんです。」
尊くんは現在高校1年生。出生時低酸素性虚血性脳症のため、NICU(新生児特定集中治療室)と小児病棟を経て、3歳のときに退院し在宅生活へ移行しました。
“うりずん”がオープンしてからは、週に1、2回、10時から16時の間に利用しています。帰宅後、夕飯と入浴を済ませ、家族が就寝すると、人工呼吸器をつける尊くんのために、千寿さんは2時間おきに起きてケアをおこないます。

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やわらかい色合いの木目の部屋には自然と子どもたちやスタッフの笑い声が響きます。

現在では兄弟も増え家族全員で暮らしている瓦井さんですが、尊くんが生まれた当時は、人工呼吸器をつけた子どもが家に帰ることは例が少なく、病院側の反応も厳しいものでした。
「一日も早く、最愛の息子と暮らすことを願っていました」生まれたばかりのわが子には病院でしか会うことができず、毎日のように泣いていた時、千寿さんが出会ったのが、後に“うりずん”を立ち上げる小児科医の髙橋昭彦先生でした。髙橋先生を中心に、行政や病院へ小児在宅支援の呼びかけを懸命におこない、とうとう尊くんの在宅生活を始めることができました。
ようやく家族全員の生活が始まったものの、介護と子育てに「ギリギリの状態だった」という千寿さん。幸いたくさんの方のサポートもあり、尊くんはすくすくと成長しましたが、日々の生活の中で戸惑うことも少なくなかったといいます。
「他の人から『尊くんは元気?』なんて、聞かれることはあっても、尊ではなく私に尋ねることに困惑していました。他の人は、私が尊の考えていることを分かっていると思って聞くんでしょうけれど、私にだって全ては分かりません。それでも、『我が子が何を考えているか分からない』とは言えなくて、何もかも私の責任だと思っていました。辛かったです。」

「尊くん、お母さんに言いたいことがあるみたい」

そんな状況のなか、千寿さんと尊くんが“うりずん”を利用してしばらく経ったあと、変化が起こりました。
普段尊くんは、言葉や動作で自分の感情を発信することはできず、目や顔を動かすことで気持ちを伝えます。それまでは、尊くんの考えていることは母親の自分にしか分からないと思っていた千寿さんにとって、尊くんと仲の良い看護師から伝えられた、「尊くん、お母さんに言いたいことがあるみたいですよ」という言葉に、驚きを隠せなかったと言います。
「尊の考えていることを、自分以外に汲み取ってくれる人がいるんです。子どもにとって、家族以外の人とコミュニケーションできる場があることはありがたいことです」
尊が母親の愚痴を言える場所なんて、ここしかありませんものねと笑いながら話す千寿さん。年少の子にお兄さん風をふかしたり、お友達と嬉しそう過ごしたりする尊くんの様子を医療スタッフから伝えられ、母の知らない子どもの姿に、成長を感じ、顔をほころばせました。
「家の中にだけいると、子どもにとっては親の考えが絶対的なのものになってしまいます。逆に言えば、親が勝手に子どもの気持ちを汲み取って、子どもの本音を置き去りにしていることもたくさんあったと思います。自分の思いを息子に重ねていたんでしょうね」
“うりずん”を利用するようになって、子育てに対する考えも変わったと感慨深く語りました。

社会のなかで子どもを育てる

「尊を預けている日は、兄弟の用事を済ませたり、買い物に行ったり、好きなことをしてリラックスしています」と言う千寿さん。“うりずん”を利用するようになってから、家族の生活を楽しむ余裕ができたそうです。
「重い病気や障がいがあっても、社会の中で子どもが多くの人と関わりながら育っていく場所は貴重です。今までは、私が頑張らなければと気負っていましたが、“うりずん”を利用するようになってゆっくり使える時間ができて、子育てや家族との生活を楽しむ余裕ができました」

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車で出かけることが好きという尊くん。「“うりずん”にいると家庭では見せない顔が見られることが嬉しい」と母千寿子さん。

もともと、「うりずん」は沖縄の言葉で、寒い冬が終わり、若葉がいっせいに咲き乱れる初夏(若夏)の日を意味します。千寿さんが、「子どもに障がいがあっても家族一緒に暮らしたい」と願って15年。千寿さんの夢のつぼみが芽吹きました。
「私と尊にとって、“うりずん”は夢のような場所。たくさんの方が子どもの成長を見守り、育ててくださることに感謝しています」

日本財団の取り組み

孤立する難病の子どもと家族を「地域で支える体制」を整え、医療・福祉・教育、子ども、家族を支える専門家をつないで、子どもと家族の社会的孤立を防ぎ、みんながみんなを支える取り組みを推進しています。

取り組み(1) 難病の子どもと家族の支援施設の建設

子どもたちを安心して預けてもらえる支援施設を全国に建設しています。
日常的にいつでも使えると同時に、お母さんの体調の優れないとき、兄妹の運動会に参加するときなどに大変喜んでいただけます。
また、家ではなかなかできない遊びや学びの機会により、病気を持っていても、遊び、学びそして成長していきます。

難病の子どもと家族の支援施設一覧

宿泊可能施設
日中お預かり施設
キャンプ、旅行を楽しむレジャー、宿泊施設

取り組み(2) 入院中の子どもを支える活動

家族と離ればなれで、厳しい治療を送ることは幼い子どもにはとても辛いことです。
皆さんからの支援で、苦しい入院生活の中でも子どもたちに心からの笑顔をプレゼントしていきます。

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入院生活を送る子どもの病室を定期的に訪問し、遊び、関わりを通して、子どもたちの成長をサポート

取り組み(3) 夢の体験をプレゼントする活動

呼吸器や車いすなどの制限により、旅行にいけない家族のために、安心して旅行やキャンプなどを楽しんでもらう活動を進めています。私たちにとっては当たり前のことでも、家族にとっては一生の思い出です。

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難病とたたかう子どもたちと家族の旅行。新しい出会いや体験が、闘病生活を支える力に。

あなたにお願いしたいこと

子どもの病気を「知る」、「伝える」

重い病気を持つ子どもと家族のことを知ってください。あなたの町にもきっと頑張っている家族がいるはずです。そして、たくさんの方と話題にして、病気と闘う子どもとその家族の応援を大きな声にしていきましょう。

ボランティアで参加する

全国に「支援拠点」を立ち上げています。また子どもたちのキャンプなど、皆さんの協力を必要としている活動がたくさんあります。是非そうした施設や活動にボランティアで参加してみませんか。

寄付で支援する

日本財団では、今後全国に30カ所の支援拠点を建設していきます。
施設の建設には1カ所2,000万円~1億円ほどの建設費が必要です。
また、運営のための資金も1施設につき年間約1,000~5,000万円が必要です。

あなたからの寄付は全額、拠点の建設や支援活動に大切に活用させていただきます。

日本財団子どもサポートプロジェクトロゴ

日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。

その他のプロジェクトにもご協力をお願い致します

日本財団では、その他にも皆様のご支援を募っているプロジェクトがあります。
皆様のご支援を心よりお待ち申し上げます。

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お問い合わせ

日本財団 国内事業開発チーム

  • 担当:高橋、新田、本田
  • 電話:03-6229-5254