第33回世界保健機関(WHO)笹川健康賞授賞式
スイス・ジュネーブ
はじめに、第33回笹川健康賞を受賞されたアースラン・リンチン博士にお祝いを申し上げます。また、選考委員会の皆さまにも深く感謝申し上げます。
1984年の創設以来、笹川健康賞は、プライマリ・ヘルス・ケアの普及に貢献した個人や団体に授与されてきました。
リンチン博士は、疫学の分野でご活躍になり、特にウイルス性肝炎の研究に40年以上も取り組んでこられました。肝炎の公衆衛生政策が十分でなかったときに、リンチン博士は肝炎の予防接種の普及を呼びかけました。このような成果はリンチン博士のご功績によるところが大きいと思います。
さらにもう一つ、彼が関心を寄せている分野として、患者が苦しむスティグマ(社会的烙印)を制圧するという課題があります。B型肝炎の患者には、感染経路に関する誤解から、しばしばスティグマ(社会的烙印)がつきまとうと聞きます。
私自身は数十年、ハンセン病を制圧するための闘いを続けてきました。また、ハンセン病を患った人が、病気から回復してもなお、苦しめられているというスティグマ(社会的烙印)の問題とも闘ってきました。
私は、リンチン博士がB型肝炎の病気の研究だけでなく、そのスティグマ(社会的烙印)を制圧するための活動にも意欲を示されているその高い志を心から支持します。
リンチン博士と、彼の研究活動を支えてこられたすべての方に対し、2017年の笹川健康賞をお贈りできることを光栄に、そして、嬉しく思います。
おめでとうございます。