障害者の就労支援に関する国内・海外での調査を実施 調査報告書を公開
日本財団は、2017年12月~2018年1月にかけて、障害者の就労支援を行う事業所(就労継続支援B型事業所)へのアンケート調査ならびに障害者就労支援諸制度の国際比較のため、オランダ・ドイツへの視察調査を実施しました。
日本財団ではこれまで障害者の地域生活向上のため、福祉事業所への助成を中心に数々の活動を行なってきました。平成18年の障害者自立支援法の制定を皮切りとして、各福祉事業所の環境や社会背景が大きく変化すると同時に、障害者の生活も大きく影響を受けてきました。
そのような時代背景に伴い、現状把握ならびに障害福祉分野における就労支援事業のさらなる推進のため、国内・海外における調査を行いました。
国内では全国の就労継続支援B型事業所を対象とした実態調査を行い、B型事業所の課題である工賃の低さの要因を明らかにするとともに、必要な対応について提言を行うことを目的としました。
また、海外視察においては、保護就労の縮減、一般就労または一般就労に近い形での就労(ソーシャルファームなど)の方向に見直しが進められているオランダ・ドイツを訪問しました。現在障害者の就労支援は大きな転換期を迎えており、国連の障害者権利条約(日本政府は2014年1月に批准)によって障害者の社会参加のさらなる推進のため、各国では障害者の就労支援諸制度に関する見直しや新たな法整備が行われています。日本の現状を改めて見つめなおし、「障害者があたりまえに活躍する社会」に向けた具体的方策の提言を目的としています。
1.就労継続支援B型事業所アンケート調査 概要
回収方法
郵送により調査依頼を行い、Webにて調査票を回収
実施時期
2017年12月1日(金)~2017年12月27日(水)
配布数
WAMNET登録事業所数 12,021
宛先不明等による返送調査票数 186
有効配布母数 11,835
回収状況
計3,717票(回収率31.3%)
調査結果
- 40%の事業所では現状の支払い工賃をあまり十分でないと考え、工賃向上が必要だと思う事業所は89%に達する。また、66%の事業所は、平均工賃3,000円の最低基準を低いと考えている。
- 施設利用者へ支給する工賃について、就労支援と生活支援が混在していること、また、人材やノウハウ等の不足から工賃向上に結びついていないといった意見が多くみられた。一方で、代替的な施策に関してはベーシックインカム制度や賃金補填制度よりも「現行のB型事業のままが良い」との意見が多かった。
- 行政より支給される支援費について「施設維持」のためと考える事業所が35%と最も多く、「日々の生きがい・満足感の提供」のためであると考える事業所が32%であった。
- 現在の支給工賃の階層別に見ると、支給工賃の低い事業所と高い事業所では事業所の課題、作業内容、行政等への要望内容について異なる意見が見られた。
2.海外視察調査 概要
実施時期
2018年1月14日(日)~2018年1月21日(日)(現地視察)
訪問都市
ドイツ:フランクフルト、ベルリン ほか
オランダ:ハーグ、アムステルダム、ユトレヒト ほか
関連リンク
お問い合わせ
日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム
- 担当:竹村、福田
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