全国初、大分県と里親等の推進を目指す連携協定を締結4月1日より「家庭養育推進自治体モデル事業」を開始

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日本財団理事長尾形(左)と大分県広瀬知事(右)

日本財団は2021年3月17日、全国で初めて大分県と「家庭養育推進自治体モデル事業」にかかる協定を締結しました。
本事業は、すべての子どもがその権利を尊重され、安全で安心であたたかい家庭において育つことを目指す共同プロジェクトで、里親委託や特別養子縁組などの家庭養育の推進や、親子支援や親子分離の予防などに取り組みます。あわせて本事業を通じて、家庭養育推進の成果、課題、子どもへの影響等を検証し、全国において同様の取り組みを広げていくために参考となるエビデンスの蓄積と、モデルの構築を目指します。

大分県との取り組み概要

大分県では2024年度までに3歳未満の里親委託率75%の達成を目標とするほか、毎年新規里親15家庭の登録を目指します。また、予期しない若年妊娠等で支援があっても実親による養育が見込めない場合や遺棄児については、できる限り速やかに特別養子縁組を検討するなどの取り組みを推進します。日本財団は、これらの取り組みを支援するため、最長5年間で5億円規模を想定した助成を大分県内の民間団体(フォスタリング機関、児童家庭支援センター、乳児院等)に対して行う予定です。また、早稲田大学社会的養育研究所の協力のもと、里親委託の推進に関する研修やコンサルティングの提供や、事業成果の検証を実施いたします。

大分県への決定済み支援事業

事業名 団体名 助成金額(円)
家庭養育推進自治体モデル事業(大分県)における里親レスパイト等強化 社会福祉法人 清浄園(せいじょうえん) 4,050,000
家庭養育推進自治体モデル事業(大分県)における里親レスパイト等強化 社会福祉法人 別府光の園(べっぷひかりのその) 4,090,000
家庭養育推進自治体モデル事業(大分県)における里親リクルートおよび子育て家庭の在宅支援プログラム開発 特定非営利活動法人 chieds(ちいず) 43,250,000
51,390,000

背景・目的

日本では生みの親と暮らすことができず社会的養護を必要とする子どもが約4万5000人います。このうち約8割の子どもは乳児院や児童養護施設などの施設で生活しており、里親や養子縁組等の家庭的な環境で暮らしている子どもは約2割にすぎません。一方で国際的には、子どもの権利条約で子どもは家庭で育つ権利があるとされており、イギリス、アメリカ、オーストラリアを始めとする欧米諸国では、里親などの家庭における養育が主流となっています。日本財団は、子どもたちはあたたかい家庭で生活することが望ましいという考えのもと、これまで特別養子縁組や里親制度など、家庭養育の取り組みに力を入れてきました。

日本でも2016年の改正児童福祉法により、子どもの家庭養育優先が原則となりました。この改正児童福祉法の理念を具現化するために2017年に発表された「新しい社会的養育ビジョン」では、5年間で3歳未満の里親委託率75%、7年間で未就学児の里親委託率75%を目指すという国の数値目標が示されています。これを受けて都道府県は社会的養育推進計画を策定し、それぞれの里親委託率の目標値を設定していますが、国が掲げている目標である2024年度末までに3歳未満の里親委託率75%を目標としている自治体はわずかしかありません。本事業は、国の目標値の達成を目指す自治体をモデルとして支援し、その手法や成果の全国への普及を目指すことを目的としています。また、里親委託率という数字だけでなく、家庭での養育が子どもの育ちにどのように影響するかついても検証していく予定です。
日本財団は、今後は他の自治体とも協定を結び、全国で三自治体とモデル事業を実施していく予定です。

乳幼児短期緊急里親について

大分県では、新しい取り組みとして「乳幼児短期緊急里親事業」を2021年4月より開始します。現在は児童相談所が乳幼児を緊急で一時保護した場合、受け入れが可能な里親を急に探すのが難しい状況にあります。こうした状況を改善するため、本事業により「乳幼児短期緊急里親」として登録された里親は、原則として依頼があれば乳幼児の一時保護や短期間の委託を受け入れてもらうことを前提とします。通常の里親は、子どもの委託があるときだけ委託費を受け取りますが、「乳幼児短期緊急里親」は毎月定額の報酬を受けとります。子どもの委託がない期間は他の里親の支援等を行っていただく予定です。

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