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海ごみに温暖化(おんだんか)…近い未来(みらい)、魚や貝が食べられなくなる?

イラスト:小さくなった氷の上で困っているシロクマ、プラスチックごみを食べるクジラ、魚網に絡まるウミガメ、酸性化で困っている魚や貝
プラスチックごみや海の酸性化(さんせいか)など、わたしたちに身近な海ではさまざまな問題が起きている

小学生のためのSDGs入門記事。第2回は、目標(もくひょう)14「海の豊(ゆた)かさを守ろう」について考えてみましょう。

地球の面積(めんせき)の約70パーセントをしめる海は、全ての生き物にとって欠(か)かせない存在(そんざい)です。しかしいま、世界の海はいろいろな問題が起こっており、このままでは魚や貝などがいなくなってしまうかもしれない、と心配されています。

たとえば、どのような問題があるのでしょうか?

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海を取りまくさまざまな問題

●プラスチックごみによる海洋汚染(かいようおせん)

海が汚(よご)れる原因(げんいん)の1つにプラスチックごみがあります。私(わたし)たちが生活で出したプラスチックごみの多くが川を伝って海に流れ出ているのです。海の生き物の体にビニール袋(ぶくろ)や網(あみ)がからまってしまったり、プラスチックのかけらを飲みこんだりすることで、死んでしまうことも起こっています。

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特集:増(ふ)え続ける海洋ごみ(別タブで開く)

●海洋酸性化(かいようさんせいか)

海は大気中からたくさんの二酸化炭素(にさんかたんそ)を吸収(きゅうしゅう)しています。人間の活動によって二酸化炭素(にさんかたんそ)が増(ふ)え過(す)ぎたせいで、もともとアルカリ性(せい)の海が、酸性(さんせい)に近づいています。そのためにバランスがくずれて、貝やエビ、カニなどの生き物が育ちにくくなっています。

[関連(かんれん)記事]
特集:海洋酸性化(かいようさんせいか)の脅威(きょうい)(別タブで開く)

●海水温度の上昇(じょうしょう)

増(ふ)え過(す)ぎた二酸化炭素(にさんかたんそ)は、地球を温め、世界中の気温を上げています。海は地球にたまった熱(ねつ)の多くを吸収(きゅうしゅう)しているため、海水の温度も上昇(じょうしょう)。海の生き物が住みづらくなるだけでなく、水分が大気中に蒸発(じょうはつ)し、大雨や台風を増(ふ)やす原因(げんいん)になっています。

[関連(かんれん)記事]
2022年に世界で起きた異常気象(いじょうきしょう)をふり返る。原因(げんいん)は地球温暖化(ちきゅうおんだんか)?わたしたちの暮(く)らしにある?(別タブで開く)

●富栄養化(ふえいようか)

私(わたし)たちの使う洗剤(せんざい)や農薬、肥料(ひりょう)などには、プランクトンの栄養(えいよう)になる成分(せいぶん)が使われています。それが川を伝って海に流れ込むとプランクトンが増(ふ)え過(す)ぎて、水の中の酸素(さんそ)が少なくなり、ほかの貝や魚などが死んでしまうことがあります。

日本は海に囲(かこ)まれた島国のため、人間の生活がどんどん便利(べんり)になることで、さまざまな海の問題が起こっているのです。

海の問題と私(わたし)たち暮(く)らしとのつながり

海の問題は、私(わたし)たちの生活に次のような形で関(かか)わってきます。

  • 海の温度が上がることで大雨が増(ふ)え、洪水(こうずい)や土砂(どしゃ)くずれなどの災害(さいがい)が起こりやすくなる
  • 海の温度や海水のバランスが変わると、生態系(せいたいけい)のバランスがくずれて、弱ったり、死んでしまったりする生き物も出てくる
  • 魚や貝などがとれなくなり、漁業(ぎょぎょう)や水産業(すいさんぎょう)をしている人の生活が苦しくなる
  • 魚や貝の値段(ねだん)が高くなり、気軽に買うことができなくなる
  • 魚や貝の値段(ねだん)が高くなると、お金をかせごうとたくさんとろうとする人が現(あらわ)れて、魚や貝が少なくなる
  • 魚や貝の体内にプラスチックごみのかけらが入ると、安心して食べられなくなる
  • 海辺にプラスチックごみが集まると、景色(けしき)がよごれて、けがをする心配も出てくるので海に行く人が少なくなる
  • 海に行く人が少なくなると、旅行やマリンスポーツなどの観光業(かんこうぎょう)をしている人の生活が苦しくなる
イラスト:
2018年 20.5kg×世界人口76億人=約1億5,600万トン必要
2013年 21.5kg×世界人口85億人=約1億8,300万トン必要
日本人平均 2018年 45kg
1人当たりの魚介類(ぎょかいるい)の年間消費量世界平均(ねんかんしょうひりょうせかいへいきん)。※粗食糧比較(そしょくりょうひかく※)。出典:Umito「数字で見る水産物の世界」(外部リンク)
  • 食べるときに捨(す)てられる頭や内臓(ないぞう)を含めたものを粗食料(そしょくりょう)という

世界における1人当たりの魚介類(ぎょかいるい)の年間消費量平均(ねんかんしょうひりょうへいきん)は、2018年に20.5キログラム(日本人は45キログラム)だったものが2030年には21.5キログラムに増(ふ)えると言われています。

2030年には世界の人口が85億(おく)人におよぶことが予測(よそく)され、その場合は2018年より2,700万トン多い約1億(おく)8,300万トンもの量(りょう)が必要(ひつよう)になります。

一方で、さまざまな海の問題により魚や貝がとれる量(りょう)が年々少なくなっています。地球の中でかけがえのない役割(やくわり)を持つ海を守ることは、私(わたし)たちの未来を守ることにもつながるのです。

海ともっと仲良(なかよ)くなろう

日本財団(にっぽんざいだん)が2022年に行った調査(ちょうさ)(外部リンク)によると、「1年間で海に行っていない人」の数が、2019年よりも増(ふ)えました。また「海に行った人」と比(くら)べると「1年間で海に行っていない人」のほうが「海を大切に思う気持ち」が低い、という結果(けっか)が出ています。

海の問題を考えるには、まず海に関心(かんしん)を持ち、浜辺を歩く、海で泳ぐ、海の生き物を探し(さが)してみる、など海と仲良(なかよ)くなることも大切な一歩です。

縦棒グラフ:
●海は命の源として、大切な存在である
直近1年間で海へ行った人83ポイント
0日(1日も行かない)63ポイント。※20ポイント下がる

●海は日本人の生活・文化において、大切な存在である
直近1年間で海へ行った人81ポイント
0日(1日も行かない)59ポイント※22ポイント下がる

●海は日本人の食にとって、大切な存在である
直近1年間で海へ行った人85ポイント
0日(1日も行かない)67ポイント※18ポイント下がる

●海は日本人の教育にとって、大切な存在である
直近1年間で海へ行った人71ポイント
0日(1日も行かない)47ポイント※24ポイント下がる

●海はとなりの国とのつながりや理解を深めるうえで、大切な存在である
直近1年間で海へ行った人75ポイント
0日(1日も行かない)55ポイント※20ポイント下がる

●海は大切な存在(そんざい)である
直近1年間で海へ行った人81ポイント
0日(1日も行かない)60ポイント※21ポイント下がる
「海へ行く機会(きかい)」と「海への関心(かんしん)」の関係。※上限を100ポイントとして計算した場合。直近1年で海へ行った⼈の回答数6.370人、0⽇(1⽇も⾏かない)の人の回答数5,230人

日本財団(にっぽんざいだん)では、多くの人たちが海に関心(かんしん)を持ち、海の問題を解決(かいけつ)するためのアクションを広げる活動(外部リンク)に取り組んでいます。

この海の問題について私(わたし)たち一人一人ができることは何でしょう?

その答えは、ぜひ自分で調べて、考えて、自分にできることから取り組んでみてください。

本や図書館、インターネットで調べてみよう!

  • 世界の海で起こっている問題や、その国でなぜ海の問題が起きているのかを調べてみよう
  • 海の問題が、私(わたし)たちの生活やその国の未来(みらい)にどのような影響(えいきょう)をあたえているか調べてみよう
  • 海の問題をなくすために、どのような取り組みが行われているか調べてみよう

「海の問題」について学べるおすすめの本

出版(しゅっぱん):福音館書店(ふくいんかんしょてん) 文・絵:加古里子(かこ・さとし)

『海』(外部リンク)

身近でありながら、いまなお多くの謎(なぞ)が秘(ひ)められている海。ページをめくるたびに水深(すいしん)が深くなり、ついに深海(しんかい)へ。海に住む動植物から未来の海中農業まで、海の全てがえがかれた絵本です。

出版(しゅっぱん):岩崎書店(いわさきしょてん) 著(ちょ):保坂直紀(ほさか・なおき) 編(へん):こどもくらぶ

『海がどんどんこわれていく』(外部リンク)

環境破壊(かんきょうはかい)などによって、海はいま、よごれきってしまっています。地球の70パーセントをしめる海にいま何が起きているのか? どうしたら守れるのか? を一緒(いっしょ)に考える本です。

まわりの人に話を聞いてみよう!

  • お父さんやお母さん、近所のおじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんに子どものころの海がどうだったか、海の問題について何ができるか意見を聞いてみよう
  • いろんな人の意見を聞いたら、自分に何ができるか考えてみよう

自分にできることからやってみよう!

  • 調べたこと、聞いたこと、考えたことをノートにまとめて家族、友だちに発表してみよう
  • 海の問題を支援(しえん)する団体とつながる、身のまわりで使うプラスチックごみを減(へ)らす、ビーチでごみ拾いをするなど、できることはたくさんあるはず

自分で解決(かいけつ)方法を見つけるのにおすすめ!

海と日本プロジェクト(外部リンク)

全国の海に関(かん)するイベント情報(じょうほう)が紹介(しょうかい)されています。終わったイベントの内容(ないよう)や取り組みが分かる「イベントレポート」もあります。

「海と日本プロジェクト」の公式サイト

SPOGOMI WORLD CUP 2023(外部リンク)

「ゴミ拾いはスポーツだ!」を合い言葉に、制限時間内(せいげんじかんない)に拾ったごみの量(りょう)や種類(しゅるい)によってもらえるポイントを競(きそ)い、海に出るごみを減(へ)らします。年齢(ねんれい)や性別(せいべつ)に関係(かんけい)なく誰(だれ)でも参加(さんか)できます。

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世界が“ごみ”でつながる!ワールドカップ開催(かいさい)も決定した「スポGOMI」の魅力(みりょく)とは?(別タブで開く)

「SPOGOMI WORLD CUP 2023」の公式サイト

日本さばけるプロジェクト(外部リンク)

魚をさばくことで得(え)られる喜(よろこ)びや感動から、「海を大切にしたい」という思いを育むアクションです。魚のさばき方や海の食文化などについて学べる「日本さばける塾(じゅく)」のほか、動画を見てさばき方が学べる「さばけるチャンネル」もあります。

「日本さばけるプロジェクト」の公式サイト(外部リンク)

海のお仕事体験プロジェクト(外部リンク)

本当の仕事現場(しごとげんば)で、本当の仕事を、本物の達人(たつじん)から教えてもらうプロジェクトです。「海のお仕事体験」では、漁師(りょうし)さんや水族館の飼育員(しいくいん)など、海にまつわるいろいろなお仕事を体験・学ぶことができます。

「海のお仕事体験プロジェクト」の公式サイト(外部リンク)

イラスト:KIKO

[参考文献]

ソーシャルグッドCatalyst「SDGs14『海の豊かさを守ろう』の現状(世界と日本)」(外部リンク)

環境省「プラスチックを取り巻く状況と資源循環体制の構築に向けて」(外部リンク)

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  • 掲載情報は記事作成当時のものとなります。