9カ月間に2度の被災を乗り越えた”居場所”の今
石川県輪島市の中心地にある子ども第三の居場所「わじまティーンラボ」は、2023年12月24日の本格的開所直後、令和6年能登半島地震で被災しました。地震による被害を受けながら、子どもたちのニーズに応え、震災から2カ月後には拠点での活動を再開しました。
しかし、2024年9月に発生した大雨・河川の氾濫で輪島市広域が被害を受け、わじまティーンラボが入居する建物も1メートルの床上浸水被害を受けました。くじけそうになるスタッフの背中を押したのは地元の高校生たちでした。2度の被災を乗り越えた、わじまティーンラボのその後を再び取材しました。
口コミで広がった”居場所”の存在
2024年1月1日の震災以降、子どもたちがよく遊んでいたゲームセンターの駐車場や公園には仮設住宅が立ち並び、安心して過ごせる場所の提供が求められていました。このような状況の中で再開した、わじまティーンラボは気軽に立ち寄れる場所として口コミで広がり、利用する子どもの数が増えていきました。平日にもかかわらず53人が利用する日もあります。畳の個室やダンス練習ができる鏡付きの部屋、音楽スタジオを完備する居場所で子どもたちは思い思いの時間を過ごすことができます。
「さすがに今回はもう無理かもしれない。」
利用者が増え、少しずつ日常を取り戻していた中での2度目の被災。濁流で1メートルの浸水被害を受けた当時の心情をじっくらあと事務局の門馬優さんは話します。
心が折れそうな状況を支えてくれたのは拠点に遊びに来ていた高校生たちでした。
浸水した翌日には長靴をはいた子どもたちが、いつものように拠点にきて泥水を片付けるお手伝いをしてくれたといいます。当時を振り返り「子どもたちに支えられていた」と語ってくれました。
TEENFESTのフィナーレ「okunoto TEEN FEST. 2024 Autumn」の開催
毎年開催している奥能登ティーンフェスは、地震の影響で今年は小規模に複数回に分けて開催しました。2024年11月4日に開催された「okunoto TEEN FEST.2024 Autumn」は今年のフィナーレを飾るイベントです。イベントの幕開けを飾ったのは地元の高校生バンドやダンスユニットのパフォーマンス。
わじまティーンラボ館長の小浦明生さんもバンドメンバーに加わり3曲披露しました。会場のボルテージはマックスになり、出演者、観客、スタッフ、ボランティアの方々が一体となり盛り上がりました。
建物の2階では、クリスマスのオーナメントやアート体験等のワークショップが開催され、小さなお子さんもお母さんと一緒に制作を楽しんでいました。
2度の災害で多くの困難を乗り越えたわじまティーンラボには、今も建物に地震や大雨で受けた傷跡が残ります。それでも、スタッフや子どもたちは少しづつ日常を取り戻そうとしています。
取材に伺った2024年11月。震災から1年が経とうとしている中、町中には震災の爪痕がいたるところに残っていました。9カ月の間に地震や大雨による甚大な被害を受け、今も多くの方が困難に直面しています。
日本財団では引き続き能登半島地震で被害を受けた方々を支援するため、寄付の受け入れ期間を2025年3月31日までに延長いたしました。皆さまからの温かいご寄付をよろしくお願いいたします。