内部障害を持つ子どもの集団生活を応援するSmall Stepの取り組み

こんにちは。「難病の子どもと家族を支えるプログラム」活動報告ページへようこそ。
国内事業開発チーム 難病の子どもと家族を支えるプログラムチームです。
今回は特定非営利活動法人Small Stepの取り組みをご紹介します。

「みんなと一緒に通いたい」を叶えるために

「病気を持っていても友達と一緒に園に通いたい」「小児慢性疾患、内部障害があるわが子を園や学校に通わせたい。でも、そこには対応できる職員がいない」

心臓や消化器、呼吸器などに内部障害を持つ子どもの多くは、幼稚園や保育園に入りたくても受け入れ側の情報不足や不安から、受け入れを拒否され、たとえ入れたとしても親が付き添わなければならないケースも少なくありません。福祉制度のはざまで公的支援を受けることもできず、親の負担は増える一方です。

横浜にあるNPO法人Small Stepでは、そんな親の悩みを解消し、子どもたちの願いを叶えるためのサポートをしています。Small Stepが運営する保育園では、内部疾患を抱えた子どもが健康な子どもと共に遊び、共に学びます。

代表を務める赤荻聡子さんも先天性心疾患と手術の後遺症で歩行が困難な女の子の母親。「何かあったら責任がとれない」と多くの保育園に入園を拒否され、途方に暮れた経験がありました。その後保育園を見つけることはできましたが、患者会で知り合った友人やその子どもたち、同じ境遇にいる人たちの本当に困っている様や怒りを見て、自分にできることを考えた結果、NPO法人を立ち上げ、病児と健康な子どもが一緒に過ごす保育園を作るに至りました。

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友達と一緒に紙コップのけん玉遊び。

いざという時に頼れる安心

「すべての子どもが地域で暮らす権利があると考え、その実現のために必要な支援をしています。我々がただその受け皿になるのではなくて、社会に受け皿が広がってほしいという願いを持って活動しています」と赤荻さん。地域で暮らしてほしいという思いから、すもーるすてっぷ保育園での受け入れは二歳まで。その先の移行先を見つけるための支援につとめます。また、新規の申し込みがあってもすぐに受け入れはせず、情報提供などの協力をしながら、まず親には地域での受け入れ先を探してもらいます。初めは悩んでいた親が、経験者の話をきいて奮起し、自ら入園先を見つけることも多いそう。

たとえ受け入れ先が見つかったとしても、親が常に付き添わなければならない、1日に何度も園に行って呼吸器のケアなどをしなくてはならないのが現状です。そのため2018年度には、幼稚園へ2名と小学校に1名、Small Stepのサポーターが事業者や保護者の代わりに医療ケアを行いました。

親にとってはまとまった時間がとれることはありがたく、自分が体調を崩してしまった時やきょうだいの用事など、いざという時に頼れる人がいるというのは気持ちの負担が減り、大きな心の支えになっています。子どもにとっても親と離れる時間があることで自立が促され、経験値を上げることにつながります。

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外のお散歩には、保育者が呼吸器の機材を背負って付き添います。

サポートノートで情報提供をスムーズに

入園を拒否される理由や集団生活へのハードルには「医療的な情報、医療的ケアの問題、個別の問題」の3つがあると、Small Stepが独自に行った調査で見えてきました。

どんな疾患であっても情報不足が不安の原因になっています。そのための仕組み作りの1つとして、Small Stepでは、病気の情報、これまでの治療歴、通院先の情報、必要な支援などを明記する「サポートノート」を作成しました。リスク管理、生活習慣、健康管理についても分類され、分かりやすく書かれた項目に沿って記入をすれば、受け入れ側にどのような対応が必要なのかを伝えることができます。また、保育士、医療者など、それぞれに必要な情報を提供することができるようにしています。

保育園や小学校などに「これまで何を伝えたらいいのかもわからなかった」「毎回いちから説明をしなければならなかった」のが、このノートを提出すれば事足りるようになり、親の負担が大きく軽減し、受け入れ先からもとても好評です。親のアンケート結果からも満足度の高さがうかがえました。

写真:子どもたちが遊ぶ様子
友達と一緒に、遊んで、喧嘩して、仲直りをして、笑って。
子どもは成長していきます。

みんなの中で育っていってほしい

病気があっても、みんなの中で育っていってほしい。子どもたちにはできることとできないこと、お互いの個性を認め合って一歩ずつ歩み寄っていってほしいという思いがあります。
「病気にかぎらず、世の中には多様性があり、性格や職種、意見の違いがあっても歩み寄って折り合いをつけるのが大事だと考えています。園の中でも病気があってもなくてもそれぞれがそれぞれのできることで参加しようと言っています。みんなが認め合えるような空気が社会にもあるともっと変わっていけるのかなと思います」。

啓蒙や発信にも力を入れていきたいと、セミナーも開催。資金面の理解をしてくれる事業者を探す、外部の職員が入るのは個人情報保護などの観点から難しく、受け入れを許可してくれる事業所を獲得する事も大きな課題です。

「我々はとにかく子どもたちの集団生活を応援したいと思っています。ゆくゆくは放課後に行くような塾や習い事などにもチャレンジしてみたいです」。

地域で育つ病児が増えることで認知度を上げ、誰もが当たり前に地域で暮らしていけるようなシステムを構築したいと、赤荻さんは仲間と共に未来を見つめています。

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慢性疾患の女の子を囲んでお別れパーティ。
保育園で集団生活を学び、この春に地域の保育園へ転園していきました。

日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラムでは、日本全国に難病の子どもと家族の笑顔を増やしていきます。

難病の子どもと家族を支えるプログラム

特定非営利活動法人Small Step

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文責 ライター 玉井 肇子
日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム 中嶋 弓子

寄付の状況 2021年4月末現在
3億4,310万7,259円
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日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。