病児と家族を支える「もう一つの我が家」 パンダハウスを育てる会の取り組み

こんにちは。「難病の子どもと家族を支えるプログラム」活動報告ページへようこそ。
国内事業開発チーム 難病の子どもと家族を支えるプログラムチームです。
今回は認定特定非営利活動法人パンダハウスを育てる会の取り組みをご紹介します。

また来たいから治療を頑張る

子どもが重い病気になり、手術や長期の入院をしなければならなくなったとき、高度医療を受けるために遠くの病院で付き添う家族には、精神的、肉体的、さらに経済的に大きな負担がかかります。福島県立医科大学附属病院の近くには、自宅から遠く離れて病気と闘う子どもと家族が安心して滞在できる宿泊施設、「もう一つの我が家」があります。それがパンダハウスです。認定特定非営利活動法人パンダハウスを育てる会によって運営されています。

パンダハウスがあるのは、附属病院から車で5分の緑の多い高台。清潔で居心地のよい個室に共同のキッチン、洗濯機などもあって、一泊1,000円。アットホームな雰囲気のなか、家族は疲れた身体を休めることができ、外出許可がでた子どもは家族と大切な時間を過ごせます。

いまから22年前に、自らも白血病の子どもを看病していた母親が、遠方から来る他の家族の疲れきった厳しい状況をみて施設の必要性を訴え、有志による寄付を集めて建物が作られました。1997年から2018年9月末までの利用者は延べ3万3,283人、5,713家族。現在ではこうした「ホスピタル・ホスピタリィハウス」や「ファミリーハウス」は全国で広がりをみせていますが、そのパイオニア的存在です。

リハビリがなかなか進まなかった子どもが、パンダハウスにくると元気に走り回り家族も驚くなど、子どもたちは病院とは明らかに違う表情を見せます。白血病で長期入院中のある男の子は、ここでは妹や親と一緒に過ごすことができるので、「パンダハウスにまた来たいから治療を頑張る」と言いました。「『第二の我が家』がハウスの大事な理念。たいへんなときにつかの間の日常生活を過ごしていただくということを一番にやってきているので、そうしたお子さんの様子を見たりご家族の喜びの声を聞くことが、我々のやりがいやエネルギーになっています」とパンダハウスを育てる会副理事長の古溝陽子さんは目を細めます。

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いわき地区の当事者や協力者に向けたパンダハウス見学会を開催するなど、地域との連携を深めています

相談サービスの新事業を開始

満室で利用を断らなければならない状況が続いていたため、日本財団の助成と協力者の寄付を得て2018年3月に7部屋に増改築。多目的ホール、トレイバスユニット付き居室、障害者用トイレも備え、NICU(新生児集中治療室)の家族のような長期滞在や、国内外の遠方からの利用者の増加にも対応できるようになりました。

また、今回の増築にあわせて相談室を新設。退院後も継続して医療的ケアや生活への配慮が必要な子どもたち、制度の狭間にあって公的な支援をうけにくい子どもたちは、入学や就労など人生の節目でさまざまなことがあります。入院中に限らず地域で暮らすそうした子どもとその家族にも寄り添いたいと相談の新事業を始めたのです。

相談対応ができる職員を新たに雇用して、その研修を重ね、福島県立医科大学附属病院と1年をかけて交渉した結果、病院に相談員として入らせてもらい、病院と利用者の橋渡しを相談員ができるようになりました。医療機関の多職種から相談をうけたり、チームの一員として支援に携わっています。

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多目的ホールを家族会の総会会場に提供して新たな相談事業について説明。翌年の総会には相談会の依頼が

心やすらぐ交流が生まれる場に

キッチンも設置された多目的スペースは、地域に戻ってからも闘病時の仲間とつながる機会をもちたいという方や、家族会の交流を目的としたイベントに利用され、料理教室や小物作りのワークショップなどが催されています。

料理教室では、入院中の子どもに付き添うお母さんが日帰りで利用していた際に、福島名物の豚汁を差し入れをする場面も。そのお母さんは「手作りの温かいものをいただき、みなさんの優しさが心に沁み、とても嬉しかった」と話してくれました。子どもの病気や状況は違えども、そのたいへんさは共通しています。そのため、専門知識や多くの言葉はなくても、心やすらぐ交流が生まれるのです。

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キッチンで料理教室。久しぶりに会う家族会のみんなの会話が弾みます

みんなの優しさがつまったハウス

毎日の掃除や植木の手入れなど、子どもに直接会うことがなくても、多くのボランティアが陰でハウスの運営を支えてくれていると、古溝さんは語ります。「パンダハウスは、そうした一人一人のつながりと、みなさんの優しい思いでできています。家族はお子さんのことを思い、お子さんも家族のことを思っています。ボランティアのほかにも、関心を寄せてくださる方、ご寄付をいただいたり、手作りのものをくださったり。みなさんが、お子さんと家族に思いを寄せています」。

理事の世代交代があり、今後の運営や新たな事業の体制作りをどうしていくのか。子どもと家族を支えていくために、医療、教育、行政など様々な機関とどのようにつながるのか。パンダハウスがこれまでに培った事を大切にしながら、どのように地域に溶け込み、福島の地域社会と関わりをもっていけるのかなど、課題は数多くあります。

「これらの課題に向き合いながらも、人と人とのつながりを私自身も大事にしていこうと改めて思っているところです」と古溝さんは大切な思いを語ってくれました。

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多目的ホールでの、家族会の判子作りワークショップ

日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラムでは、日本全国に難病の子どもと家族の笑顔を増やしていきます。

難病の子どもと家族を支えるプログラム

認定特定非営利活動法人パンダハウスを育てる会

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文責 ライター 玉井肇子
日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム 中嶋弓子

寄付の状況 2020年7月末現在
1億8,836万912円
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日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。