強くあたたかい組織づくり~地域連携ハブ拠点の調査と研修CRファクトリーの取り組み

こんにちは。「難病の子どもと家族を支えるプログラム」活動報告ページへようこそ。
国内事業開発チーム 難病の子どもと家族を支えるプログラムチームです。
今回は特定非営利活動法人CRファクトリーの取り組みをご紹介します。

難病の子どもと家族をみんなで支える地域拠点

難病の子どもは全国に25万人以上。医療的ケア児は約2万人にのぼると推計されています。難病児とその家族の孤立を防ぎ、育ちを支えるためには、医療、福祉、教育といった子どもたちに関わる機関と地域とのつながりが不可欠。ケアが必要な子どもたちの増加に伴い、それらの機関と共に子どもの成長を見守っていくための地域連携の拠点の設置が求められています。

日本財団の「難病の子どもと家族を支えるプログラム」は包括的アプローチとして全国の支援拠点づくりに取り組み、開設支援を行ってきました。今後、30カ所のモデル拠点を整備予定です。

NPO・市民活動などの組織運営・マネジメント支援が専門の特定非営利活動法人CRファクトリーは、日本財団の助成を受けて難病児を支援する3団体の調査およびマネジメント支援を実施。各団体と地域との連携構築に関する課題を抽出して研修を行い、これらの調査結果を元に、地域との連携体制づくりのための気づきやノウハウ、ポイントを一冊の小冊子にまとめました。

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小冊子「難病の子どもと家族を支える地域連携ハブ拠点による『地域との連携体制づくり』の取り組みからの学び」
地域との連携体制づくりに取り組む様々な団体、難病児支援団体などの、コミュニティ構築、組織作り、活動の気づきになればという思いが込められています。

根っこ(組織)と幹(ビジョン)を育む

今回対象となった社会福祉法人くるみ、一般社団法人Burano、認定NPO法人うりずんは、いずれも難病児のケアや自立のサポートをしながら、子どもと家族がいきいきと暮らしていける社会にするために地域とつながりを持とうとしている団体。それぞれの強みを活かして地域とネットワークを築き、事業を推進しています。

地域の連携体制づくりは、木の根っこ(組織・チーム)、幹(理念・ビジョン)、枝葉(様々な地域連携事業)のそれぞれがバランスよく育つことが理想。そうして初めて安定した体制がつくられます。理念・ビジョンが力強く立って周りに共有されていることが重要で、そのためにも土台となるチームはモチベーションを高め合える強くあたたかい組織であることがポイントとなります。今回の3団体は、主に根の部分、組織・チームづくりに力を入れ、それをベースにビジョンの確立を目指す研修になりました。

社会福祉法人くるみでは、スタッフのビジョンの相互理解を深め、日頃から地域で連携しているまちづくりのNPO法人や子育て支援団体、当事者、学生、アーティストと共に、くるみの地域連携の役割の見える化・整理を試みました。それらを受けて、スタッフ一人一人がどのようなアクションでどうしていきたいのか、それぞれの思いや特性を落とし込み、誰がどの役割をするかを考え、翌年度以降の方向性について語り合いました。

一般社団法人Buranoでは、団体のエンパワメントにもつながるリーダーの人生観、キャリア観の自己理解のため、理事のコーチングを行い、「これまでの振り返り」や「経営・事業の方向性」の整理・言語化をサポート。理事の目指す組織の姿が明確になり、それを踏まえたうえでスタッフ間の信頼関係構築のためのワークショップを実施しました。

認定NPO法人うりずんでは年齢、キャリア、専門性が違う職員たちがお互いにねぎらい合うこころの忘年会を毎年行っています。今回は、地域にどんなものを生み出していくかをテーマに理念をトップダウンではなくみんなで考え、それぞれが異なるケアをする中で、どのような喜びがあるかを知り、相互理解を深める機会となりました。

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動機や活動を通じて得たいことをそれぞれが語り、信頼関係を強めます

一人一人の幸せのために~強くあたたかい組織をつくる

今回の調査・研修を通して、子どもと家族を支える地域拠点の組織には「専門性や業務分担が異なるメンバーが混在している」「定型の正解はなく、一人一人に寄り添う仕事である」「ケア・支援と地域連携では異なる事業特性を両輪で運営している」という3つの特徴があることが見えてきました。また、どの団体も組織を強くあたたかいものにするために「理念の共有」「自己有用感」「居心地の良さ」に、力を入れていました。

CRファクトリーの副理事長、五井渕利明さんは、今回の調査と研修を振り返り、こう語ります。
「福祉は一人一人の幸せに寄り添うことが本質。みなさんが利他の心でその本質を追求されている点が3つの団体に共通していたところでした。制度や施設にこれが正解というものはない中で、現場や当事者の間で試行錯誤をしながら少しずつ作り上げていく姿にとても共感しました。今回の研修が、参加者のみなさんにとって日々の活動の中で一旦立ち止まり、自分がどうありたいかを客観的に見て明確にする時間になっていたらと思います」

この夏には、報告会をオンラインで開催予定。難病児支援団体のほかにも子ども、若者、家族などの様々な領域からゲストを招き、現場の声から「地域連携のあり方」「当事者中心のコミュニティづくり」「支援する・されるの領域」を見つめ直します。

また、今回の結果を元に日本財団と共同で書籍『コミュニティマネジメントの教科書〜強くあたたかい組織・コミュニティのつくり方〜』を出版しました(書籍の詳細はこちら(外部リンク)をご覧ください)。CRファクトリーがこれまでの支援や研究で培ったコツやノウハウがこの一冊につまっています。「非営利組織のコミュニティマネジメントの方法論はなかなか広がっていないのが現状です。組織をより良くしたいと考える運営者やトップの方に役立ててもらえたら」と五井渕さん。

今回の事業が、地域連携の拠点が全国各地でしっかりと根をはり逞しく育つ力となり、強くあたたかいコミュニティづくりの基盤につながることが期待されています。

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お互いの尊敬できるところを話し合い、相互理解・信頼を深めました。職員がやりがいを持ちいきいきと輝くことが子どもや家族を支え、地域につながりをつくる力になります

日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラムでは、日本全国に難病の子どもと家族の笑顔を増やしていきます。

難病の子どもと家族を支えるプログラム

特定非営利活動法人CRファクトリー

「日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラム」に興味をお持ちの方は、ぜひ難病児支援ページをご覧ください。

文責 ライター 玉井肇子
日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム 中嶋 弓子

寄付の状況 2020年7月末現在
1億8,836万912円
日本財団子どもサポートプロジェクトロゴ

日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。