介護を頑張る家族を支え、みんなが集う場所作りKukuruの取り組み

こんにちは。「難病の子どもと家族を支えるプログラム」活動報告ページへようこそ。
国内事業開発チーム 難病の子どもと家族を支えるプログラムチームです。
今回は一般社団法人Kukuruの取り組みをご紹介します。

在宅介護を楽しいものにしたい〜経験を糧に新サービスを次々開始

医療的ケアが必要な子どもを持つ親は24時間の介護で子どもと離れることがほとんどできず、気づかないうちに疲弊してしまいます。子どものためにと必死に頑張っているお母さんたち。そのサポートを行い、在宅介護を楽しいものにしたいという願いで総合的な施設として作られたのが沖縄の小児在宅地域連携ハブ拠点Kukuru+(くくるプラス)です。

一般社団法人Kukuruでは、2010年から障害児者の沖縄へのバリアフリー旅行支援事業を行い、飛行機の移動や海の遊びなどをコーディネートし、同行介護として海水浴や入浴介助やホテルでの訪問型レスパイトなどをしてきました。「沖縄の青い海、のんびりとした南国の雰囲気を味わうと日頃の疲れが癒え、先を見る力が湧いてくるのではないかなと思い、この事業を始めました」と代表理事の鈴木恵さん。

鈴木さんは、東京で看護師の経験を重ね、重症心身障児の訪問看護事業に携わっていました。自身も障害を持つ子どもを育て、親の介護も重なり、時には倒れてしまったことも。身心ともに厳しかった当時の経験が、活動の力の源になっています。

「経験をしたからこそわかることがあります。あの時こんなサービスがほしかったなという思い。それを実現させてお母さんたちに喜んでもらうたびに、大変だったあの頃の自分を癒しているのかもしれません」。

旅行支援事業の他にも痰の吸引などの研修、啓発活動、2015年からは訪問看護サービスと居宅介護を組みあわせた障害児の在宅レスパイトサービスを開始。そうした中、NICUから自宅介護に移行するには様々なステップが必要にもかかわらずそれが見過ごされているなど、訪問系のサービスだけではカバーできない問題が見えてきました。

そこで、2019年9月に在宅介護の総合的な支援をするための拠点、Kukuru+を日本財団の助成を受けて開設。病院から在宅への退院移行支援、医療型短期入所・日中一時支援に新たに取り組み、研修センターやカフェ、テラス、プールなどの設備を整え、みんなが集まる場所を作っています。

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Kukuru+お披露目の内覧会には、地域の多くの人が訪れました

ステップを丁寧に重ねていく

Kukuruでは、日頃介護を頑張っている家族を支援し、その中でも特に人工呼吸器など、医療的ケアが必要な子どもと家族に対しての「病院から家へ帰る際の不安」「在宅で過ごすことでの大きな負担」といった社会問題の解決を目指しています。

「子どもが成長して自立に向かうためには、3つのステップが必要だと思っています」と鈴木さん。「ステップ1は自分のテリトリーである自宅に知らない人を招き入れてケアを受ける体験をする(訪問看護・介護)。それができたらおうち以外の場所で知っている人と過ごす(短期入所・日中一時支援)。このステップ2が、Kukuru+ができたことで可能になりました。これが継続してできて初めて家族以外の人と外で過ごし、その後、通所、通学、保育園へ行くことができる。その社会性のステップを、順を追ってやっていきたいと考えています」。

2019年9月のKukuru+のオープニングセレモニーと内覧会には、福祉や医療関係者の他にも多くの地域住民が訪れました。また、これまでつながりのなかった重度の障害をもつ子どもと家族も来訪し、「みなさん完成を待っていてくれたんだな。たくさんの人と良い関係を育てていけそうだ」とスタッフは可能性を感じることができました。

さらに、地域の交流の場として活用してもらいたいと一般向けの子育て応援講座(講演3回、ワークショップ5回)を開催。親子の遊びやマッサージ体験、食育、発達を後押しする工夫、ペアレントプログラム、制度の話など幅広い内容の講座となりました。障害のあるなしにかかわらず参加対象の幅を広げたところ参加者に大変好評で、健常児の親からは「障害を持つ子どもとたくさん遊んで、いろいろな個性を持つ子がいることを知って、広い視野を持った子に育ってほしいと思うことができた」といった感想が寄せられました。「それこそKukuruが目指している本来の形です」と鈴木さん。「境界線はなく、みんながごちゃまぜでいい。自然に支え合う場を作っていきたい」そんな思いを形にした講座でした。

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親子でできる遊び体験会では、絵具を手足に付けてみんなで大きな木を描きました

自分らしく生きるための場所

Kukuru+の目の前には県立こども医療センターがあります。「子どもが入院している時の親の大変さ、寝られないつらさがよくわかります。退院できても、お母さんたちは家と病院を行き来することしかできない。ここが、お母さんたちがほっとできる居場所になれば」と鈴木さん。

「地域の人たちからは施設を会合などに使いたいとの申し出もあります。地元の人が気軽にお茶をしに来て、子どもも大人も、誰もが共にくつろげる場所を作っていきたいです」障害のあるなしにかかわらず、多様な人たちが気軽に交流して心を通わせる場になることが期待されています。

「くくる」は沖縄の言葉で「こころ」を意味し、Kukuru(くくる)には一人一人のこころと、人と人とのつながりを大切にという願いが込められています。「どんな子どもも親も、当たり前のことが当たり前にできる社会になってほしい。その人らしく生きるための場所を構築する」そんな理念で鈴木さんとスタッフはこれからも活動を続けていきます。

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障害児と健常児のお母さんが共に参加した親子マッサージの会ではあたたかな交流が生まれました

日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラムでは、日本全国に難病の子どもと家族の笑顔を増やしていきます。

難病の子どもと家族を支えるプログラム

一般社団法人Kukuru

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文責 ライター 玉井 肇子
日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム 中嶋 弓子

寄付の状況 2020年10月末現在
2億672万5,715円
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日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。