誰もが生きやすい社会システムを作るむそうの取り組み

こんにちは。「難病の子どもと家族を支えるプログラム」活動報告ページへようこそ。
国内事業開発チーム 難病の子どもと家族を支えるプログラムチームです。
今回は社会福祉法人むそう「ほわわ名古屋星ヶ丘」の取り組みをご紹介します。

ケア児の受け入れと母親の就労を同時に実現

名古屋の東山公園のそば、自然豊かな緑に囲まれた場所にあるチョコレートショップ「久遠チョコレート」。木目調のお洒落な店内にはカフェもあり、景観の良い庭を眺めながらチョコレートやコーヒーが楽しめます。

このチョコレートショップが入る施設は、社会福祉法人むそうが展開する児童発達支援と放課後等デイサービスの多機能型事業所「ほわわ名古屋星ヶ丘」。チョコレートショップの上の階には発達障害や医療的ケアが必要な子どもが通う施設が併設されています。

チョコレートショップは実は医療的ケア児を育てる母親の就労支援施設。2階に子どもを預けたお母さんが1階のチョコレートショップで働いています。母親にとっては近くにいる我が子の様子がすぐに見られて安心。スタッフは子どものケアについて母親に確認できる利点もあります。カフェには人がくるため、地域の人と交流し、医療的ケア児のことを知ってもらう機会にもなっています。

お店では医療的ケア児だった成人も日中活動として働いています。母親は彼らと共に過ごし、彼らのいきいきとした姿に触れることで、先の見えない介護の日々や子どもの将来に希望を持つことができ、元気を取り戻します。ここでの経験を経て、安心して子どもを預けて元の職場に復帰する母親も少なくありません。

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ほわわ名古屋星ヶ丘の外観。1階のチョコレートショップは母親の就労を支えます

ニーズに応えて事業を次々に展開

愛知県で福祉事業所を幅広く展開しているむそうの理事長、戸枝陽基(ひろもと)さんのもとに、東京の医師から「医療的ケア児と家族を助けてくれないか」と声がかかったのは2011年のことでした。当時は全国のどこにも医療的ケア児を預けられる場所がなく、東京は特にシビアな状況でした。在宅介護をする母親が寝ることもできない環境に置かれているにもかかわらず、福祉も医療も全くアプローチができていないことにショックを受けた戸枝さんは「ニーズがあるなら、応えられる範囲でやろう」と新天地、東京で医療的ケア児の受け入れ施設を始めました。

2017年に地元の名古屋市で、地域の声に応える形で医療的ケア児のための拠点「ほわわ名古屋星ヶ丘」を開設。東京での経験を活かし、母親の就労支援と医療的ケア児だった成人の日中活動の場であるチョコレート店を併設し、子どもが活動できる十分なスペース、感覚統合を促す遊具などを備えて子どもが楽しく遊びながらのびのびと育つことのできる環境を整えました。法人としての対応、医療者、保育士の関わりなどはこれまでのノウハウを使い、国内でも数少ない福祉・医療・看護が連携した事業所で、未就学児の子どもの成長、時には看取りまでを支えています。

一人一人の成長発達に合わせて個別のプログラムを作成し、保育士・看護師・介護職・リハビリ職員がチームになって支援を行います。
「例えば砂遊びをするにしても、呼吸器をつけた子どもの安全とその育ちのためにはどうすればいいのか、どこまでできるのかを看護師と保育士を中心にチームがとことん話し合います」。ダイバーシティをテーマに、よりよい多職種協働の環境を目指しています。

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砂遊びをする女の子。砂に触れることで成長発達が促されます

医療的ケア児の一人一人に寄り添う

こうした多機能型の施設は日本財団のような寄付で成り立つ資金だったので実現することができました。同じ建物内に、福祉と医療、母親の就労と貧困支援、障害者の通所施設があると、法律の壁が立ちはだかるため国の補助金は得られず、実現は難しくなります。海外のような寄付文化を育てていくこともこれからの課題です。

「医療的ケア児は子ども一人一人、ケースごとにアプローチが違うため、支援メニューが一緒というのはおかしい。年齢や状況によってオーダーメイドが必要です」と戸枝さんは言います。

子どもは子ども同士、共に遊び触れ合うことで成長します。呼吸器をつけていて知的障害のない子は、途中から急に小学校に入れたとしてもついていけないなど、その将来に大きな差が生まれてしまいます。子ども時代に充実した環境を整え、発達を促す保育や教育の機会を作ることで子どもたちの将来の可能性を広げることができますが、現在の制度の中でそれをやろうとすると赤字になってしまいます。

「子ども時代にお金を使ってしっかり育てた方が先々を考えるといいのにね…」と戸枝さん。そのことを政治にも行政にも、社会全体で共有していけたらと言います。

むそうは、ノーマライゼーションの考えに基づき、どんな障害があっても、生きにくさを抱えていても、その人らしく当たり前の暮らしができることを目指し、規制の枠にとらわれずに次々に事業を始めてきました。

「必要な時に必要な人に必要なサービスを」という理念のもと、できないと諦めてしまうのではなく、常に当事者に寄り添い、どうすれば実現できるのかを考えて事業を展開。その積み重ねが、社会を動かすソーシャルアクションに繋がっていくのです。

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楽しく水遊び。母親のお腹にいたときの心地よさを思い出してリラックスするといいます

日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラムでは、日本全国に難病の子どもと家族の笑顔を増やしていきます。

難病の子どもと家族を支えるプログラム

社会福祉法人むそう

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文責 ライター 玉井 肇子
日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム 中嶋 弓子

寄付の状況 2021年4月末現在
3億4,310万7,259円
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