子ども、お母さん、きょうだいが共に過ごす場所Buranoの取り組み

こんにちは。「難病の子どもと家族を支えるプログラム」活動報告ページへようこそ。
国内事業開発チーム 難病の子どもと家族を支えるプログラムチームです。
今回は一般社団法人Buranoの取り組みをご紹介します。

様々な問題を1つの場所で一気に解決

茨城県古河市の閑静な住宅地の一角に、医療的ケア児とその家族が集う地域連携ハブ拠点Burano(ブラーノ)があります。

ここでは重度の障害や医療的ケアが必要な0歳~18歳までの子どもを預かり発達支援や遊びを行うほか、傍らに設けられたコワーキングスペースで、母親は子どもの様子を見守りながらパソコンを使って仕事ができます。週末や祝日も運営しているので、きょうだいが一緒に過ごし、運動会などきょうだいの学校行事がある日には一緒に行くのが難しいケアが必要な子どもを一時的に預けることができます。

医療的ケア児の居場所、母親の就労、きょうだいのケア。Buranoはこれら複合的な問題を1つの場所で一気に解決できる国内初の施設として、2018年4月に開設しました。

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ハブ拠点「Burano」。雨の日に車いすが濡れないようにと、駐車スペースには大きな屋根を設置しました

子どもはみんな祝福される存在なんだ

この施設を運営する一般社団法人Burano理事の秋山政明さんは、2016年に生まれた第2子のはる君に重度の障害があり、誕生時から緊迫した状況が続き、半年後に退院してからも家庭で24時間つきっきりで呼吸器、経管栄養、痰の吸引などのケアをしなければなりませんでした。

秋山さんは、あるセミナーで出会った医療的ケア児の親御さんから年齢を重ねての変化について話を聞き、家庭でこうした状況が何年も続くことは現実的ではない、この子の居場所を作らなくては、という思いを固めます。当時、市の議員だった秋山さんは議会にケア児に特化した施設作りを提案しましたが、国の医療的ケア児への対応が定まっていなかったこともあり、よい回答を得ることはできませんでした。

「子どもは生まれたことを祝福されるべき存在なのに、社会の環境が整っていないとそうではなくなってしまう。祝福されて、多くの人との出会いを体験してほしい。それを実現するためにこの子の居場所を急いで作ろうと思いました」。

施設を一から個人が作るにはリスクがあります。ケア児の居場所、母親の就労、きょうだいが共に過ごす国内初の事業モデルならば企業から支援を得られるのではないかと企画を進め、2017年に法人格を取得し、日本財団の助成を受けて2018年4月にBuranoが完成します。

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創設メンバーが勢揃い。お母さん、子ども、きょうだい、みんなの笑顔がはじけます

こんな場所が増えるといいな

Buranoで子どもはそれぞれの特性に合わせた遊びや療育を受けることができ、社会性を育み成長します。はる君は、Buranoに通いだしてから手を使って積極的にコミュニケーションをとろうとし、笑顔や主張が増えるなど、たくさんの成長・発達を見せました。

仕事を諦めていたお母さんたちはBuranoのコワーキングスペースで仕事をすることで社会とのつながりを取り戻し、働く喜びを得ています。初めてのお給料でそれまで節約のために控えていた美容院に行った人や、貯めたお金できょうだいを習い事に通わせたい、旅行に行きたいと新たな目標をもつ人も。

きょうだいは、家族の変化を敏感に感じとっているようです。県の作文コンクールで賞をとったきょうだいは「こんな場所がもっと増えるといいなと思います」とBuranoについて書きました。双子ということで、幼い頃から入院に付き添うお母さんとは離れて過ごす時間が多かった女の子。「ああ、やさしい気持ちで見てくれていたんだな。きょうだいにとっても大事な場所になっているんだな」と秋山さんは感じたといいます。

実際に運営して、秋山さんはケア児と母親ときょうだいを共に受け入れるという3つの事業を同じ場で行うことの難しさ、多様な場面に的確に対応するための環境整備やスタッフ個々の柔軟さの重要性を痛感したといいます。ケア児の中には活発に動ける子どももいるなど、さまざまな状況があり、臨機応変な対応が必要。働きやすい職場環境を作り継続的な勤務を得ることで、子どもが通いやすい場所にしていくことも今後の課題です。

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Buranoでは外のお散歩も日常。お日様の日差しを浴びるのは気持ち良いね

ケア児と家族の未来を一緒に作ろう

Buranoでは、入院の前後の療養など、諸事情で通所に来ることができない子どもにも遊ぶ支援が受けられるようにと、居宅訪問型児童発達支援事業「おうちった」をスタートしました。

片道40分の時間をかけて県をまたいでBuranoに訪れる親子もいます。自治体によって制度への理解の差があり、それに苦労する親御さんもいて、それらを改善したいという思いをきっかけに栃木県にも新しい施設を作る計画を進行中。2拠点が連携することで地域を変えていけたらと考えています。

医療的ケア児について、訪問看護ステーションやリハビリ、病院、福祉など、事業所間の連携がとれておらず、その知識や理解にも差があるのが現状です。子どもたちのために地域を超えた横のつながりが作れないかと、研修事業をスタート。「医療的ケア児と家族の未来を一緒に作ろう」をテーマに多職種セミナーを2021年春に開催しました。

また、災害などいざという時に知っている人がいるように医療的ケア児の事を知るきっかけを作ろうと、障害の有無にかかわらず参加できる地域のイベントを開催していく予定です。

「ゆくゆくは18歳以上の居場所も作りたい」と話す秋山さん。Buranoは、子どもと家族の未来のために、社会にイノベーションを起こし、社会の問題を解決する先駆者として走り続けます。

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積み木遊びをするはる君。Buranoに通ってから、多くの成長をみせてくれました

日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラムでは、日本全国に難病の子どもと家族の笑顔を増やしていきます。

難病の子どもと家族を支えるプログラム

一般社団法人Burano

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文責 ライター 玉井 肇子
日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム

寄付の状況 2021年8月末現在
3億5,833万5,089円
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日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。