医療的ケア児の未来と成長を支える~イベントと研修一般社団法人Orange Kids' Care Lab.

障害がある人も楽しく暮らせる街ってどんな街?

福井県福井市で医療的ケア児の日中預かりや居宅支援を行う「オレンジキッズケアラボ」(以下、ケアラボ)。ここでは「こたえていく、かなえていく」を合言葉に、通学支援、小旅行、親の就業支援など様々な先進的なチャレンジを展開し、医療的ケア児や障害がある子どもの成長を支え続けています。

日本財団の助成により2020年7月に開所した新拠点では、日常の活動と並行して、地域交流イベントや研修事業など、医療的ケア児支援の拡大と啓蒙のための活動を積極的に行い、医療的ケア児を支えるハブ拠点の役割を担っています。

2021年4月4日にはオープンデイと題して、新拠点を一般公開。地域住民やケアラボへの通所希望者など、多くの人が訪れました。

イベントには福井県で活躍する地元企業も参加し、コラボ企画を開催。プラスチック製品を製造する日本真空化学株式会社とは将来の夢を書いて投函する夢のポストを制作。
幼児保育の教材教具を作るジャクエツと開催したワークショップでは「医療的ケアや障害があっても楽しく暮らせる街って? みんながごちゃまぜで楽しい街ってどんな街?」をテーマに、医療的ケア児やその家族の他、学生や地域の人など様々な人がディスカッション。水の中を歩く街など、ユニークなアイデアが飛び出し、障害について考えたり、障害があってもなくても楽しいことってどんなことなんだろうと、大いに盛り上がりました。

さらに、コロナ渦で会場に来られなかった人のために「ケアラボチャンネル」という動画を作り、施設の案内や催し物、講演のライブ配信も行いました。

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障害のある人もない人も楽しく暮らせる街ってどんな街? 様々なアイデアが飛び出しました

熱量が伝わり、人が社会が動く

2021年6月に可決された「医療的ケア児支援法」の成立によって地域の学校や保育所にケアができる看護師などの配置が求められるようになりました。それ以降、これまで福井では医療的ケア児に関して何かあればケアラボにお願いしようという風潮だったものが、自分たちも対応ができるようにならなければという人が増えてきたといいます。

この波に乗って、呼吸器やカニューレを交換する練習ができる人形を日本財団の助成で購入し、医療的ケア児の通う小学校や保育園などで実習を開始しました。研修参加者の中には医療的ケア児と会ったことがないという人もいるため、ケアラボでの見学や実際のケアを見ながらの実地研修も行っています。

保育園や小学校への通学支援のための話し合いや研修も開催。受け入れ態勢を整えることで多くの子どもたちが地域にでていくことを応援しています。ある児童の入園準備の医療的ケアについての研修には、これから受け入れる保育園から多くのスタッフが参加しました。

「実際にかかわっている看護師や医師が、学校や保育園等で行われるミーティングに参加することで、私たちの熱量、真剣さが伝わっているのではないかのではないかと思います」とケアラボ代表の戸泉めぐみさんは話します。

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入園予定の児童のこれからについての話し合い。保育園からも多くのスタッフが参加しました

うちの子も学校に行けるの?

ケアラボは研修事業として、茨城県のBurano、岐阜県のかがやきキャンプ、宮崎県のHALEたちばななど、全国の医療的ケア児のハブ拠点への伴走型支援を行っています。これまでの豊富な経験を元に、保育園や小学校など地域の学びの場に入るためのアドバイスや定期的なミーティングを開催。来春には成果報告会を予定しています。

普通の学校に行けると夢にも思わなかったお母さん。この活動にかかわり、児童発達支援に通う我が子の成長する姿をみてその可能性に気づき、行けるのなら行かせてやりたいと気持ちが動いたといいます。

「最初からできないと決めてしまうのではなく、選択肢に挙げられることを知ってほしい。我々はいくつも前例があり、可能性がゼロではないと知っているのが強みです」と戸泉さん。

「もし入れなかったとしても、その子にとっての可能性が広がり、その子にとって何がいいのかという視点でその後もずっとかかわっていけると考えています」。

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日本財団が全国の難病児の施設に提供した難病児のためのおもちゃセット「あそびのむし」に夢中になる子どもたち

子どもたちの経験を増やしたい

ケアラボはこうした通学支援の他にも、海水浴、軽井沢のキャンプ、気球体験、一人旅行の実現など子どもたちと多くのチャレンジをしてきました。

今年はなんと3000メートル級の立山登山にも挑戦します。壮大な自然の中、心地よい空気や絶景を五感をいっぱいに使って楽しみ、子どもたちは成長をみせてくれることでしょう。

「子どもの経験値のゼロをイチにしていきたい」と戸泉さん。「無理と決めてしまわずに、家族との信頼感を気づいたうえでとことん話し合う。線を引かない」がモットーだと言います。

「やったことがなくてもやってみることに価値があります。これはまたやってみよう、これはやめておこう、もっと違う課題が見えたよねなど、やったからこそ見えてくることがあり、障害とどう付き合いながら経験を積み重ねられるかで、その子のその後の人生が変わっていきます。そういう考えの1つとして通学支援をしています」。

ケアラボはこれからも、医療的ケア児と家族が安心して暮らせる地域社会を目指して「こたえていく、かなえていく」を合言葉に子どもの思いを引き出して、その成長と未来を支えていきます。

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イベントの一場面。ケアラボのロゴマークに色塗り

日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラムでは、日本全国に難病の子どもと家族の笑顔を増やしていきます。

「難病の子どもと家族を支えるプログラム」

一般社団法人Orange Kids’ Care Lab.

「日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラム」に興味をお持ちの方は、ぜひ難病児支援ページをご覧ください。

文責 ライター 玉井 肇子
日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム

寄付の状況 2021年12月末現在
4億1,548万1,100円
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日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。