子どもと家族の「Let’s TRY!」を応援する医療法人かがやき

地域に子どもたちの居場所を作ろう

岐阜県岐阜市に隣接した岐南町に、木をふんだんに使った温もりいっぱいの医療型短期入所施設「かがやきキャンプ」があります。
医療的ケア児や重症心身障害がある0〜6歳の未就学児を対象に、どこでも、誰とでも「食べる」「寝る」「遊ぶ」ができる力を伸ばすことを目指し、看護師、理学療法士、言語聴覚士など、専門性の高いスタッフたちが子どもたちのトライをサポートしています。通所で利用できるほか、今後は宿泊にも対応していく予定です。

かがやきキャンプを運営する医療法人かがやきは、岐阜圏域で重度の難病疾患や終末期などの要介護者といった成人を対象に訪問診療事業、訪問看護事業を展開。2016年からは小児の在宅医療にも取り組んできました。さらに、地域に必要とされながらも不足していた重症心身障害児への「リハビリテーション」「就学前の居場所」を提供する新たな挑戦をしようと、日本財団の助成を受けて2021年4月にかがやきキャンプを開所しました。

「成人在宅医療での経験を生かして、小児の在宅生活を、在宅医療クリニックがハブとなって地域全体で支援する新しいモデルを確立したいと考えています」と施設長で理学療法士の藪本保さん。以前は小学校の体育教師だったという経歴の持ち主です。

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木のぬくもりが温かな「かがやきキャンプ」

デジタルアートでリハビリ!

親にとってかがやきキャンプは、スタッフと語り合ったり、親同士で交流したりと、気持ちの整理や情報収集ができる、温かさと外とのつながりをあわせ持った居場所になっています。ゆとりのある空間、木の温もりのある建物も重要な役目を果たしています。

かがやきキャンプの合言葉は「Let’s TRY!」。安全安心に過ごすだけではなく、生活全般を見渡して親と子どもが様々なことにチャレンジできる機会を作ることに力を入れています。

その一つがデジタルアートの技術を駆使したプールです。天井のプロジェクターから壁面に街並みや海、クジラやペンギン、車などのイラストが映し出され、映像に触ったり水をかけたりするとそれらが反応して動き出し、子どもたちの動きが自然に促されます。

「水の浮力でダイナミックに体を動かせるので、自由な動きの中にリハビリ的な要素をもたせながら、運動量を増やすことを狙っています。子どもたちは楽しいことなら自分からたくさん動いてくれますしね」と藪本さんは期待します。

「重度の障害や気管切開があるからできないではなくて、どうやったらできるのかを考えたい」と藪本さん。気管切開のある子どもはクレーンに乗って水に入るなど、安心して体験することができます。

トレーニングルームとプールを活用したメディカルフィットネスの新たなプログラムもこの秋からスタート。全国から障害がある子どもを受け入れる予定です。

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シャチやお魚に触れて水をかけて。夢中になって遊ぶことがリハビリに

親子のトライを重ねていける場に

かがやきキャンプでは「Children & Family Empowerment」というテーマを掲げ、子どもだけでなく、家族の力を高めることも目的にしています。

そのため、通所はお弁当持参で、送迎や入浴はありません。週に一度の活動日に頑張ってお弁当を作ってもらい、何を残したかを見て「少し硬かったのかな」など、次の対応に繋がるようにスタッフと一緒に振り返ります。

子どもが何人もいて仕事もあり、送り迎えや準備が大変だと言っていたあるお母さんとは、訪問看護で訪れた際に持ち物のチェックシートを作り、一緒に準備をしました。環境の設定と少しの工夫を手助けして、できることを増やしていけるように支えています。

一方、スタッフの専門性の高さがお母さんたちのプレッシャーになったのではという反省もありました。

「例えば水を800cc飲むとよいと伝えると、それを守ろうと頑張りすぎてしまうお母さんがいました。数値の伝え方一つについても、誰からいつどのように伝えるかも考えないといけないという学びがありました。家族を支えるための短期入所施設の在り方をもっと磨いていきたいです」と薮本さん。

今後は、宿泊に対応するための環境作りとスタッフの体制の整備を進め、親子に自信をもってもらえる施設作りとスタッフの人材育成を目指しています。

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お楽しみのお弁当タイム。誰とでも「食べる」「寝る」「遊ぶ」ことができる力を養います

子どもの伸びる力を信じて

露店で野菜を買って初めてのおつかいを経験したり、近所の競馬場に馬を見に行くなど、子どもたちが外に出る機会を増やし、地域との交流も盛んです。

「障害があるお子さんがいることをまずは地域に知ってもらい、共に過ごす様子を地域の当たり前の風景にしていけたら」と藪本さん。

藪本さんは小学校の体育の先生だった当時、障害のある子どもたちとの関わりがありました。その頃の経験と思いが、かがやきキャンプの理念に生かされています。

「やはり子どもですから、体を動かしてたくさん遊んでほしいという根本的な願いがありました。どんなに障害が重くても環境を整えて手をかけることで、自分のもっている動きを表現できるし、表現していいのだということを知ってもらえたら。やったらできるかもしれないと挑戦したことや楽しい経験を小さいうちにすることで、自分の可能性を広げてほしいのです」。

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子どもたちは砂場で遊べるようになった、座れるようになったといった成長を日々見せてくれます

やってみよう、一緒にちょっと頑張ってみよう、そんな日々の積み重ねが子どもたちの成長を促し、子どもとその家族に笑顔が生まれています。

「難病の子どもと家族を支えるプログラム」

日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラムでは、日本全国に難病の子どもと家族の笑顔を増やしていきます。

医療法人かがやき

「日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラム」に興味をお持ちの方は、ぜひ難病児支援ページをご覧ください。

文責 ライター 玉井 肇子
日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム

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