地域密着多機能型支援(ちいたき)

地域密着多機能型支援(ちいたき)とは
地域密着多機能型支援(ちいたき)とは、被災地に拠点を置き、訪問によるニーズ把握から相談対応、課題解決までを一体的に行う民間主導の支援モデルです。公的支援を補完し、継続的な生活再建を支えます。
被災者の「暮らし」を支える支援のリレー
被災地では、住民の方々が元の生活を取り戻せるよう、フェーズに合わせたさまざまな支援が行われます。
1. 災害が起きてすぐ:「助け合い」の窓口
災害が発生して間もない時期には、「社会福祉協議会(※)」が中心となり、自治体と協力して「災害ボランティアセンター」を立ち上げます。ここは、ボランティアの受け入れ窓口です。「片付けを手伝ってほしい」「困っていることがある」という被災者の方々の声を聞き取り、適切な支援につなぐ「調整役」として活動します。
2. 生活の場が移る時:一人ひとりに寄り添う「見守り」
住民の方々が避難所から仮設住宅へ移るなど、生活の環境が大きく変わるタイミングで動き出すのが「地域支え合いセンター」です。これは自治体の事業として、主に社会福祉協議会が運営を担います。日頃から地域に関わるスタッフが仮設住宅や災害公営住宅などを一軒ずつ訪問し、体調や生活習慣の変化に気づき、必要な支援につなげるための見守り活動を行います。一人ひとりとの対話から、支援が必要な住民を把握し、適切な支援制度やサービスへつなげることで、生活再建を支えます。
- ※
社会福祉法に基づき、地域福祉の推進を目的とする民間組織。平時から地域住民の課題に寄り添い、生活支援や福祉サービスを通じて相互扶助の仕組みづくりを担う。

地域密着多機能型支援(ちいたき)の活動内容
こうした公的な仕組みと並行して、民間団体が主導する「長期的な支援」も重要な役割を果たしています。
民間ならではの「柔軟性」「スピード感」
公的支援は被災者全体を公平かつ継続的に支えることが強みである一方、初動の速さや個別事情への柔軟な対応が難しい場合があります。民間団体は発災直後から地域に根を張り、支援制度の枠組みに捉われず活動を続けます。能登半島地震以前の災害においても、一般社団法人おもやい(佐賀県武雄市)、たすけあいセンター「JUNTOS」(茨城県常総市)、特定非営利活動法人SKY協働センター(広島県坂町)など、各地域に根ざしている団体は、遠方からのボランティアが去った後も継続して、被災者一人ひとりの悩みを聞き、解決するまで寄り添い続けてきました。
地域密着多機能型支援拠点
日本財団では、令和6年能登半島地震の支援に際して、被災地でこれまで培われた、以下における民間の知見に注目しました。
- 活動拠点を構える:地域住民が、いつでも頼れる場所を作る
- 一軒ずつ訪問する:直接足を運び、困りごとを聞き取り、必要な情報を届ける
- 解決するまで課題と向き合う:聞き取った課題を、専門団体や支援制度につなげる、または自団体で対応する
この3点すべてを行うものをプログラム化したものが「地域密着多機能型支援(ちいたき)事業」です。地域に密着した息の長い支援の一つとして実施しています。
ちいたきが届ける、3つの「支える力」
「地域密着多機能型支援(ちいたき)」では、被災された方々に寄り添う3つの柱を中心に活動しています。日本財団は、この活動で得られた経験や知恵を継承し、次に起こりうる災害への備えや、より良い社会づくりのための提言に活かしていくことを目指しています。
① 集える場所づくり(支援拠点の運営と交流事業)
~「いつでも相談できる」という安心感を~
被災後の生活は不安が絶えません。「ここに行けば誰かに相談できる」という安心感を持っていただけるよう、スタッフが常駐する支援拠点を設けます。単なる相談窓口ではなく、お茶を飲みながら交流できる「サロン」などを開き、住民同士が自然に困りごとを話し合える場を整えます。また、支援を受ける側だった住民が、次第に運営を支える側に回っていくような、地域の自立を後押しする場づくりも大切にしています。
② 待つのではなく、こちらから(訪問活動:アウトリーチ)
~公的な支援からこぼれてしまう人をなくすために~
自宅や遠方で避難されている方など、公的な支援が届きにくい方々が孤立しないよう住まいを一軒ずつ訪ねます。そこで伺った悩みは、行政や専門家との会議で共有し、適切なサポートにつなげるための大切な情報となります。直接足を運ぶことで、公的機関と手を取り合う「官民連携」の要(かなめ)としての役割を果たします。
③ 解決するまで、共に歩む(個別支援活動)
~一人ひとりの課題に合わせた伴走支援~
拠点や訪問活動で見えてきた課題は、解決するまで一貫してサポートします。子どもの居場所づくり、専門家による相談会、住み慣れた場所への帰還支援など、地域の状況に合わせた活動を展開します。公的な支援だけでは解決できない一人ひとりの困りごとに対し、地域に密着した多様な方法で、生活再建に向けた「納得のいく形」を一緒に見つけていきます。

「被災地に持ち寄る知恵」と「地元の力」を一つに
これまでの経験を活かし、能登の復興を支える「ちいたき」事業の中核を担っているのは、全国各地の被災地で支援を行ってきた経験豊富な団体です。県外から駆けつけた団体は、いつかは石川県から離れます。いずれは地元の方々が活動の主体となっていけるよう、地域住民の方々や社会福祉協議会の職員の方も「支援の担い手」として徐々に事業へ加わっています。
「外からの知見」と「地元の声」を掛け合わせることで、能登に根付き、そして継続していく支援のかたちを目指しています。
地域密着多機能型支援(ちいたき)採択事業について
日本財団では、これまで、以下の6団体10事業の支援を決定してきました。2026年度は地元団体が主体となった事業への支援を予定しています。

① 特定非営利活動法人リエラ
拠点:ふちゅうさんち(能登町宇出津地区)
- ※
能登町役場から紹介された家屋を賃借
- 子どもの居場所づくり
- 町外避難した住民への帰還支援
- 地元団体によるイベント実施のサポート
| 事業期間 | 助成金額 | |
|---|---|---|
| 【第1期】 | 2024年8月~2025年7月 | 10,000,000円 |
| 【第2期】 | 2025年8月~2026年3月 | 9,440,000円 |
② 特定非営利活動法人レスキューストックヤード
拠点:ボラまち亭(穴水町由比ヶ丘)
- ※ 穴水陸上競技場管理棟を間借り
- 町・社会福祉協議会と連携した災害ケースマネジメント会議
- 集落単位のお祭り支援、出張型での寄り添い活動
- 仮設住宅見守り支援
| 事業期間 | 助成金額 | |
|---|---|---|
| 【第1期】 | 2024年7月~2025年3月 | 17,075,400円 |
| 【第2期】 | 2025年4月~2026年3月 | 9,912,000円 |
③ 被災地NGO恊働センター
拠点:じんのび広場(七尾市中島町)
- ※ 中島林業総合センターを間借り
- 住民主体で地域の復興を考える「中島トーク」の開催
- 復興マルシェ等の定期開催を通じた、地域の活気作りやコミュニティの再建
- 足湯イベントの開催
| 事業期間 | 助成金額 | |
|---|---|---|
| 【第1期】 | 2024年7月~2025年3月 | 9,700,000円 |
| 【第2期】 | 2025年4月~2026年3月 | 9,290,000円 |
④ 一般社団法人siensienwest(七尾市石崎町)
拠点:おらっちゃ七尾(七尾市石崎町)
- ※ 旧石崎保育園を賃借
- 市・社会福祉協議会と連携した民間の災害ボランティアセンターの運営
- 全戸訪問調査による困りごとの聞き取り
- 相談会やお茶会等のサロン活動
| 事業期間 | 助成金額 | |
|---|---|---|
| 【第1期】 | 2024年7月~2025年3月 | 8,278,000円 |
| 【第2期】 | 2025年4月~2026年3月 | 9,960,000円 |
⑤ 公益社団法人シャンティ国際ボランティア(輪島市門前町)
拠点:シャンティつなぎのまどぐち
- ※ 地域の歴史博物館を間借り
- 戸別訪問による支援制度に関する情報提供
- 出張型サロン活動の開催
- 行政主導の移動型図書館との連携
| 事業期間 | 助成金額 | |
|---|---|---|
| 【第1期】 | 2024年8月~2025年1月 | 2,910,954円 |
⑥ 災害NGO結(輪島市町野町)
拠点:たまりば町野ベース
- ※ 地元住民と協働して拠点を設置
- ボランティアの受け入れ、コーディネート
- 住民が集まる機会と場の創出
- 技術系ニーズ対応・農地の復旧
| 事業期間 | 助成金額 | |
|---|---|---|
| 【第2期】 | 2025年9月~2026年3月 | 6,500,000円 |
お問い合わせ
日本財団 災害対策事業部 災害対策事業チーム
- メールアドレス:saigai@ps.nippon-foundation.or.jp