障害者・高齢者の意思決定支援とは
認知症高齢者や障害者等は、どのような人生を送りたいか、ということを尋ねられることがなかなかありません。人生の様々な場面で、自分の希望や願いを表現する機会を得られず、周囲の人や離れて暮らす家族、親族等の事情や都合が優先され、その人にとって安全・安心であろう、と思われる決定に従わざるを得ないのです。
意思決定支援は、判断能力が十分ではなかったとしても、地域生活や社会参加を継続していくために、先ずは自らの可能性を生かし、その人らしく暮らすことができるように、希望や願いを聞き取り、実現していくプロセスにおいて提供される支援です。
意思決定支援を行うことで、その人を取り巻く関係性を豊かにし、互いに支えあう社会を構築していきます。
障害者の権利に関する条約と意思決定支援
障害者の権利に関する条約(以下、障害者権利条約)は2006年に国連で採択され、すべての障害者について尊厳と権利を保障し、障害を理由とするあらゆる差別の禁止や合理的配慮の提供の確保などを求めています。
障害者権利条約では、法律の前にひとしく認められる権利(第12条)が謳われています。障害者総合支援法においても、障害者等が自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、障害者等の意思決定の支援に配慮する(第42条)とされています。
しかし認知症高齢者や障害者は、これまでどこで誰と暮らしたいか、余暇活動でたとえば、どこかに旅行に行きたいか、といったことについてほとんど希望を聞かれてきませんでした。
これまで声を聞かれることがなかった人の声に耳を傾け、自分の人生を自分で決めていくことができるような支援が提供されることで、誰もがその人らしく、社会参加できる環境整備につながります。
日本財団では、オーストラリアやイギリスの先駆的事例の紹介や啓発、日本での実践のためのプログラム開発等を支援してきました。
障害者権利条約の考え方が、広く共有され、同条約のテーマでもある「私たちのことを、私たち抜きに決めないで」が実現されるように取り組んでいきます。
ニュース
軽度知的障害者の進路選択や日常生活での重要な意思決定に関する実態調査
18歳という時期は、進学や就職、恋愛・結婚など、人生の大きな選択に直面する重要な時期です。しかし、知的障害のある若者が自らの意思で進路や生活を決めることは簡単ではなく、周囲の大人によるサポートが不可欠で
日本財団・横浜市教育委員会・横浜国立大学による特別支援学校における「意思決定支援」連携協定を締結
日本財団は、障害や認知症等で判断能力が十分でない人も、地域生活や社会参加を継続していくために自らの意思を表明し、意思決定ができる仕組みづくりを推進しています。この一環として2024年3月29日に知的障害

知的障害者40人の「人生の岐路における選択」経験についての実態調査
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