社会課題に取り組むスタートアップ/起業家の支援(1/2)
日本財団ソーシャルイノベーションフォーラムとSTARTLINE
人口減少、子どもの貧困、環境やエネルギーの問題、社会的排除や社会的孤立など、社会課題は複雑化している。社会課題に取り組む主体も多様化し、政府や地方自治体といった公的部門だけでなく、民間の営利法人や非営利法人、個人のボランティアなど多様な主体/セクターとの協働が推進されている。従来の手法とは異なる斬新な視点で社会課題に取り組む起業家たちも現れ、そういった社会的企業は2015年時点で20万5,000社あるとされている。(※1)
当財団は、2016年から毎年「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム」を開催し、社会課題に取り組む多様な主体/セクターのハブとなり、社会課題解決の担い手を育成すべく活動してきた。各分野で活躍する専門家、実践者、起業家などを招き、講演やワークショップを企画運営し、多様なテーマについて議論を深めると共に、参加者同士のネットワーク構築の場を提供した。2019年は、3日間にわたりフォーラムを開催し、家族のあり方、環境問題、働き方や幸福論など幅広いテーマについて12の分科会を開き、延べ3,000人強が参加した。

- ※1. 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(2015)「我が国における社会的企業の活動規模に関する調査」。なお、ここでいう社会的企業とは社会課題を、ビジネスを通して解決・改善しようとする活動を行う事業者であり、組織形態は営利か非営利かを問わない。
2020年は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、会場に集うリアルイベントからオンライン化し、名称も「STARTLINE」に変え、予測不可能な社会をどのように乗り越えるかをテーマに、各界のフロントランナーをスピーカーとして招き15のプログラムを配信した。有料プログラムは約2,000人が視聴、無料プログラムは視聴回数1万回を超えた。今後も、社会課題について触れたり、社会を考えたりするきっかけとなるプログラムを配信する予定である。

また、日本財団ソーシャルイノベーションフォーラムでは、社会課題解決の新たな担い手を発掘し支援するため、「日本財団ソーシャルイノベーター支援制度」を創設し、ソーシャルイノベーターの表彰を行った。2016年は最優秀賞・優秀賞に選出された3組それぞれに上限1億円×3年間の支援、2017年は優秀賞3組それぞれに上限5,000万×3年間の支援を実施した。2018年、2019年には「日本財団ソーシャルイノベーションアワード」へ改称し、最優秀賞と優秀賞に活動奨励金が授与された(受賞者リストは本記事末尾に掲載)。
