ひっ迫する医療現場を支える看護師緊急派遣事業

当財団は、2020年7月に公益社団法人東京都看護協会へ「新型コロナ感染症における地域の医療提供体制確保のための緊急措置に係る看護職員派遣支援」事業の支援を決定した。
本事業は、社会的に医療崩壊の回避が求められる状況で、看護の担い手が緊急かつ多数必要となるクラスター発生時に、東京都看護協会から看護職員を要請のあった地域に派遣し、特別補償を設けることによって、医療現場を支え、医療崩壊を防ぐことを目的としていた。
しかし、本事業を遂行する中で、クラスター発生時には高度なスキルを持つ現役の看護職が必要だが、短期間でそうした人材の確保は難しいこと、また看護職派遣に関する法的規制から、広く看護職を集めて新型コロナウイルス感染症のクラスターに対応するといった緊急措置が難しいこと、などが明らかとなった。その一方で、大阪府と北海道の首長から自治体をまたぐ支援要請が出されたことにより、ある種の超法規措置として広域での支援体制が実現したことは、本事業の成果ともいえる。
クラスター発生時の医療崩壊を防ぐために、広域支援が必要となる場合の体制や超法規的措置による柔軟な運用等が可能になるよう、今後改善されていくことを期待したい。なお、本事業は、当財団および「新しい地図」(稲垣吾郎氏、草彅剛氏、香取慎吾氏)の呼びかけによって「LOVE POCKET FUND(愛のポケット基金)」に寄せられた寄付金からの支援事業であり、多くの方からの感謝と敬意の気持ちが込められた支援が実現した。

(藤重 香弥子/災害対策事業部)