コロナ時代に社会を支える公益セクター

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、NPOをはじめとする公益セクターにも大きな影響を及ぼしている。2020年7月に当財団が同セクターに対して実施したアンケートによる影響度調査では、回答638団体のうち98.8%の団体が事業への影響に危機感を抱き、今後の活動資金に苦慮する団体は半数近くに上った。一方で、コロナ危機を乗り越えようと新たなサービスを模索する動きも見られ、コロナ禍における公益セクターのあり方を見据えて、同年8月にコロナ対策のための緊急的な助成案件を募集、10月に決定した。
申請団体の多くは、喫緊の課題として感染対策やオンライン環境の整備を急ぎ、事業の継続に努めていた。一方で、テクノロジーを活用した新規事業の創出や障害者施設での就労種目の変更、運動教室や交流イベントを開催して子どもやお年寄りの外出機会を作る動きも見られた。
助成決定は93件。繰り返される緊急事態宣言に影響を受け、当初の目標達成が困難な事業もあったが、危機を乗り越えようと奮闘する報告が随時届いた。感染拡大から1年半が過ぎ、オンラインを軸に計画された教育・文化イベント、福祉施設における非接触サービスの導入など、私たちの日常生活や働き方が変わろうとしているように、公益セクターでも変化の兆しが見え始めている。
(福田 英夫/公益事業部)