増加する不動産の保全と有効活用

日本財団ビルの機能強化

1962年に竣工した当財団のビルは、日本を代表する著名な建築家である吉村順三氏の設計によるものである。三角形に近い五角形のビル形状や日本で初めて導入されたといわれているダブルスキン構造など画期的であったことから、2000年に当財団が取得し改修した際にも、その構造を維持している。今でも設計の研究対象になるほどで、大学等からの見学依頼がある。
そうした著名なビルであるが、2011年に発生した東日本大震災をきっかけに、2014年度に耐震診断調査を実施。ビルの設計上の価値や構造部材のコンクリートの堅牢性等を踏まえ、災害時における事業継続性を確保するため、2016年度から3年をかけて免震改修工事を実施した。これにより庁舎等防災拠点並の耐震性を獲得し、今後50年にわたる使用が可能となった。

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建物を使いながら地下1階柱頭免震工法にて改修工事を実施

つくば研究所跡地の整備

茨城県つくば市にある、当財団所有の「つくば研究所跡地」は、2015年に一般財団法人シップ・アンド・オーシャン財団が公益財団法人笹川平和財団と合併した際に譲渡を受けたものである。すでに研究所の役割は終えていたため、2021年度には建物解体およびフェンス更新等の整備を図りつつ、大規模自然災害時の被災者支援等に向けた跡地の活用法を検討している。

寄付を受けたビルの活用

社会福祉に役立てていただきたいという志により2015年度に渋谷区原宿にあるビルが、当財団に寄付された。公益財団法人が生前に個人から建物の寄付を受けるのは稀で、受け入れにあたっては、寄付者の意思尊重と公益法人会計基準に照らした適正な会計上の構成を両立すべく検討を重ねた。現在、1Fは障害者が中心となって働くフラワーショップに、5Fは高齢者がデイサービスに利用するフロアになっているほか、ビルの賃貸料の一部を公益事業へ活用すべく取り組んでいる。
(相澤 佳余/経理部)