組織体制の強化(1/2)

特例民法法人から公益財団法人へ

当財団は、2011年4月1日をもって特例民法法人から公益財団法人に移行認定された。これにより「モーターボート競走法」に加え、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」と「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」等の法令に則った組織運営がスタートした。公益財団法人への移行に伴い、法に基づく業務執行機関である理事会を月3回開催(※)し、年々増加する助成事業等の決定を中心に日常業務を執行している。また、外部有識者で構成する会議体として「アドバイザリー会議」を新たに設置し、助成の基準、基本方針、助成事業計画原案等について意見を求めるなど、透明性の確保と事業の質の向上を図っている。

  • 2016年からは開催頻度を月2回に改めた。

組織再編-経営企画部の設置

2011年3月に発生した東日本大震災以降、当財団を取り巻く環境は大きく変化しつつあった。それ以前はモーターボート競走法に基づく交付金を活動財源とし助成事業中心に事業を展開してきたが、同震災ではダイムラーグループ、キリンホールディングスなどの民間企業やカタール政府からも寄付金が寄せられた。これ以降当財団には、社会課題やニーズの多様化に伴い、自らが社会課題解決を実践する主体的な機能が一層強く求められるようになり、当財団は新たな組織づくりを行っていくこととなった。
2014年10月、当財団は組織再編を行い、事業部門に審査本部とソーシャルイノベーション本部を設置した。これは助成事業を中心とした本来の機能を審査本部で担保しつつ、社会の変化に対応した先駆的な事業を自らが生み出すため、新規の事業企画・開発・実施並びに戦略的な助成事業を行う機能をソーシャルイノベーション本部に担わせるものであった。また寄付文化の醸成を行うドネーション本部、広報業務をはじめとした内外のコミュニケーション機能を一元化するコミュニケーション部も設置した。

管理部門においては、資金管理における牽制機能と処理能力を強化するため、総務部から経理部を独立させる再編を行った。
当財団自らが企画立案する事業が増加することに伴い、分野を超えた多種多様な事業を総合的にとらえて展開していく必要性も生じてきた。そのため、2017年7月には、再度組織再編を行い、当財団の事業部門全体を管理しその方向性や戦略の企画立案を担う経営企画部(※)、並びに海外事業における高度な交渉や総合的な対応を行う特定事業部を新たに設置し、組織機能の強化・向上を図った。

  • 経営企画部については、翌2018年に事業管理業務等の一部業務を総務部に移管すると共に、コミュニケーション部と統合し「経営企画広報部」となった。
「監査部」があります。「コミュニケーション部」があります。「総務部」の下に総務・秘書、企画・システムがあります。「経理部」の配下に経理、財務があります。事業部を再編し、公募型の助成事業を行い、定型化を推進する「審査本部」を設置しています。審査本部の下に調査、審査、管理、貸付があります。事業部を再編し、新規の事業企画・開発・実施、戦略的な助成事業、ドネーション本部と連携した寄付金の獲得を行う「ソーシャルイノベーション本部」を設置しています。「ソーシャルイノベーション本部」の下に海洋、文化・交流、子ども・町づくり、障害・医療があります。寄付金の獲得を行う「ドネーション本部」を設置しています。
2014年10月の組織再編による新組織図 審査本部、ソーシャルイノベーション本部、ドネーション本部を設置

オフィス改装・フリーアドレスの導入

2016年、長時間労働の是正等、社会的に働き方を見直す議論が高まっていた。当財団においても一つの施策として、2016年7月よりオフィスの定時(18時30分)消灯を開始。当初は19時消灯とし、2017年4月以降から18時30分消灯とした。
また、当財団がソーシャルイノベーションのハブとなるためには、職場環境も重要な要素であったことから、2016年度にはオフィス改装の本格的な検討に入った。「プロ意識」「信頼性」を感じさせる組織文化に変革していくことを目的に、日本財団ビル6階から8階を対象にオフィス改装プロジェクトを推進した。2017年6月末に溜池山王駅上の山王パークタワーへ一時移転し、同年7~8月の約2カ月間仮事務所にて業務を行った。その間、急ピッチで改装作業を進め、同年9月より新オフィスでの業務を開始した。
このオフィス改装に伴い、当財団は2つの大きな施策を実行した。1つ目は「ペーパーレス化」である。改装前の紙資料の70%削減を目標とし電子化を進めた。この改装を通じて全体の約51%の文書を廃棄、新オフィスは保管スペースを限定するなどし、ペーパーレス化を促進した。

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1人1台の固定席と袖机が配置され、紙資料が多い改装前のオフィスの様子

施策の2つ目は「フリーアドレスの導入」である。それまでは1人に1台のデスクと袖机を割り当てていたが、職員数の増加に伴いオフィススペースが不足し、より柔軟にオフィスを運用する必要性が生じた。
7階は有効床面積の約4分の3を役員個室、会議室、応接室が占めていた。6~8階をトータル的に効率よく活用するため、役員個室は会長室、理事長室、専務理事室に限定し、部屋面積も縮小した。秘書チームも個室を廃止し、空いたスペースに職員の業務スペースとミーティングルーム、プロジェクトルームを設置するなど汎用性を高めたオフィスへの改装を行った。

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毎日席が変わるフリーアドレスを前提としたレイアウトとなった改装後のオフィス

また、部署間のコミュニケーションを活性化させることや、「Nothing on the desk」としプロ意識を感じさせるオフィス環境を構築することも重要な要素であった。
オフィス改装後はフリーアドレス制の導入により、部署単位で毎日席が変わる運用が基本となった。これによりオフィススペースの有効活用が可能となり、「Nothing on the desk」についても徹底された。常務理事も職員と同様にフリーアドレス運用の対象とすることで、部署間だけでなく役職員間のコミュニケーションがより活発にできるオフィスレイアウトとなった。
(浅岡 遼/総務部)