日本財団と愛媛県新居浜市が連携協定を締結 ヤングケアラーの早期発見・支援提供の自治体モデルを構築
日本財団は、すべての子どもたちが自分らしく、子どもらしい時間を過ごして暮らせる社会の構築を目指し、子どもを支援する多様なプロジェクトを推進しています。その取り組みのひとつである、「ヤングケアラーとその家族に対する支援」を加速させるために、愛媛県新居浜市と2022年12月から2026年3月まで3年間の連携モデル事業を実施することになり、本日、日本財団・新居浜市との連携協定締結式が新居浜市役所にて行われましたので、お知らせいたします。
本モデル事業ではヤングケアラーを早期に発見し、支援先につなげ、実際に支援を提供するモデルの構築と支援体制の整備を行います。また、ヤングケアラーに対する効果的な支援について検証し、全国への普及を目指します。
ヤングケアラーの現状と課題
ヤングケアラーは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話など、本人の年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで生活や学業へ影響があることから、実態の把握及び支援の強化が求められています。ヤングケアラーの発見から支援の提供までには以下のような課題があります。
①見つからない:ヤングケアラーであることの本人、周囲の自覚がない
②支援につながらない:医療・教育・福祉の現場の連携が不十分、支援体制が確立されていない
③支援制度がない:上記から実態の把握が難しく、適切な支援制度が存在しない
上記の①②③の課題を解決するため、日本財団は以下の取り組みが必要と考えています
家族に対する包括的支援推進自治体モデル事業の概要
日本財団では自治体とのモデル事業を実施することでヤングケアラーを早期発見・把握し、適切な支援先につなげ、支援を提供することを目指します。ヤングケアラー支援については、厚生労働省より2022年4月にヤングケアラー支援体制強化事業実施要綱が定められましたが、その運営の担い手は自治体に任されています。日本財団の自治体モデル事業では、自治体だけでなく、地元での活動実績や知見のある民間団体と連携を行うことで、ヤングケアラーからのSOSの発信を待つだけでなく、積極的にヤングケアラーを見つけ、つなげ、支援するところまで一連の流れで支援するモデルを構築します。
日本財団での助成決定済み事業
助成先 | (一社)えひめ権利擁護センター新居浜 |
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令和4,5年度助成金額 | 11,290,000円 |
事業内容 |
①ヤングケアラーに関する相談・対応 ②関係機関との連携 ③研修会の実施 |
新居浜市との連携モデル事業の内容
日本財団の支援先であり、愛媛県内でスクールソーシャルワーカーの派遣実績を持つ一般社団法人えひめ権利擁護センター新居浜が、学校教員からのチェックシートによる相談を受け、新居浜市の関係機関と連携して必要な支援を提供します。他にも、関係機関への研修会実施による啓発活動を実施予定です。
今後の予定
2023年度は、自治体モデル導入前後の比較検証を行い、24年度以降は、自治体や助成団体と共に、成果検証を毎年行うほか、「みつける」「つなげる」「支援する」の各部分強化に向けた検討を行っていきます。日本財団は、今後も新居浜市をはじめとした三つの自治体におけるモデル事業を支援するほか、ヤングケアラー支援に関する普及啓発、ネットワーク構築を進め、最終的にはヤングケアラーとその家族を支援するための政策提言に繋げていく予定です。
登壇者コメント
日本財団 常務理事 吉倉和宏
地方自治体でよく聞くのが、福祉と教育が分断されていて、学校で課題を抱える子どもや悩んでいる子どもがいても、先生が家庭の問題に踏み込むことが難しいという事です。しかし新居浜市では、これまでも教育と福祉が非常に緊密に連携していると伺っており、本事業はヤングケアラーのみならず、支援を必要とする子供を発見し、福祉分野の支援につなげる取り組みとして非常に有意義な試みになると期待しています。
新居浜市 市長 石川勝行
ヤングケアラーをはじめ困っている子どもへの支援を速やかに実施するため、民間機関を含め多様な機関と連携することが不可欠です。新居浜市では、(一社)えひめ権利擁護センター新居浜と連携して、ヤングケアラーの早期発見とその家族を含め適切な支援を実施するための体制構築に取り組んでまいります。
一般社団法人えひめ権利擁護センター新居浜 代表理事 山本豪
当法人は「スクールソーシャルワーカー(SSW)」として、児童生徒や保護者たちが抱える様々な生活課題に対し、関係機関とのネットワークを活用し、彼らが置かれている環境の改善、生活課題の解決に向けて取り組んでいます。本事業では、ヤングケアラーと思われる児童生徒を早期に発見し、学校、自治体、SSWと三者で支援につなげる仕組みづくりを構築できるよう取り組みます。
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