日本財団無人運航船プロジェクトMEGURI2040 国連の国際海事機関(IMO)の海上安全委員会(MSC)でプロジェクトを紹介無人運航船のルール作りへの着実な貢献
日本財団は、国内の船員不足や船舶の安全性の向上を目指して、2020年2月より無人運航船プロジェクトMEGURI2040を推進しています。この度、国連の専門機関である国際海事機関(International Maritime Organization, IMO※1)の第109回海上安全委員会(Maritime Safety Committee, MSC109※2)にて、世界各国の代表団約250名に対して、本プロジェクトを紹介しました。
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第1ステージ(終了済)では、2022年1月~3月にかけて船舶交通量が多い海域(輻輳(ふくそう)海域)である東京湾での実証や、長距離・長時間(12時間以上)の無人運航実証を成功させました。
現在、第2ステージにおいては、第1ステージの知見を活用し、瀬戸内海を結ぶ離島航路船や生乳・農畜産物を運ぶRoRo船の商業運航時における社会実装を目指しています。2025年夏以降に開始する4隻の船舶での無人運航実証を経て、2040年には50%の船舶の無人運航化を達成することで、国際的な社会課題である船員不足の解消や、船舶の安全性の向上を目指しています。
当日は、海野光行日本財団常務理事によるプロジェクト紹介に始まり、開発事業者の代表メンバーからのプロジェクトの現在地及び開発技術や、社会実装に向けた取り組みに関する発表がなされました。
プロジェクト紹介は、MSCにおけるランチタイムセッションで行われ、発表後の質疑応答においても積極的な質問や意見を受けるなど、世界の海上交通における無人運航船の注目度と、本プロジェクトへの関心の高さが伺えました。
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1 国際海事機関(IMO):船舶の安全及び船舶からの海洋汚染の防止等、海事問題関する国際協力を促進するために1958年に設立された国連の専門機関。2024年7月現在、176の国・地域が正式に加盟し、3地域が準加盟国となっている。
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2 海上安全委員会(MSC):IMO加盟国で構成され、2年間に3回開催される。①航行援助、②船舶の構造・設備、③安全の見地からの配員、④衝突防止のための規則、⑤危険貨物の取り扱い、⑥海上安全に関する手続き・要件、⑦水路情報、⑧海難調査、及び⑨その他の会場の安全に直接影響のある事項を検討する。
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当日の資料(一部・英語資料)
第1ステージ:2022年までに6隻による世界初の無人運航船実証
第2ステージ:2025年までの社会実装を目指すMEGURI2040の取り組み
MEGURI2040プロジェクトにおけるルール作りへの貢献
無人運航船が社会に根付くためには、安全性が担保されたルールの整備が不可欠です。また、無人運航船は、国際的なルール作りが必要となるテーマであり、国際海事機関(IMO)においてその国際規則(MASSコード※3)の議論がなされています。
MEGURI2040プロジェクトでは、無人運航船の開発プロセスや、実証実験の結果をもとに、国内外のルール作りに貢献するべく、積極的な情報提供を行ってきました。2022年に実施した世界初となる6隻の無人運航船の実証実験データも、国土交通省から国際海事機関の第106回海上安全委員会(2022年)において、各国へ共有されました。現在、日本は無人運航船の技術の最重要パートである「航海(Navigation)」の主筆を担っています。
また、2024年10月17日には、国際海事機関(IMO)のアルセニオ・ドミンゲス事務局長が、兵庫県西宮市にある陸上支援センターを訪問した際にも、本プロジェクトの説明を実施しています。
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3 MASS Code:無人運航船(Maritime Autonomous Surface Ship)に関する国際規格
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日本財団 無人運航船プロジェクトMEGURI2040
船舶の事故の減少、海運の人手不足の解消など、様々な課題の解決につながるものとして期待されている無人運航船は、ICTやAI、画像解析技術をはじめ、日本が世界に対して高い技術を生かすことができる「未来の産業」として、研究・開発が進められています。特に、昨今の「物流2024年問題」への対応策として船舶輸送に対する期待が高まっている中、サプライチェーンにおける人材不足(船員不足)の解消に資する技術としても注目が高まっています。
![無人運航船プロジェクトMEGURI2040 ロゴ](/wp-content/uploads/2024/12/new_inf_20241205_03.jpg)
日本財団は今後も、国内物流の40%を占める※4内航海運業界の船員の不足や高齢化、船舶の事故といった課題を解決し、安定的な物流の維持を実現するべく、国内における無人運航船の技術開発・実装と更なる社会的理解を醸成する取り組みを進めていきます。
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お問い合わせ
日本財団 海洋事業部 無人運航船プロジェクトチーム
- メールアドレス:MEGURI2040@ps.nippon-foundation.or.jp