日本財団からの助成金3.7億円を活用し「Jリーグサステナビリティ事業活性化プロジェクト」を発足日本財団がJリーグとサステナビリティ領域における連携協定を締結!
中村憲剛さん、五郎丸歩さん、高梨沙羅さんがサステナビリティの重要性を語る

⽇本財団と、日本プロサッカーリーグ(以下、Jリーグ)(東京都千代田区、チェアマン 野々村芳和)は2025年5月9日(金)、サステナビリティ領域における連携協定を締結しました。本協定は、スポーツ界を起点に、社会全体のサステナビリティへの意識と行動を加速させることを目的としています。

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連携協定式の様子(写真左より、Jリーグ野々村芳和チェアマン、日本財団 笹川順平専務理事)
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パネルディスカッション登壇者(写真左より、SDGs in Sports 井本直歩子代表、日本財団 笹川順平専務理事、Jリーグ辻井隆行執行役員、Jリーグ 中村憲剛特任理事、HEROs PLEDGE パートナーアスリート 高梨沙羅氏、HEROs PLEDGE パートナーアスリート 五郎丸歩氏)

今回の協定では、60年以上にわたり社会課題解決を⽬指して多くの⽀援を重ねてネットワークを構築してきた⽇本財団と、2023年より「Jリーグ気候アクション」を開始し、全60クラブと各地域のステークホルダーとともに日常の行動変容や地域活性化を目指してきたJリーグが連携。両者のネットワークと知見を掛け合わせることで、サステナブルな社会づくりをさらに推進していきます。

連携の第一ステップとして、Jリーグは、日本財団からの助成金3.7億円を活用して「Jリーグサステナビリティ事業活性化プロジェクト」を発足。Jリーグ全60クラブの気候アクションを支援・促進していきます。さらに、各クラブの取り組みを数値化し、進捗や目指すべき方向性を一目で把握できる仕組みの「Sport Positive Leagues(スポーツポジティブリーグ、略称 SPL)」への参画も進め、2026年1月からJリーグ全体でのサステナブルな未来づくりへ向けて、本格的な導入を目指します。

【第1部】Sport Positive Leagues 発表記者会見

報道関係者様向けに本プロジェクトの始動を発表する機会として、2025年5月9日(金)13時より、日本財団ビルにて「Jリーグ・日本財団サステナビリティ領域における連携協定」に関する締結式を開催しました。締結式の第1部・発表記者会見には、Jリーグの野々村芳和チェアマン、辻井隆行執行役員(サステナビリティ領域担当)、日本財団の笹川順平専務理事が登壇。冒頭、野々村氏は「Jリーグとしては、地域でのクラブの発展と、世界で戦えるクラブづくりという二つの大きな目標に取り組んでいます。中長期の発展を考えたときに気候変動の影響は非常に大きく、選手のパフォーマンスにも直結しています。だからこそ、環境変化への適応だけでなく、根本的に気候変動の影響をいかに少なくできるかをJリーグ全体で本気で取り組む必要があります。今回の日本財団との連携は、その本気度を示す大きな一歩です」と力強く語り、協定への意欲を示しました。続いて、今回締結する連携協定について、笹川氏は「Jリーグと日本財団が手を組むことで、子どもの貧困や体験の格差、障害や多様性の課題、さらには災害や気候変動といった複雑な社会課題に対し、スポーツの力を活用してアプローチしていきたい」としたうえで、「Jリーグが全国に抱えるファンや地域ネットワークと、日本財団が持つ資金力や支援力、そして現場に密着した知見を掛け合わせることで、困難な状況にある子どもたちへの支援や、頻発する災害に対する支援、気候変動などの環境問題への対策など、持続可能な社会づくりを多面的に推進していきます」と新しい取り組みへの期待を滲ませました。
その後、連携の第一ステップとして実施する「気候アクション領域の取り組み」について、辻井氏は「サッカーの持続可能性のために、Jリーグが2026年から“スポーツポジティブリーグ”をアジアで初導入し、各クラブの気候変動対応を可視化・促進していく取り組みを始動します」などと具体策と共にスポーツ界の未来への展望を述べました。

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発表記者会⾒の様⼦(写真左より、Jリーグ野々村芳和チェアマン、日本財団 笹川順平専務理事、Jリーグ辻井隆行執行役員)

Sport Positive Leagues (スポーツポジティブリーグ、略称 SPL)とは

「Sport Positive Leagues」は、スポーツを通じた環境サステナビリティの取り組みを数値化し、その進捗や目指すべき方向性をわかりやすく把握できる仕組みであり、国際的なイニシアチブです。2019年にイングランド・プレミアリーグのクラブを対象に始まり、現在ではブンデスリーガ、リーグ・アン、イングリッシュ・フットボールリーグ(EFL)など、欧州の主要リーグに拡大しています。参画リーグの所属クラブを対象に、気候変動対策にとって重要な12項目の取り組み状況について、スポーツ界特有の環境パフォーマンス、例えば、試合会場や施設のエネルギー効率、再生可能エネルギーの利用、リサイクルや廃棄物削減の取り組み、ファンや選手の移動に伴うCO2排出量の管理、ホームタウンとの連携や選手等への環境教育の推進などの多岐にわたる活動の効果をデータとして収集します。その後、SPL独自のスコアリングシステムで定量的に効果分析が行われ、エネルギー、廃棄物、交通など、カテゴリーテーマ別に加重を設けて総合点を算出。スポーツファンに馴染みのある順位表形式でSPLからリーグごとにスコアが出され、参画するクラブが横断的に紹介されます。データ駆動型のアプローチにより、環境への取り組みが可視化され、スコアを公表することで最善策の共有を促進し、より高い目標を追求する動機付けが仕組みとして備えられている点が特徴です。この取り組みはスポーツを通じた気候変動対策の一環として、国際的な注目を集めています。

【第2部】パネルディスカッション

第2部のパネルディスカッションでは、最初にSDGs in Sportsの井本直歩子代表、東京大学未来ビジョン研究センターの江守正多教授が登壇し、気候変動がスポーツに与える影響とスポーツが社会に果たしうる気候変動対策の発信力や実行力について言及。屋外競技を中心に、気候変動が選手や大会運営に与えるリスクが高まっている現状を共有するとともに、アスリートやスポーツイベントなどを通じて、気候変動に対する意識変容や行動変容を促していくことの重要性を語りました。その後、第1部に登壇した辻井氏に加えて、Jリーグの中村憲剛特任理事、HEROs PLEDGE パートナーアスリートの五郎丸歩氏、高梨沙羅氏をゲストに迎え、「アスリートが語るサステナビリティの重要性」についてパネルディスカッションを実施しました。

コメント(抜粋)

中村憲剛氏(Jリーグ特任理事)

プロサッカー選手として18年間活動してきた中で、地球温暖化の影響を肌で感じてきました。以前に比べて日本の夏は異常な暑さとなり、プレーは命に関わるレベルに達しています。現在は指導者としても活動していますが、特に子どもたちのトレーニング環境に深刻な影響があり、練習の時間帯や負荷の調整には非常に気を使っています。さらに、近年は台風や水害による試合の中止や延期も増えており、シーズンの過密化や選手の負傷リスクにもつながっています。8月の炎天下での練習や試合は、まさに選手の命を削っているような状況で、環境変化がスポーツ現場に及ぼす影響の大きさに危機感を覚えています。サッカーはただ試合をするだけではなく、日々の練習を含めて成り立つスポーツであり、今後はより環境に配慮した運営が求められていくと感じます。

五郎丸歩氏(HEROs PLEDGE パートナーアスリート)

引退後、父親としての視点も交えて気候変動の影響を強く感じています。プロ選手は医療やトレーニング環境が整っているため対処が可能ですが、子どもたちはそうはいきません。熱中症リスクの高い夏場には、スポーツそのものを避ける親も出てきており、将来のスポーツ人口の減少につながる可能性に危機感を持っています。また、観戦者も「暑いから現地に行かず家で見る」となり、スポーツが持つ現場の魅力が失われかねません。そうした状況を変えるために、2024年11月に静岡県磐田市で環境とダンスを融合した教育型音楽フェスを企画中です。子どもたちに環境問題を「自分ごと」として捉えてもらい、行動につなげることが目的です。スポーツと環境を結びつけたこの取り組みを通して、未来を担う世代の意識変革を促し、持続可能な社会を共に築いていきたいと考えています。

高梨沙羅氏(HEROs PLEDGE パートナーアスリート)

スキージャンプ競技にとって「雪」は不可欠ですが、気候変動による雪不足が年々深刻化しています。試合を実施するためには人工降雪機を用いて対応していますが、それにもエネルギーが必要で、気温が高すぎると降雪機も使えず、試合が中止になることもあります。自然の中で競技をさせてもらっている立場として、環境に負荷をかけながら成り立っている現状に強いジレンマを感じており、自らが搾取する側に回ってはいけないと感じています。将来の子どもたちがこの競技に触れる機会を守るためにも、できることから少しずつ始めていますが、何をすべきか手探りで進めている状態です。天然雪が減ることで練習環境も限られ、プレシーズンのジャンプ練習すら満足にできない現状に、競技者としての不安とともに、環境問題の切実さを日々実感しています。

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パネルディスカッションの様⼦(写真左より、SDGs in Sports 井本直歩子代表、東京大学未来ビジョン研究センター 江守正多教授、Jリーグ 中村憲剛特任理事、HEROs PLEDGE パートナーアスリート 五郎丸歩氏、HEROs PLEDGE パートナーアスリート 高梨沙羅氏)

HEROs Sportsmanship for the future

“HEROs Sportsmanship for the future”は、社会課題解決の輪を広げるためのプラットフォームです。アスリート達の社会貢献活動を推進することで、スポーツでつながる多くの人の関心や行動を生み出す。共感と行動の輪を広げ、社会課題解決に取り組む人を増やし、社会貢献活動を行うことが世の中の当たり前になっていくことを目指すプロジェクトです。

Jリーグ

「日本サッカーの水準向上」、「豊かなスポーツ文化の振興」、「国際社会における交流や親善への貢献」という3つの理念を掲げ、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は1993年5月15日に開幕しました。国際サッカー連盟(FIFA)をトップに、アジアサッカー連盟(AFC)をはじめとした各大陸の連盟、各国協会という構図で形成されている中、Jリーグは公益財団法人日本サッカー協会(JFA)の傘下団体として設立。日本国内で最もレベルの高いサッカーリーグとして、ピラミッド型のリーグ構造の頂点に位置します。
Jリーグの法人組織である日本プロサッカーリーグは、Jリーグに参加するJクラブの法人組織を社員とした公益社団法人です。1993年は10クラブ(8府県)でスタートし、全国にクラブが広がり、2025年は60クラブ(41都道府県)となっています。

画像:Jリーグロゴマーク

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