インドネシア障害大学生の支援モデルを検討日本とインドネシア大学の支援状況を比較分析

日本財団は、アジア人間開発センターに委託し、日本とインドネシアの高等教育における障害学生支援の現状を調査しました。本調査は、日本の制度化された支援や実践ノウハウ、大学間ネットワークの経験を踏まえ、インドネシアの課題を明らかにし、現地の状況に即した支援モデルを検討することを目的としています。

調査概要

2025年7月から10月にかけて、日本とインドネシアの障害学生支援に関する文献調査と、大学関係者や当事者団体、支援組織、企業、行政関係者への対面・オンラインインタビューを組み合わせて実施しました。

主な調査結果

本調査では、両国とも障害者の権利に関する理念を国内制度に反映している一方で、高等教育機関の現場における支援体制には大きな差が見られました。

日本の障害学生支援の状況

  • 全国的な統計により、障害学生の在籍状況と支援実施状況を継続的に把握できる
  • 障害学生55,510人の内、精神障害、発達障害、病弱の学生が7割以上を占める(2024年度)
  • 大学、短期大学、高等専門学校(全1,169校)のうち、9割以上で、担当部署を中心に組織的な支援体制が整っている(2024年度)
  • 相談受付から合理的配慮の提供までの手順が整理され、学内連携のもとで運用されている
  • 研修や情報共有など、全国的な支援組織や大学間連携により、知見を蓄積・共有する重層的なネットワークがある

インドネシアの障害学生支援の状況と課題

  • 制度上、大学に障害学生支援室の設置義務があるが、実際の設置は全国約4,000校のうち100校程度にとどまり、運用や学内体制の整備は発展途上にある
  • 行政の情報ポータルでは障害学生は71校で220名とされるなど、統計情報が十分ではない
  • 支援が提供されている大学でも、入学機会の確保や基礎的な環境整備が中心で、修学継続に不可欠な個別性の高い支援が不十分である
  • 専門人材の不足や「障害の社会モデル」に関する理解の不足、学内連携体制の弱さなどにより、制度の実効性確保が課題である
  • 卒業後の進路支援(就労支援)までを見据えた支援体制の設計が今後の論点である

インドネシアの障害学生支援モデルへの示唆

報告書では、インドネシアの制度・資源・大学現場の実情に合わせて、次の点を重視した支援モデル検討が重要であることが示されました。

  • 障害理解の向上:支援を「善意」ではなく、「障害の社会モデル」に基づく権利保障として捉え、学内の意思決定者から支援担当者、教職員・学生まで啓発と研修で理解を広げる
  • 専門人材の育成:障害学生支援室を機能させるため、コーディネーター等の専門人材を育成し、日本と現地の実践ノウハウを研修・教材として移転する
  • 実践モデル構築とリソース共有の整備:学内アセスメントなどの標準的な支援手順を整え、優れた大学を核として、ノウハウや専門性を他大学へ共有できる仕組みをつくる
  • 大学間・官民の連携とネットワークの促進:大学・政府・障害当事者団体などをつなぐ協働の場を設け、個々の大学の取り組みを点から線、面へと広げ、国全体の支援レベルの持続的な向上を後押しする。

今後に向けて

日本財団は、本報告書で得られた示唆を踏まえ、日本とインドネシアの大学関係者、当事者団体、支援団体等と連携しながら、現地の状況に即した支援モデルの構築に向けて取り組みを進めていきます。
本調査の報告書は、個人情報等に配慮した外部公開版を公開します。日本語・英語でダウンロード可能です。

お問い合わせ

日本財団 特定事業部 障害インクルージョンチーム

  • 担当:和田、中川
  • メールアドレス:100_shougai_inclusion@ps.nippon-foundation.or.jp