「世界島嶼国海洋会議」が閉幕「OCEAN STATES INITIATIVE」を発表
人材育成・拠点整備・新規事業を柱に新たな島嶼国支援を推進

日本財団(東京都港区、会長 尾形 武寿)は、外務省及びユネスコ政府間海洋学委員会(IOC/UNESCO)と共催し、2026年6月3日(水)から4日(木)の2日間、東京都千代田区のホテルニューオータニで、世界の島嶼国の首脳や閣僚が参加する国際会議「世界島嶼国海洋会議(Island States Ocean Summit)」を開催しました。そして日本財団名誉会長の笹川陽平が、最終日のクロージングセッションで、本会議の成果として、新たな行動計画、「OCEAN STATES INITIATIVE」を発表しました。本会議は、島嶼国が直面する課題や危機を共有する場にとどまらず、それらを解決するための新たな行動の枠組みを示して閉幕しました。

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クロージングセッションに登壇した、(左から)IOC/UNESCOのヴィダール・ヘルゲセン事務局長、外務省の中村亮 地球規模課題審議官、日本財団の笹川陽平 名誉会長、パラオ共和国のスランゲル・ウィップス・ジュニア大統領

「OCEAN STATES INITIATIVE」は、島嶼国自身が主体となって、自国の海を守りながらその資源を持続可能な形で活用し、持続可能な経済発展につなげることを目指した新たな行動計画です。島嶼国の未来を担う人材の育成を積極的に支援するとともに、地球温暖化に伴い深刻化する海面上昇や異常気象などの危機に的確かつ迅速に対応する上で必要な最新の科学に基づく観測や研究への支援を強化します。計画の推進にあたっては、本会議に参加した民間財団、各国政府、国際機関で新たな国際協調の枠組みを構築し、日本のリーダーシップのもと、世界の島嶼国、ひいては地球規模の温暖化対策につなげていくことを目指します。

日本財団名誉会長の笹川陽平は、本行動計画の発表にあたり、次のように述べました。

「本会議の議論を通じて、島嶼国の皆さまが求める新たな行動の方向性が示されました。日本財団はその実行に向けて、島嶼国の未来を担う人材を育て、交流の場となる拠点を整備し、イノベーションをもたらす具体的な行動につなげます。国籍、立場、世代を超えて、本会議に集った皆さまとともにこの行動計画を実行に移し、母なる海の恵みを100年先、1000年先の未来へつないでいきましょう」

これに対し、本会議の共同議長を務めたパラオ共和国のスランゲル・ウィップス・ジュニア大統領は「今回はこれまでの会議とは違います。私たちは東京を後にするにあたり、具体的な成果を手にしています。本会議で形づくられたこの国際協調の枠組みこそ、島嶼国に必要な仕組みであると確信しています」と述べました。また、同じく共同議長を務めたユネスコ政府間海洋学委員会(IOC/UNESCO)のヴィダール・ヘルゲセン事務局長も「島嶼国はゼロから出発するわけではありません。多くの国々では、すでに国家海洋政策や海洋空間計画(MSP)、持続可能なブルーエコノミー施策を通じて、『持続可能な海洋計画・管理(SOPM)』の基盤が築かれています。私たちに今求められているのは、こうした既存の取り組みを連携させ、強化し、発展させることです。そうすることで、より大きな成果を生み出し、取り組みの分散や重複を減らす、統合的な枠組みを構築することができます」と述べました。

本会議は、天皇陛下、高市早苗内閣総理大臣、ノルウェーのホーコン皇太子殿下をはじめ、太平洋・カリブ海・インド洋の島嶼国をはじめとする35カ国の首脳級・閣僚級代表、国連機関、研究機関、民間団体、海洋分野の専門家など約300人が参加し、6月3日(水)から開かれました。島嶼国、特に小島嶼開発途上国(SIDS)が直面する海洋環境の変化や、激甚化する災害、そして海洋資源の管理などの課題について議論を行い、海の「保全」と持続可能な「利用」を両立する上で喫緊に求められる具体的な行動の方向性を確認し、共同議長声明でこれをまとめ、4日(木)、閉幕しました。

「OCEAN STATES INITIATIVE」の3つの柱

本会議の集大成である「OCEAN STATES INITIATIVE」は、日本財団が1988年に「笹川太平洋島嶼国会議」を開催して以来、連綿と取り組んできた島嶼国支援を発展させるものです。「海洋国家」でもある島嶼国が自ら主体となって持続可能な経済発展を実現できるよう、日本のリーダーシップのもと、新たな国際協調を枠組みづくりを通じて、世界で支援していくことを目指した行動計画で、日本財団の今後10年間の島嶼国支援の方向性を示すものです。人材育成、科学的知見の創出、そして国際協調を一体的に推進する3つの柱で構成されています。海の保全と持続可能な利用の両立を、100年先、1000年先の未来まで見据えて実現することを目指します。

第1の柱:人材育成による島嶼国支援の強化

日本財団はこれまで、国連や世界トップレベルの大学などと連携し、海事と海洋科学、それに海洋法や政策の分野で158カ国・2,032人の専門家を育成してきました。この人材育成の取り組みをさらに発展させ、島嶼国の課題解決を担う島嶼国の人材の育成を強化します。島嶼国が今、直面している課題に現場で向き合い、解決策を見出せる専門家を育成するとともに、国の枠を超えて島嶼国を支援し、大局的かつ革新的な海洋政策を提言できるグローバル人材の育成に取り組みます。

第2の柱:育成した人材をつなげ、力を引き出す「場」の設置

日本財団は本会議のレガシーとして、各事業の道標となる拠点「OCEAN HUB」を東京に設置します。人材育成・新規事業の開発・海洋政策の立案と提言を一体的に担い行動する組織となります。未知なる海と向き合い、最新の科学的根拠=エビデンスを迅速かつ確実に得るための革新的な事業を推進すべく、世界トップレベルの研究機関が参加するコンソーシアムを積極的に形づくっていきます。

第3の柱:世界各国及び国連を巻き込む、革新的な事業の開発

日本財団とIOC/UNESCOは、島嶼国での「持続可能な海洋計画・管理(SOPM)」の策定と実行を支援する新たな事業を共同で開発します。各国からの貢献が重要な鍵を握るこの新たな事業の安定した運営基盤を築くため、日本財団のシードマネーをもとにIOC/UNESCOと協働して「基金」を設置し、各国からも拠出を呼び込み、自律的かつ持続的に事業を拡大させる計画です。

日本財団は、10年計画である本イニシアチブの中間総括として、5年後の2031年に、第2回「世界島嶼国海洋会議」の開催を目指します。

会議成果と今後

本会議で議論された内容について、IOC/UNESCOは、2026年後半に開催される生物多様性条約締約国会議(COP17)や国連気候変動枠組条約締約国会議(COP31)など、国際的な海洋・気候関連議論に反映させていくと本会議の共同議長声明で明らかにしています。

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