「親子ズレない防災」Xを中心に実施東日本大震災の発生から15年。親子で同じ防災テストを解いたら、“ズレ”が6割
当時生まれた世代が中学を卒業するこの3月、防災啓発プロジェクトでズレ回答を公開

日本財団は、東日本大震災の発生から15年となる2026年3月、日本財団公式Xアカウント(@NipponZaidan)を中心に、親子間の防災に関するズレを浮き彫りにすることで、会話を促す防災啓発プロジェクト「親子ズレない防災」を実施しています。

画像:日本財団公式Xアカウントによる「親子ズレない防災」キャンペーンバナー。画像中央に「もしもの答えは親子でズレる。親子ズレない防災」の文字。

子どもが災害時に適切な行動を取れるかわからない

今年、2011年3月当時までに生まれた子どもたちが中学を卒業します。震災の記憶を持たない世代が育つ中、家庭における防災意識の継承は新たな局面を迎えています。
共働き世帯の増加、習い事・学校行事の多様化、スマートフォンへの依存等の社会変化が重なり、親子がゆっくりと防災について話す機会は失われつつあります。明光義塾の調査(2025年)では、子どもが災害時に適切な行動を「とれないと思う」と回答した親御さんが56.3%に上っています。防災知識の問題にとどまらず、家庭内の対話そのものが失われつつあるという構造的な課題が、数字ににじんでいます。

実際のズレの割合は6割

今回、子どもだけになりがちな場面を想定した防災筆記テストを制作しました。お子さんには帰り道・留守番中それぞれの際に「地震が起きたらどうする?」、親御さんには「お子さんはどうすると思う?」などと出題しました。

協力を得た国内4小学校のうち、愛知県・瀬戸SOLAN学園初等部6年生とその保護者の親子51組に対する同じ防災テスト(4問)の実施結果を分析したところ、回答全体の約6割で親子の認識にズレが確認されました。本テストは傾向の把握を目的としていますが、子どもの豊かな発想から生まれた思いがけない回答や、大人が想定していなかった、けれど防災の観点からも理にかなった視点もありました。必ずしも正答のある問いではないものの、意識に一定の「ズレ」が生じていることが改めて浮き彫りになりました。

取り組みでは、どのようなズレがあったか、実際の答えも紹介しています。ぜひ答えを通じて対話のヒントを見つけたり、テストに挑戦してズレをチェックしてみてください。

3つのコンテンツで、対話のきっかけを

日本財団公式X(@NipponZaidan)では、以下を公開しています。

回答から見えたズレの可能性

1. 事前に会話していたことと違う行動をしようとする

親が「そうするように伝えている」と回答した内容と異なる行動が見て取れた。また防災訓練で有名な標語の「おかしもち(押さない、駆けない、喋らない、戻らない、近づかない)」を忘れて「走ってかえる」という行動を答えた子もいた。

画像:防災筆記テストの回答例。「Q子どもがお留守番中に地震が発生!揺れている時どうする?」の質問に対し、親御さんの回答は「ダイニングテーブルの下に隠れる。いつもそう話しているので。」。お子さんの回答は「大きいじしんだったら、ろうかににげます。」
画像:防災筆記テストの回答例。「Q子どもが登下校中に地震が発生!揺れが終わったらどうする?」の質問に対し、親御さんの回答は「周囲を見わたす。状況を確認する。」。お子さんの回答は「はしってかえる。」

2. 普段のしつけを守ろうとする

「修理代を少なくする」「楽器を守る」「110番の家に行く」「教室にもどり頭を守る」など、普段親から教わっているようなしつけ、行動を地震発生時にも子どもは守ろうとする。

画像:防災筆記テストの回答例。「Q子どもがお留守番中に地震が発生!揺れている時どうする?」の質問に対し、親御さんの回答は「家の中で一番安全なシャワー室に移動する」。お子さんの回答は「かぐをおさえてたおれないようにする。しゅうりだいがすこしでもすくなくなるようにするため。」
画像:防災筆記テストの回答例。「Q子どもが登下校中に地震が発生!揺れが終わったらどうする?」の質問に対し、親御さんの回答は「座ってゆれがおさまるのをまつ」。お子さんの回答は「110番のいえにはいる」
  • 不審者から逃げるための「こども110番の家」を回答。防犯のためにしつけられていたことを防災に適用しようとしていた。

3. 向かおうとする避難先が違う

帰り道の場合は「安全を確認して家に帰る」と答えた子に対し、親は「学校や母親の会社へ行き安全を報告する」との回答があった。また親が「待ち合わせ場所に向かう」、子が「助けてもらった人にありがとうをいって帰る」とする回答もみられた。

画像:防災筆記テストの回答例。「Q子どもがお留守番中に地震が発生!揺れている時どうする?」の質問に対し、親御さんの回答は「学校・ママの会社にいき、自分の安全を報告。」。お子さんの回答は「あぶないところがないかをかくにんして、きをつけてかえる」
画像:防災筆記テストの回答例。「Q子どもが登下校中に地震が発生!揺れが終わったらどうする?」の質問に対し、親御さんの回答は「待ち合わせ場所に向かう」。お子さんの回答は「たすけてもらった人にありがとうをいってかえる。」

4. 揺れがおさまった後の行動でズレが目立つ

子どもが留守番中の場合は親子ともに「机の下に隠れる」などとする回答が多かったが、揺れが一旦おさまった後の行動では、親の「スマホで現状を確認する」に対して子の「すぐに家を出る」や、親が「親に連絡する」、子が「親友に連絡する」など想定に食い違いが目立った。

画像:防災筆記テストの回答例。「Q子どもがお留守番中に地震が発生!揺れている時どうする?」の質問に対し、親御さんの回答は「火のもとを確認して安全な場所に移動する。」。お子さんの回答は「ゆれがおわったら、きんじょの人といっしょにひなんしている。おかあさんや、おとうさんも、いなかったらあぶないなとおもったから。」
画像:防災筆記テストの回答例。「Q子どもが登下校中に地震が発生!揺れが終わったらどうする?」の質問に対し、親御さんの回答は「親に電話やメッセージなどで連絡をしてきて、次の行動をどのようにしたらよいかを仰ぐはず。」。お子さんの回答は「スマホなどで親友にれんらくしたりする。」

5. 大人より具体的に回答する子も

大人の想定よりも具体的に、また状況を分岐して答えている回答もあった。教えられたことだけでなく、自ら発展して考えた上で行動しようとする回答もあった。

画像:防災筆記テストの回答例。「Q子どもがお留守番中に地震が発生!揺れている時どうする?」の質問に対し、親御さんの回答は「机の下にかくれて、頭や自分の体を守る」。お子さんの回答は「できるだけたおれてきそうな所(テレビや本だななど)、おちてきそうなところ(電気、しょっ器だな、など)、いどうしてきそうな所(いす、つくえなど)をさける。つくえの下にかくれるのも。(もしトイレにいたとしたらゆれを感じたらすぐにどあをあける。)」
画像:防災筆記テストの回答例。「Q子どもが登下校中に地震が発生!揺れが終わったらどうする?」の質問に対し、親御さんの回答は「揺れがおさまるまで、その場にとどまる」。お子さんの回答は「ランドセルをあたまにかぶせ木や水がなくあんぜんなところにひなんする。あんぜんなばしょがわからなかったらぼうはんブザーでたすけをよぶ。バスにのっていたらうんてんしゅさんにどうすればいいか聞く。」

親子ズレない防災 イベントを実施

3月6日に「親子ズレない防災」を紹介するイベントを二子玉川ライズ(世田谷区)で実施いたしました。イベントでは第一子が産まれパパとなったばかりの令和ロマン・松井ケムリさん、今回のプロジェクトの監修者で、防災に関する啓発活動を実施しているNPO法人プラス・アーツの服酉信吾さんが登場。実際のズレ回答を見ながら対話の重要性を共有しました。3月7~8日にイオンレイクタウンmori(埼玉県越谷市)でも巡回実施し、これまでに見つかったズレを展示したり、親子で実際にテストに挑戦できるスペースなども設けました。

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「親子ズレない防災」ステージの様子
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「親子ズレない防災」で展示されたパネル。

防災テスト実施概要

対象校 岡谷市立岡谷田中小学校(長野県)、昭和女子大学附属昭和小学校(東京都)、板橋区立高島第二小学校(東京都)、瀬戸SOLAN学園初等部(愛知県)の4校における、小学生とその保護者計651人(計316組)
テスト手法 小学生とその保護者が同一の設問に対し、別々に回答。保護者は「自分自身の子どもはどう行動するか」を予測して回答。設問は「帰り道」「お留守番中」「放課後」の3場面において、発生時の行動とその理由を問う。
分析対象 瀬戸SOLAN学園初等部(愛知県)の親子51組を対象に分析。あわせて一部親子へのヒアリング実施
企画・制作 Artistspoken、監修:NPO法人プラス・アーツ

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