社会のために何ができる?が見つかるメディア
世界で電気が使えない人は7億(おく)人近く。再生可能(さいせいかのう)エネルギーが解決のカギ?
小学生のためのSDGs入門記事。第14回は、目標(もくひょう)7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」について考えてみましょう。
ご飯(はん)を食べると、体を動かす元気や力が出てくるように、エネルギーは私(わたし)たちの生活を動かしていく上で、とても大切なものです。
例(たと)えば電気はそういったエネルギーの1つで、夜に明かりをつけたり、エアコンを動かして暑さ寒さをしのいだり、病院で医療機器(いりょうきき)を動かしたりと、私(わたし)たちの生活を支(ささ)えるのに欠(か)かせない存在(そんざい)です。
しかし世界には電気やガスのようなエネルギーを十分に使えない地域(ちいき)があり、そのせいで不便(ふべん)で健康(けんこう)に悪い生活を送っている人がたくさんいます。
安くて、安全なエネルギーをどこでも使えるようにすることは、全ての人が豊(ゆた)かで健康(けんこう)な生活を送るために、とても大切なことなのです。
また、エネルギーの使い方によっては地球環境(ちきゅうかんきょう)や人体(じんたい)に悪いえいきょうをあたえることがあるので、人と地球に優(やさ)しいクリーンなエネルギーを広めていくことも大切です。
世界と日本にどんなエネルギーの問題があるか、目を向けてみましょう。
連載(れんさい)【小学生SDGsジャーナル】記事一覧(きじいちらん)
世界にあるエネルギーの問題
●電気を利用(りよう)できない人は6億(おく)7,500万人
世界には、2023年の時点で、6億(おく)7,500万人もの人たちがいまだに電気のない生活をしています。そのうち5人に4人はアフリカで暮(く)らす貧(まず)しい人たちです。電気が使えない場所に、かたよりがあるのです。
●燃料(ねんりょう)がもとで命を落とす人も
電気がない地域(ちいき)では、調理や暖房(だんぼう)のために石炭や炭、まきや動物のふんなどが燃料(ねんりょう)として使われています。
こういった燃料(ねんりょう)を使うと、すすなどで家の中の空気がよごれます。この室内の空気汚染(くうきおせん)がもとで、年間(ねんかん)400万人が亡(な)くなっています。
特(とく)にえいきょうを受けやすいのは、ご飯(はん)を作る女性(じょせい)や、家の中にいる子どもたちです。
●生活レベルの差(さ)が広がる
電気がなければ、冷蔵庫(れいぞうこ)も使えないので食べる物や薬を保管(ほかん)することができません。夜(よる)は照明(しょうめい)が使えないので、暗くなってから仕事や勉強をすることも難(むずか)しくなります。
このように電気が使える地域(ちいき)と使えない地域(ちいき)で、健康(けんこう)や学力、収入(しゅうにゅう)などに、生活レベルの差(さ)が生まれてしまうのです。
●化石燃料(かせきねんりょう)だのみに
化石燃料(かせきねんりょう)とは、大昔の微生物(びせいぶつ)や植物の死骸(しがい)が地中にうもれて、長い年月をかけて変化(へんか)してできた石油や石炭、天然(てんねん)ガスのことです。
化石燃料(かせきねんりょう)は、燃(も)やすと大量(たいりょう)のエネルギーを出すので、発電所で電気をつくったり、車や飛行機(ひこうき)、船を動かしたりするのに広く使われています。
化石燃料(かせきねんりょう)は、私(わたし)たちの暮(く)らしにとって、とても重要(じゅうよう)なエネルギー源(げん)ですが、昔の生き物からできているため、その量(りょう)には限(かぎ)りがあり、近い将来(しょうらい)なくなってしまうことが予想(よそう)されています。
また、燃(も)やすと二酸化炭素(にさんかたんそ)や窒素酸化物(ちっそさんかぶつ)といった地球を温めるガスが出て、地球温暖化(ちきゅうおんだんか)を進行させるという問題にもなっているのです。
関連(かんれん)記事:100年以内(いない)に地球の資源(しげん)のほとんどがなくなる?(別タブで開く)
日本にあるエネルギーの問題
日本は安心・安全なエネルギーが手に入る国ですが、またちがう問題をかかえています。
●エネルギーの大部分を海外にたよる
国民1人当たり、どのくらいエネルギーを消費(しょうひ)しているか、を世界ランキングで見てみると、中国、アメリカ、インド、ロシアに次いで、日本は5番目と高い位置(いち)にいます。
しかし、国内の資源(しげん)を使ってエネルギーを生み出している割合(わりあい)はわずか13.3パーセントにとどまっています。
つまり、日本が使っているエネルギーの大部分は、海外から輸入(ゆにゅう)する資源(しげん)にたよっているのです。
●再生可能(さいせいかのう)エネルギーのふきゅうがおくれている
石油や天然(てんねん)ガスといった限(かぎ)りある資源(しげん)である化石燃料(かせきねんりょう)に対して、太陽光や風力、水力など自然界(しぜんかい)にあるエネルギーのことを、再生可能(さいせいかのう)エネルギーといいます。
一度使っても再生が可能(かのう)でくり返し利用(りよう)できる、二酸化炭素(にさんかたんそ)を増(ふ)やさない、などの特徴(とくちょう)あります。
このような再生可能(さいせいかのう)エネルギーの日本でのふきゅう率(りつ)は、24パーセント。海外の国に比(くら)べて低(ひく)くなっています。
化石燃料(かせきねんりょう)に代わるエネルギー源(げん)として、再生可能(さいせいかのう)エネルギーをもっと広めていくことが求(もと)められています。
日本財団(にっぽんざいだん)の取り組み
ゼロエミッション船プロジェクト(別タブで開く)
ゼロエミッションとは、「産業で生まれる廃棄物(はいきぶつ)=エミッション」をゼロにする、という考え方です。
廃棄物(はいきぶつ)が増えると、処理(しょり)するときに二酸化炭素(にさんかたんそ)がたくさん出るので、それを防(ふせ)ぐことが目的(もくてき)です。
このプロジェクトでは、2050年に船の分野で二酸化炭素(にさんかたんそ)が出る量(りょう)をゼロにするため、世界に先がけて水素(すいそ)を燃料(ねんりょう)にしたゼロエミッション船を開発し、実証実験(じっしょうじっけん)を行っています。
このエネルギーの問題について私(わたし)たち一人一人ができることはなんでしょう?
その答えは、ぜひ自分で調べて、考えて、自分にできることから取り組んでみてください。
本や図書館、インターネットで調べてみよう!
- 電気は、どこでどのようにつくられているのか、調べてみよう
- 再生可能(さいせいかのう)エネルギーにはどんな種類(しゅるい)があるのか、それぞれの特徴(とくちょう)や課題(かだい)についても調べてみよう
- 日本がエネルギー資源(しげん)を海外にたよっていると、どんなときに困(こま)るのか考えてみよう
「エネルギーの問題」について学べるおすすめの本
『未来をつくる仕事がここにある 再生可能(さいせいかのう)エネルギー図鑑(ずかん)』(外部リンク)
街中(まちなか)のお店や工場、農園など、ふだん何気なく目にするところで活躍(かつやく)している太陽光発電などの再生可能(さいせいかのう)エネルギーにスポットを当てた1冊(さつ)です。
さまざまな場所で社会の役に立つ再生可能(さいせいかのう)エネルギーついて、小中学生にも分かりやすく絵本で表されています。
『だれも教えてくれなかった エネルギー問題と気候変動(きこうへんどう)の本当の話』(外部リンク)
エネルギーの歴史(れきし)や問題点について、人気のマンガ家がエネルギー問題の専門家(せんもんか)から学ぶマンガ形式のストーリーで、フランスでベストセラーを記録(きろく)しました。
地球を人に、エネルギーをアイアンマンにたとえるなど、分かりやすくユーモアにあふれたマンガ表現で、エネルギー問題と気候変動(きこうへんどう)について学びを深めることができます。
まわりの人に話を聞いてみよう!
- お父さんやお母さん、おじいさんやおばあさんに、子どものころのエネルギー事情(じじょう)について聞いてみよう。電気やガスはどうやってつくられていたのか、いつから家庭で使えるようになったのかなど、現在(げんざい)と比(くら)べてどんなちがいがあったか教えてもらおう
- 学校の先生に、再生可能(さいせいかのう)エネルギーのふきゅうを進めるために、どんなことが大切だと思うか聞いてみよう
自分にできることからやってみよう!
- 電気、ガス、水道の使い方を工夫(くふう)してみよう。こまめに電気を消したり、シャワーの時間を短くしたりして、エネルギーの節約(せつやく)につなげていこう
- 太陽光パネルや風力発電など、再生可能(さいせいかのう)エネルギーについて調べたことを、家族や友だちに伝(つた)えてみよう
自分で解決方法(かいけつほうほう)を見つけるのにおすすめ!
次世代エネルギーパーク(外部リンク/PDF)
「次世代エネルギーパーク」とは、再生可能(さいせいかのう)エネルギーなど、これからの時代に合ったエネルギーに関(かん)する取り組みを、一般(いっぱん)の人々に見学・体験(たいけん)してもらうための施設(しせつ)です。
経済産業省(けいざいさんぎょうしょう)資源(しげん)エネルギー庁(ちょう)によるプロジェクトの1つで、将来(しょうらい)のエネルギーのあり方についての理解(りかい)を深めることを目的(もくてき)として全国各地(ぜんこくかくち)につくられています。
オンラインで見られるガイドブックには施設(しせつ)の特徴(とくちょう)や見学(けんがく)コースなどについて、分かりやすくまとめられています。
再(さい)エネキッズシティ(外部リンク)
“再(さい)エネ”=再生可能(さいせいかのう)エネルギーを子どもたちに身近に感じてもらうため、経済産業省(けいざいさんぎょうしょう)資源(しげん)エネルギー庁が運営(うんえい)するウェブサイトです。
楽しみながら、将来(しょうらい)のエネルギーや環境(かんきょう)のために何ができるかを考えてもらうことを目的(もくてき)としています。
再(さい)エネについて理解(りかい)の助けとなる基礎知識(きそちしき)やデータ、グラフがたくさん見られるほか、動画で学べる「映画館(えいがかん):再(さい)エネシアター」やクイズやゲームが楽しめる「遊園地:再(さい)エネクイズ」などのコンテンツもあります。
エネルギー環境(かんきょう)デジタルライブラリー(外部リンク)
九州電力グループが運営(うんえい)する、エネルギーや環境(かんきょう)についてくわしく学べるインターネット上の図書館です。
小中学生向けのコンテンツは、学習指導要領(がくしゅうしどうようりょう)をもとに制作(せいさく)されているほか、エネルギーや環境(かんきょう)に関(かん)するゲームやテストといった体験型(たいけんがた)コンテンツ、動画など、小学生から社会人まではば広い年齢(ねんれい)の人たちが楽しみながら学習できるようになっています。
イラスト:KIKO
[参考文献]
United Nations SDGs Report 2023「7.Affordable and clean energy」(外部リンク)
国連広報センター「手ごろな価格のクリーン・エネルギーの普及はなぜ大切か」(PDF/外部リンク)
世界エネルギー・気候統計ー年鑑2023「国内の電力消費量」(外部リンク)
経済産業省 資源エネルギー庁「エネルギー自給率の推移」(外部リンク)
特定非営利活動法人環境エネルギー政策研究所「国内の2022年度の自然エネルギー電力の割合と導入状況(速報)」(外部リンク)
関西電力「よくあるご質問|再生可能エネルギーについて」(外部リンク)
連載(れんさい)【小学生SDGsジャーナル】記事一覧(きじいちらん)
- ※ 掲載情報は記事作成当時のものとなります。