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世界では1分間で東京ドーム2つ分の森林が失(うしな)われている?

イラスト:住み家とする森林が破壊され悲しむ動物たち
多くの森林が失(うしな)われると共(とも)に、多くの生き物たちの住み家(すみか)も失(うしな)われている

小学生のためのSDGs入門記事。第10回は、目標(もくひょう)15「陸(りく)の豊かさを守ろう」について考えてみましょう。

地球上の「陸(りく)」は、私(わたし)たちの健康で豊かな生活を足もとから支えてくれる存在(そんざい)です。

例(たと)えば、家や学校をつくれるのも陸地(りくち)があるからですし、陸地(りくち)を畑にすることで農作物もつくることができます。

中でも陸(りく)の中にある「森林」には空気をつくったり、水をたくわえたりと、人間や動物が生きていくために欠(か)かせない役割(やくわり)があります。地球上にある陸地(りくち)のうち、およそ31パーセントをしめているのが森林です。

しかし、世界の森林はものすごいスピードで失(うしな)われており、毎年330万ヘクタールの森林が減少(げんしょう)。これは1分間で東京ドーム2つ分の森林が消えている計算になります。

この問題解決に取り組まなければ、地球上にいる人間や動植物は、住むところや食べ物・飲み物がなくなり、絶滅(ぜつめつ)してしまうかもしれません。そうならないようにするのが、目標(もくひょう)15が目指していることなのです。

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森林が持っている大切な役割(やくわり)

まずは、人や動物が地球上で生活する上で、森林がどれだけたくさんの大切な役割(やくわり)を持っているのか見ていきましょう。

  1. 木々や植物が、空気の中にある二酸化炭素(にさんかたんそ)を吸(す)いこんで、代わりに酸素(さんそ)を出すため、空気がきれいになります。また、地球を温める二酸化炭素(にさんかたんそ)を吸(す)いこむことで地球温暖化(ちきゅうおんだんか)を防(ふせ)ぐ役割(やくわり)も果(は)たします。
  2. 自然(しぜん)の中でいろいろな生き物がいっしょに暮(く)らし、えいきょうをあたえ合うことを「生態系(せいたいけい)」といいます。森林があることでこの生態系(せいたいけい)を保(たも)つことができ、たくさんの生き物たちの命が守られます。
  3. 林は、雨が降(ふ)ると根の部分に雨水を貯(た)めます。これが地下水となって、川や湖の水源(すいげん)になり、人間や動物の飲み水や生活用水になります。
  4. 森林が貯(た)めた地下水が、蒸気(じょうき)になって空気中に出てくることで、地球の気温が上がり過(す)ぎるのを防(ふせ)ぎ、猛暑(もうしょ)や豪雨(ごうう)といった異常気象(いじょうきしょう)を起こりにくくしてくれます。
  5. 森林にある樹木(じゅもく)が地面にしっかり根を張(は)って、水分を貯(た)める役目をしてくれるため、大雨や台風のときに洪水(こうずい)や土砂崩(どしゃくず)れが起こりにくくなります。
  6. 木を切りたおしてできる「木材(もくざい)」は、建物(たてもの)や家具の材料(ざいりょう)として役立ちます。また、まきや枝(えだ)は燃(も)やして燃料(ねんりょう)にすることもできます。
イラスト:
・二酸化炭素(にさんかたんそ)を吸収(きゅうしゅう)する
・酸素を作り出し空気をきれいにする
・地球温暖化(ちきゅうおんだんか)をふせぐ
・生き物たちの大切なすみかとなる
・雨水をきれいにして土にたくわえる
・土砂(どしゃ)くずれや水害(すいがい)ふせぐ
・木材(もくざい)やきのこなど生み出す
人や動物たちが暮(く)らす上で森林は大切な役割(やくわり)を果(は)たしている

世界中で起きている森林破壊(しんりんはかい)

森林はとても大切な陸(りく)の資源(しげん)なのに、なぜこんなにも速く減少(げんしょう)しているのでしょうか? 森林破壊(しんりんはかい)が起きる背景(はいけい)や、それによって起こる問題について見ていきましょう。

●森林伐採(しんりんばっさい)

森林伐採(しんりんばっさい)とは、森の中にある木々を切りたおしてしまうことです。1本の木が育って木材(もくざい)として使えるようになるまでには、40~50年くらいの時間がかかります。

つまり、森林破壊(しんりんはかい)が起きているのは、育つ木の数よりも、伐採(ばっさい)する木の数の方が多くなっていることを表しています。伐採(ばっさい)の原因(げんいん)には次のようなものがあります。

  • 人口が増(ふ)えて、人間の食べ物や住む場所が足りなくなってしまうため、森林を農地や家をつくる場所に変(か)「えるために伐採(ばっさい)が行われます
  • 国や地域(ちいき)など森を管理(かんり)している人の許可を取らずに、勝手に木を切りたおして木材(もくざい)として売ってしまう人がいます
人口の増加(ぞうか)と共(とも)に森林破壊(しんりんはかい)が進むアフリカ

●土地の劣化(れっか)・砂漠化(さばくか)

森林が減少(げんしょう)すると、土の中の水分が足りなくなって、カラカラにかたくなってしまう土地の劣化(れっか)や砂漠化(さばくか)を引き起こしやすくなります。

土がかわいてしまうと、農作物が育ちづらくなって取れる量(りょう)が少なくなってしまいます。また、かたくなった土には雨水が染(し)みこみづらく洪水(こうずい)を引き起こしやすくなる、という問題もあります。

●気候変動(きこうへんどう)へのえいきょう

森林は、地球を温める二酸化炭素(にさんかたんそ)を吸(す)いこむことで地球の温度を調整する役割(やくわり)をしています。

森林が減少(げんしょう)すると、地球の気温が上がり、気候(きこう)が安定しなくなります。そのせいで、熱波(ねっぱ)や寒波(かんぱ)といった極端(きょくたん)な気温の変化(へんか)や、豪雨(ごうう)や干(かん)ばつ、台風などの異常気象(いじょうきしょう)が起こりやすくなります。

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世界中で深刻(しんこく)な自然災害(しぜんさいがい)が頻発(ひんぱつ)。史上(しじょう)最(もっと)も暑い2023年の異常気象(いじょうきしょう)は、地球温暖化(ちきゅうおんだんか)が原因(げんいん)?(別タブで開く)

●生き物の絶滅(ぜつめつ)の危機(きき)

地球上の生き物にとって、森林は無(な)くてはならない住み家(すみか)です。陸(りく)の上の全(すべ)ての動植物と虫の80パーセント以上(いじょう)が森林に生息。しかし森林の減少(げんしょう)や、地球温暖化(ちきゅうおんだんか)による変化などが原因で、生き物たちが住める場所も減(へ)っています。

確認されているおよそ8,300種類(しゅるい)の野生動物のうち、8パーセント(600種類以上)がすでに絶滅(ぜつめつ)し、さらに22パーセント(およそ1,800種類)が絶滅(ぜつめつ)の危機(きき)にあります。その中には、ゴリラやオランウータンなど私(わたし)たちのよく知っている動物もふくまれています。

森林破壊(しんりんはかい)や密猟(みつりょう)などにより絶滅(ぜつめつ)の危機(きき)にあるゴリラ
過去100年の間に80パーセント減少(げんしょう)したといわれるオラウータン

生物多様性(せいぶつたようせい)へのえいきょう

いろいろな種類(しゅるい)の生き物が、関(かか)わり合い、分かち合って生きていくことを「生物多様性(せいぶつたようせい)」といいます。植物や動物にはそれぞれ役割(やくわり)があり、おたがいにえいきょうし合うことで自然(しぜん)界のバランスを保っているのです。

例(たと)えば、ハチが花からみつを吸(す)うため飛(と)びまわることで、ハチについた花粉(かふん)があちこちに移動(いどう)し、果物(くだもの)に実がなるのを助けています。

1つの種(しゅ)が絶滅(ぜつめつ)するだけでも生態系(せいたいけい)のバランスはくずれ、日本ではオオカミが絶滅(ぜつめつ)したことで、増(ふ)え過(す)ぎたシカが森の植物を食べ過(す)ぎてしまう問題が今も続(つづ)いています。

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日本の森林がかかえる問題

日本は、森林が国土(こくど)のおよそ66パーセントしめていますが、世界の状況(じょうきょう)とは、またちがった問題をかかえています。

●天然林(てんねんりん)の減少(げんしょう)

日本の森林の面積(めんせき)は40年の間ほぼ変(か)わっておらず、数字の上では森林の減少(げんしょう)は見られません。しかし50年前と今の日本の森林を比(くら)べると、人間によって植えられた「人工林」がおよそ30パーセント増(ふ)えています。

その一方で、自然(しぜん)のままの森である「天然林(てんねんりん)・その他」は15パーセント減(へ)っています。

●使われない、国内の森林資源(しんりんしげん)

人工林は木材(もくざい)として使うために植えられたものですが、木々が成長(せいちょう)しているのに使われていないことが問題になっています。

その大きな理由は、安くてたくさん手に入る外国から輸入(ゆにゅう)された木材(もくざい)を使っているからです。日本で1年間に利用(りよう)される木材(もくざい)のうち、70パーセント以上(いじょう)が外国の木材(もくざい)。日本は自分の国にある森林をそのままにして、外国の森林を伐採(ばっさい)しているともいえます。

縦棒グラフ:単位 万ヘクタール
1966年/天然林・その他1,724、人工林793、合計2,517 
1976年/天然林・その他1,589、人工林938、合計2,527 
1986年/天然林・その他1,504、人工林1,022、合計2,526 
1995年/天然林・その他1,475、人工林1,040、合計2,515 
2007年/天然林・その他1,475、人工林1,035、合計2,510 
2017年/天然林・その他1,484、人工林1,020 、合計2,504 
2022年/天然林・その他1,493、人工林人工林1,009、合計2,502
日本の森林面積(しんりんめんせき)の推移(すいい)。出典(しゅってん):森林・林業学習館

●弱(よわ)っていく林業

人工林は、木が育ち過(す)ぎる前のちょうどいい時期に伐採(ばっさい)して木材(もくざい)にし、また木を植えて森林を保(たも)つ、という管理(かんり)が必要(ひつよう)です。

それを行う仕事を「林業」といいますが、林業で働(はたら)く人は高齢化(こうれいか)しており、このままだと林業の技術(ぎじゅつ)や知識(ちしき)が受けつがれずに失(うしな)われてしまうことが心配されています。

日本財団(にっぽんざいだん)の取り組み

小規模農家(しょうきぼのうか)と共(とも)に歩むアフリカ農業支援(のうぎょうしえん)(別タブで開く)

アフリカは、2050年に人口が現在(げんざい)の2倍である24億(おく)人にまで増え、穀物(こくもつ)がいまの3倍必要(ひつよう)になるといわれています。

しかし土地の劣化(れっか)や気候変動(きこうへんどう)のえいきょうを受けて、ここ数年は農作物が取れる量(りょう)が減(へ)っています。

日本財団(にっぽんざいだん)は、アフリカ農業の中心である小さな農家を支えていくため、環境(かんきょう)に負担(ふたん)をかけない農作物の育て方や、やせてしまった畑の土を元気にする方法などを農家に教え、持続可能(じぞくかのう)な生産(せいさん)ができる農業を広めていこうと取り組んでいます。

写真
農薬や化学肥料(かがくひりょう)を使わずに農地を改良(かいりょう)しながら行う「環境再生型農業(かんきょうさいせいがたのうぎょう)」を実演(じつえん)する様子(エチオピア)

この陸(りく)や森林がかかえる問題について私(わたし)たち一人一人ができることは何でしょう? その答えは、ぜひ自分で調べて、考えて、自分にできることから取り組んでみてください。

本や図書館、インターネットで調べてみよう!

  • 森や川や湖など、日本の陸地(りくち)にどんな生き物が暮(く)らしているのか調べてみよう
  • 世界でどんな生き物が絶滅(ぜつめつ)しそうになっているのか、その理由を調べてみよう
  • 雑貨屋(ざっかや)さん、家具屋さん、ホームセンターなどいろいろなお店に行って、日本の木材(もくざい)が使われているものを探(さが)してみよう

「陸(りく)の豊かさの問題」について学べるおすすめの本

出版(しゅっぱん):上智大学出版(じょうちだいがくしゅっぱん) 著者(ちょしゃ):柴田晋吾(しばた・しんご)

『世界の森からSDGsへ―森と共生(きょうせい)し、森とつながる』(外部リンク)

「森と共生(きょうせい)し、森とつながる時代」をつくるには、どんな考えが大切で、どのような取り組みが必要(ひつよう)なのでしょうか。

SDGsの実現に向けた森と人々の共生(きょうせい)や、森林環境(しんりんかんきょう)に対する考え方について、世界各地(かくち)の事例(じれい)や現地取材(げんちしゅざい)に基(もと)づく情報を、豊富な写真と共(とも)にしょうかいします。

出版(しゅっぱん):汐文社(ちょうぶんしゃ) 監修(かんしゅう):今泉忠明(いまいずみ・ただあき)
 

『グラフや表から環境問題(かんきょうもんだい)を考える 日本の固有種(こゆうしゅ) ①森・林・草原にすむ生き物』(外部リンク)

固有種(こゆうしゅ)とは、特定(とくてい)の国や地域(ちいき)に住んでいる生き物のことです。生息地が限(かぎ)られているため、森林伐採(しんりんばっさい)など環境変化(かんきょうへんか)のえいきょうを受けやすく、さまざまな問題に直面しています。

この本では日本の森・林・草原に住む固有種(こにゅうしゅ)の生態(せいたい)と環境問題(かんきょうもんだい)について、グラフや表を使いながら解説(かいせつ)します。

まわりの人に話を聞いてみよう!

  • お父さんやお母さん、近所のおじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんに子どものころと今とを比(くら)べると、森や林の様子、またはそこに住む動植物や虫の様子に変化(へんか)はないか、話を聞いてみよう
  • 世界の森が減(へ)っていたり、たくさんの動物が絶滅(ぜつめつ)しそうだったりする問題について、日本からどんなことができると思うか、意見を聞いてみよう
  • いろんな人の意見を聞いたら、自分に何ができるか考えてみよう

自分にできることからやってみよう!

  • 調べたこと、聞いたこと、考えたことをノートにまとめて家族、友だちに発表してみよう
  • 世界の森林を守る活動をしている団体(だんたい)とつながる、動植物の絶滅(ぜつめつ)を防(ふせ)ごうとしている団体(だんたい)に寄付(きふ)をする、などできることはたくさんあるはず

自分で解決方法(かいけつほうほう)を見つけるのにおすすめ!

FSC(森林管理協議会/しんりんかんりきょうぎかい)(外部リンク)

「FSC認証制度(にんしょうせいど)」とは、きちんと管理(かんり)された森から作られた木材(もくざい)や紙など、環境(かんきょう)に優(やさ)しい製品(せいひん)であることを審査(しんさ)する制度(せいど)です。

審査(しんさ)を通った製品(せいひん)にはFSCマークを付(つ)けることができます。この制度を広めるためのワークショップのほか、中高生を対象(たいしょう)としたFSCマークを普及(ふきゅう)するアイデアコンテスト「FSCアワード」も実施(じっし)しています。

森林・林業学習館(外部リンク)

森林と林業にまつわるさまざまな情報(じょうほう)を、図や写真、グラフを通じて学べる学習サイトです。森林が持つ役割(やくわり)や、日本の森林の特徴(とくちょう)、林業という仕事の内容を分かりやすく伝(つた)えているほか、スギやブナなど日本で見られる樹木(じゅもく)や、木材(もくざい)と住まいとの関係(かんけい)など、森や木に関(かん)する広い知識(ちしき)が身につきます。

サントリー次世代環境教育(じせだいかんきょうきょういく)「水育」(外部リンク)

飲み物メーカーである「サントリー」が取り組んでいる、美しい水を未来(みらい)へとつなぐ環境活動(かんきょうかつどう)が「水育(みずいく)」です。小学校3~6年生とその保護者(ほごしゃ)を対象(たいしょう)に行う自然体験(しぜんたいけん)プログラム「森と水の学校」や、小学校4・5年生に向けて、水や、水を育む森の大切さに気づき、未来に水を引きつぐために何ができるのかを考える「出張授業(しゅっちょうじゅぎょう)」を行っています。

[参考文献]

環境省「森林と生きる -世界の森林を守るため、いま、私たちにできること-」(外部リンク/PDF)

林野庁「森づくりの理念と森林施業」(外部リンク/PDF)

国連広報センター「陸の豊かさを守ることはなぜ大切か」(PDF/外部リンク)

WWFジャパン「生物多様性とは?その重要性と保全について」(外部リンク)

森林・林業学習館「日本の森林面積と森林蓄積の推移」(外部リンク)

森林・林業学習館「林業従事者数と高齢化率の推移」(外部リンク)

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