未来のために何ができる?が見つかるメディア
過去最高を更新した2025年夏の記録的高温は、地球温暖化が原因? 2026年の夏はどうなる?
- 日本では観測史上、平均気温が過去最高となった2025年夏。世界各地でも記録的な高温をもたらし、大規模な熱波や水害が発生
- 人々の命や建物に大きな被害をもたらしただけでなく、食料価格の高騰を引き起こした
- 一人一人が暮らし方を見つめ直し行動に移すことが、地球温暖化の抑制につながる
執筆:日本財団ジャーナル編集部
※この記事は2024年2月8日に公開した記事を再編集しています
2025年の夏(6〜8月)の平均気温は、統計を開始した1898年以降の夏として、最も高い記録を更新(※1)。日本各地で記録的な大雨が相次ぎ、浸水や土砂災害など大きな被害をもたらしました。
また世界各地でも異常気象が頻発。その背景には、地球温暖化が影響しているといわれています。
地球温暖化は甚大な被害を及ぼす異常気象を引き起こすだけでなく、その影響で不作となった食糧が高騰するなど、すでに私たちの生活のさまざまな部分に影響を及ぼしています。
このままさらに地球温暖化が進むと、生態系への影響や感染症の増加、環境の変化によって居住地を追われる「気候難民」が激増するとの予測もあります。
この記事では、2025年夏以降に世界で起きた気象災害を振り返ると共に、その原因とされる地球温暖化を抑えるために今日からできることについて触れたいと思います。
2025年夏以降に世界各地で起きた異常気象と大規模自然災害
「異常気象」とは、気象庁では「ある場所(地域)・ある時期(週、月、季節)において30年に1回以下で発生する現象」と定義しています。ここには大雨や暴風などの激しい数時間の気象から、長期間にわたる干ばつ、極端な冷夏・暖冬も含まれます。
ここでは、2025年の夏以降に日本と世界で起きた異常気象の中でも、特に被害が大きかったケースをまとめました。
日本
日本では2025年6月から8月の月平均気温が1898年以降で最も高くなったのをはじめ、兵庫県丹波市柏原町では7月30日に41.2度、群馬県伊勢崎市では8月5日に41.8度と日最高気温を観測するなど、厳しい酷暑が続きました(※1)。
また、8月6日から11日にかけて日本列島は各地で大雨となり、14道府県(北海道、青森県、秋田県、富山県、石川県、京都府、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県)が被害を受け、浸水や土砂災害、河川の氾濫などに見舞われました。
8月6日~11日までの間に発生した大雨による被害は、人的被害33名、住家被害5,444件に上ります(※2)。

パキスタン、インド、ネパール
パキスタンやインド、ネパールは2025年6月から10月にかけて強烈なモンスーン豪雨に見舞われました(※3)。
6月から8月にはパキスタンのカイバル・パクトゥンワ州やバロチスタン州、パンジャブ州などで激しい雨が続き、インダス川の水流が一気に増加。その影響で鉄砲水が相次ぎ、大規模な洪水に発展しました。
9月17日時点で死者1,002人、負傷者1,000人以上の被害となり、690万人以上が避難を余儀なくされました(※4)。
10月にはネパールの複数の地域を豪雨が襲い、大規模な土砂崩れや落雷により49人の方が亡くなりました。多くの家屋が土砂に埋もれ、道路が寸断されるなど街中の被害も大きく、ネパール国内の航空機が一時欠航となるなど、交通網にも大きな影響を及ぼしました(※5)。

アメリカ(テキサス)
アメリカでは2025年7月に集中豪雨がテキサス州を襲い、大規模な洪水が発生しました。グアダルーペ川が氾濫し引き起こした鉄砲水が、周辺地域の小屋やキャンプ場、橋、道路などを押し流し、死者は130人以上を超えたと伝えられました(※3)。
ジャマイカ
2025年10月28日にカテゴリー5(※)の勢力を保ったままジャマイカ西部に上陸したハリケーン「メリッサ」。現地時間で28日15時に中心気圧892ヘクトパスカル、最大風速は秒速80メートル(160ノット)と過去最強クラスにまで発達しました。
- ※ 「シンプソンスケール」と呼ばれ、ハリケーンの勢力を階級分けするもの。カテゴリー1からカテゴリー5までの5段階がある
「メリッサ」はカリブ海諸国全域に数日間にわたって豪雨や高潮、壊滅的な洪水を及ぼし、500万人以上に影響を与えました。そのうち少なくとも75人が死亡しています(※6)。

東南アジア周辺
2025年11月、東南アジアを中心に広範囲の地域で台風やサイクロンが猛威をふるいました。台風25号・26号によりベトナム、フィリピンでは合計410人以上が犠牲になっています(※3)。
ベトナムではフエ市やダナン市で台風と豪雨の影響による洪水や地滑りが起き、12万8,000棟以上の住宅が浸水、2400世帯以上が避難。フィリピンでは約46万世帯、およそ164万人が被災し、12万人以上が避難を余儀なくされました(※7)。
深刻化する地球温暖化
なぜ、これほどまでに世界各地で異常気象が広がっているのでしょうか。
背景には数年に一度発生するエルニーニョやラニーニャなどの気候変動現象に加えて、「地球温暖化」による気候変動が大きく関わっていると考えられています。
気象情報などでよく耳にする「エルニーニョ現象」とは、南米ペルー沖から太平洋赤道海域の日付変更線付近にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年ほど継続する現象。一方で、「ラニーニャ現象」とは、同海域で海面水温が平年より低い状態が半年以上続く現象を指します。いずれも地球上のさまざまな地域に猛暑や豪雨といった異常気象を引き起こすといわれています。
この2つの現象は地球の自然な気候変動サイクルですが、地球温暖化により地球自体の気温が上昇しているため、発生する頻度や強度が増す可能性があるといわれています(※8)。
そこで、改めて「地球温暖化」のメカニズムをおさらいしましょう。
地球の表面はもともと窒素や酸素、二酸化炭素やメタンなどの「温室効果ガス」を含む大気に覆われていることで、気温が一定に保たれていました。
しかし、18世紀の産業革命以降、人間が石炭や石油などの化石燃料を大量に燃やしてエネルギーを得るようになり、大気中に排出される「温室効果ガス」が急増。地球の温度がうまく調節できなくなってしまったため、地球温暖化が起こると考えられてきました。
2021年に世界の科学者でつくる国連のIPCC(※)が公表した報告書(外部リンク/PDF)では、初めて地球温暖化の原因が人間活動の影響によるものと断定。「人間の影響は、少なくとも過去2000年間に前例のない速度で、気候を温暖化させてきた」と述べています。
- ※ WMO(世界気象機関)及びUNEP(国連環境計画)によって1988年に設立された、国際的な専門家でつくる政府間組織。気候変動や地球温暖化についての科学的な研究の収集、整理などを行う
また、地球温暖化が進むほど熱波や大雨、干ばつ、熱帯低気圧といった「極端現象」の頻度や強さが世界各地で増すと指摘されており、改めて世界に向けて気候変動への対策は急務であると発信しました。
- ※ こちらの記事も参考に:2022年に世界で起きた異常気象を振り返る。原因は地球温暖化?私たちの暮らしにある?(別タブで開く)
2026年の夏も暑くなる? 懸念される影響、食糧問題
気象庁の発表(2026年5月12日)によると、今年の夏までにエルニーニョ現象が発生する確率は90パーセントと非常に高まっています(※9)。
さらに米海洋大気局(NOAA)の5月14日の発表によると、2026年後半までに「非常に強いエルニーニョ(スーパーエルニーニョ)」に発達する確率が37パーセントあるとされています。スーパーエルニーニョは、過去(1980〜83年、1997〜98年、2015〜16年)に数回しか記録されておらず、今回は約10年ぶりの発生予測となります(※10)。
実際に発生した場合、地球規模での異常高温や豪雨、干ばつなどが発生し、日本では「殺人熱波」に襲われる可能性があります。初夏に発生すれば猛暑となり、40度を超える日も珍しくなくなるといいます。
気象庁は今年から、最高気温40度以上の日を新たに「酷暑日」と名付けました。今年の酷暑日の発生地点数は、直近10年の平均と同等かやや多くなると予想され、熱中症に対する厳重な警戒が求められます(※9)。
また、スーパーエルニーニョが引き起こす天候不順は、コメ、小麦、トウモロコシといった主要な穀物を生産する世界の農業地域に深刻な打撃を与え、生育不良など食料供給にも大きな悪影響を及ぼします。
1997~1998年は中南米に大雨をもたらし、トウモロコシやコーヒー、カカオやバナナといった作物の生産に甚大な被害を与えました。また2015~2016年は深刻な干ばつがオーストラリアやアフリカ南部、東南アジアを襲い、小麦やコメなどの生産を直撃しました(※10)。
日本の食料自給率はカロリーベースで38パーセントと低く、多くを輸入に依存しています。世界規模で不作が続いた場合、日本に輸入される食料が減少する危険性が高まります。
このまま何もしなければ、大規模な自然災害や食料・水資源不足だけでなく、生態系への影響、感染症の増加など、環境の変化によって居住地を追われる「気候難民」が激増するとも予測されており、世界全体での地球温暖化に対する早急な対策が求められています。

地球温暖化対策の鍵を握る「緩和」と「適応」
地球温暖化を抑制するためには、大きく分けて、原因となる温室効果ガスの排出量を減らす「緩和」策と、すでに生じている、あるいは将来予測される被害を回避・軽減させる「適応」策の2つがあります。

緩和策
再生可能エネルギーの普及、エネルギーの効率化による温室効果ガスの削減、森林や海洋による温室効果ガスの吸収量を増やすなどの取り組みが挙げられます。
適応策
地域の気候、土地の特性や気候変動の影響に応じて適切に行うことが求められます。
具体的には、洪水や津波に備えて海岸線の防潮堤を建設する、水資源の管理をする、高温や干ばつに強い農作物の品種改良をする、ハザードマップを整備して災害時の避難計画を策定するなどの取り組みが含まれます。
残念ながら、できうる限りの「緩和」を行っても温暖化の進行を完全に食い止めることは難しく、被害を最小限に抑えるためにも、国や自治体、企業、そして一人一人が長期的に「適応」策に取り組むことが不可欠です。
国連では、地球温暖化を止めるために私たちが今日からでもできる行動として、次の10の行動(外部リンク/PDF)を示しています。
- 家庭で節電する
- 徒歩や自転車で移動する、または公共交通機関を利用する
- 肉や乳製品を減らして野菜をもっと多く食べる
- 長距離の移動手段を考える
- 廃棄食品を減らす
- リデュース、リユース、リペア、リサイクルを活用する
- 家庭のエネルギー源を再生可能エネルギーに替える
- 電気自動車に乗り換える
- 環境に配慮した製品を選ぶ
- 声を上げる
何気ない日々の暮らしをわずかに変えることが、温室効果ガスの排出量を減らし、地球温暖化の進行を抑えることにつながります。私たちの地球を次の世代に受け継ぐために、今できることから始めてみませんか。
参考資料:
※1.<2025年お天気総決算②>2025年 気象予報士が驚いた瞬間3選|tenki.jp(外部リンク)
※2.2025(令和7)年8月6日からの大雨による被害(第44報)|全国災害福祉支援センター(外部リンク)
※3.2025年(令和7年)世界の主な異常気象・気象災害(速報)|気象庁(外部リンク/PDF)
※4.【活動報告】2025年インド北部洪水被災者支援: 315世帯へシェルターキットを配付しました|ADRA(外部リンク)
※5.ネパール、土砂崩れや落雷で49人死亡 インドでも17人犠牲|JIJI.COM(外部リンク)
※6.2025年 世界の気象トピックス 極端気象が目立つ一年に|ウェザーニュース(外部リンク)
※7.台風25・26号が直撃したフィリピン・ベトナムに緊急支援を|ADRA(外部リンク)
※8.2022~2023年に観測された地球エネルギー吸収の急増の要因を解明|東京大学 先端科学研究センター(外部リンク)
※9.今夏はエルニーニョ発生確率90パーセントだが日本は猛暑予想 40℃以上の酷暑日も|tenki.jp(外部リンク)
※10.世界で今年、猛暑・豪雨か 「スーパーエルニーニョ」10年ぶり予測|日本経済新聞(外部リンク)
- ※ 掲載情報は記事作成当時のものとなります。