地域社会の自治に団地の一角からチャレンジ!大阪・吹田「ゆめのみLabo」

大阪府吹田市と豊中市にまたがる日本初の大規模ニュータウン、千里ニュータウン。1962年のまちびらき以降、日本万国博覧会の開催も相まって、近隣は一気に開発が進みました。千里ニュータウンの住区の一つである佐竹台は、まちびらきと同時にできた最も古いエリア。そこに2023年9月に開所した、子ども第三の居場所「ゆめのみLabo」があります。
住区の中心に生まれた居場所
佐竹台には現在、約9,000人が暮らしています。まちびらきの際、住区の中心と位置付けられて設置されたのが佐竹台近隣センターです。

近隣センターではスーパーや居酒屋、美容室、米穀店などが営業しており、地域の人が日常的に利用する場所です。その一角に「ゆめのみラボ」はあります。

「ゆめのみLaboのように、子どもも高齢者も自分の足で歩いて行ける場所が、小学校区に1ヶ所あるのが理想だと思います」
そう話すのは、ゆめのみLaboを運営するNPO法人COCONI代表理事の水木千代美さん。自身も千里ニュータウンに暮らしながら、当事者として地域活動に尽力しています。

コミュニティカフェから始まった居場所
ゆめのみLaboは、地域団体である佐竹台スマイルプロジェクトが運営するコミュニティカフェ「さたけん家」を活動拠点にしています。
さたけん家は、2011年、公民館や児童館、神社仏閣などの人を繋ぐ場がない佐竹台に「誰もが気軽に集える場所があったらいいよね」という地域の声から始まりました。週5日営業するコミュニティカフェや、同時間帯に開催される高齢者ふれあい交流サロン、そして毎週金曜日に子ども向けに開催される学習支援や子ども食堂など、地域の「あったらいいね」を一つひとつ形にしてきました。
しかし、多くをボランティアに支えられていた活動を継続するには難しさもあったと言います。そこで、子ども第三の居場所事業に申請。2023年9月に「ゆめのみLabo」を開所し、それまで以上に子どもの居場所づくりに取り組んできました。

地域と連携した居場所づくり
ゆめのみLaboは週3日開所、うち1回は子ども食堂と学習支援を行っています。中高生の利用も多く、居場所を卒業した後も切れ目なく成長を見守ることができるのが強みです。
また、週1日は日中に不登校の子どもの居場所づくりとして、ゆめのみLaboを開放。不登校の親同士の情報交換の場にもなっています。


こうした子どもの日常を大切にしながら、不定期で体験プログラムも実施。大きなシャボン玉で遊んだり、牛乳パックを集めてイグルー(イヌイットのかまくら型の家)を作ったりと、様々な活動をしてきました。
また、地域と連携したプログラムも充実しています。関西大学の学生と企画した防災キャンプや、大阪市立自然史博物館の研究員さんによる化石クリーニング体験など、地域団体として長く歩んできたからこそできるプログラムを届けています。
「体験の格差の問題がよく言われます。海外旅行を始めとして日常と異なる体験の影響は大きいですが、本当に格差が生じる体験とは、子ども自身が変わる体験であると考えています。大人が子どもに提供する体験ではなく、子どもが変わる体験はお金をかけなくてもできます。人の繋がりから力をもらい、子ども自身の変化が生まれるようにしています」
地域社会の自治に向けて
2025年度で日本財団からの助成期間を終えたゆめのみLaboは、現在、吹田市の重層的支援体制整備事業(地域子育て支援拠点事業)の取り組みの一つである「多様な世代との連携を継続的に実施する活動」として、週3日の居場所を継続しています。
活動資金は安定していませんが、「小学校区ごとに一つ居場所が必要である」という信念のもと、今後も様々な助成金や補助金を活用し、ボランティアの協力も得ながら、活動する予定です。

「居場所を運営するには2つのモデルがあると考えています。一つは喫茶店や商店など生業として収益があるお店がスペースを活かしてCSR活動で居場所を運営するモデル。もう一つが、助成金や補助金を使いながらのボランティアベースでの運営です。都市部は家賃も高く、物件も用途が決まっているケースが多いので、私たちは後者を選びました」
運営費用の確保、ボランティアの声かけなど、様々な困難を乗り越えながらも、水木さんが居場所を軸に多様な活動に取り組むのは、「地域社会に自治を取り戻したい」という想いがあるからです。
「少子高齢化やライフスタイルの変化、そこにコロナ禍で拍車がかかり地域コミュニティが希薄化しています。私は今がなんとかなるラストチャンスだと思っています。でも、ボランティアだけでは立て直しは難しい。コーディネーターとして専門的な視点を持ち、地域が自治で運営されていけるようにやっていきたいんです」
「大阪のベッドタウンで、私たちは自治を獲得できるのかのチャレンジをしている」と、続けた水木さん。2011年から佐竹台の地域住民と始めた活動は、多くの人の共感を得て、年々広がりを見せています。
取材:北川由依
「子ども第三の居場所」に興味をお持ちの方は、ぜひ子ども第三の居場所プロジェクトページをご覧ください。