子ども第三の居場所

子ども第三の居場所とは

すべての子どもたちが、未来への希望を持ち、これからの社会を生き抜く力を育むことのできる機会と環境を提供することは、大人世代の責任です。
しかし現実には、家庭の抱える困難が複雑・深刻化し、地域のつながりも希薄になる中で、子どもが安心して過ごせる居場所がなく、孤立してしまうケースも少なくありません。
日本財団は、すべての子どもたちが安心して過ごせる環境で、自己肯定感、人や社会と関わる力、生活習慣、学習習慣など、将来の自立に向けて生き抜く力を育む「子ども第三の居場所」を全国に拡げていきます。
この居場所が地域のハブとなり、行政、NPO、市民、企業、研究者の方々と協力し、誰一人取り残されない地域子育てコミュニティをつくることで、「みんなが、みんなの子どもを育てる」社会を目指します。
現在、日本財団では「子ども第三の居場所」を全国各地で展開しています。

すべての子どもたちに、安心できる居場所を

活動を動画で知りたい方

「子ども第三の居場所」の活動は動画でご覧いただけます。

将来の自立に向けて「生き抜く力」を育む

子どもたちの困難は家庭や学校だけでは対応が難しく、そもそもの困難が家庭や学校に起因する場合もあります。そこで、子どもたちが孤立しやすい放課後の時間、家庭や学校以外の場である「子ども第三の居場所」で過ごすことで、信頼できる大人や友達と安心して関わりながら、将来の自立に向けて「生き抜く力」を育みます。

「生き抜く力」を育むためには、まず、小学校低学年のうちに食事や歯磨きなど、基本的な生活習慣を整えることが必要です。その上で、自己肯定感や人や社会と関わる力といった非認知能力を高めるためのプログラムを通じて、お互いを尊重・協力し合う経験を重ねます。さらには、発達段階に応じた学習支援を行うことで学力を身につけ、認知能力を高めます。

「生き抜く力の育成」を説明するピラミッド図。下から順番に基本的な生活習慣、非認知能力(自己肯定感、人や社会と関わる力)、認知能力(学力)の3つで構成されている。

大切にしている環境と機会

「子ども第三の居場所」は、子どもたちが生活習慣や学習習慣を身につけることに加え、他者とのコミュニケーションや好奇心を育む機会も大切にしています。

一人ひとりの子どもたちに対する支援だけでなく、保護者も含めて包括的に支援することによって、各家庭の環境や事情に寄り添いながら、子どもの成長を後押しします。

写真:子ども第三の居場所施設

安心して過ごせる居場所

子どもたちが安心、安全に過ごせるよう、居心地のよいスペースを提供。木をふんだんに使った空間で、ゆったりとした放課後の時間を過ごします。

写真:食卓を囲んで子どもたちとスタッフが食事を取る様子

健康を支える食事

栄養バランスの良い食事で空腹を満たすだけでなく、家族のように食卓を囲んでコミュニケーションをとります。準備や片付け、料理体験を通じて、食環境の改善や自立も目指します。

写真:スタッフからアイロン掛けを教わる子ども

正しい生活リズム

入浴や歯磨きの衛生習慣、健全な生活リズム、友達や大人とのあいさつやコミュニケーションといった社会性など、基本的な生活習慣を身につけます。

写真:スタッフが見守る中宿題に取り組む子どもたち

学習サポート

分からないところまで遡りながら個別にサポートしてくれるスタッフによる宿題指導。一人ひとりと向き合い続ける先に、子ども自らの主体的な学びが生まれます。

写真:川でカヌーを漕ぐ子どもたちとスタッフ

体験活動・地域とのつながり

夏休みの旅行や季節行事、地域の催しへの参加など、体験を通して楽しい思い出をつくるだけでなく、チャレンジ精神や人と関係する力を養います。

写真:スタッフと会話する子どもと保護者

保護者へのフォロー

保護者との個別相談の場を設けるほか、子どものお迎えに来たときに積極的に言葉を交わし、日常的なフォローを行うことで、保護者がいつでも頼れる居場所になります。

必要な支援を届けるために

関係機関との連携

子どもの抱える困難は非常に見えにくいため、関係機関が連携して子どもの状況を共有しながら支援につなげるアウトリーチを行うとともに、課題に応じて専門機関につなげることが重要です。「子ども第三の居場所」は、学校や地域、専門機関と積極的に連携し、「誰一人取り残さない地域子育てコミュニティ」のハブとしての機能を担っています。

「誰一人取り残さないコミュニティ」の説明図。連携先の具体例としては、「学校:ソーシャルワーカー、校長、教育委員会等」、「地域:民生委員、放課後児童クラブ、子ども食堂、NPO、町内会、地域住民等」、「専門機関:行政、子ども家庭センター、療育機関、児童相談所、医療機関、NPO等」がある。

地域に合わせた支援モデルを展開

地域に合わせた支援モデル展開の全体像を表した図。日本財団は全国各地の拠点に「開設・運営費の助成(最大3年間)」、「支援企業とのマッチング」、「子ども向けプログラムの提供」、「研修、居場所のネットワーク化」などのアプローチを行い、支援対象の子どもにアウトリーチしている。また、各居場所で収集した子どもの成長データを活用。「研究者や有識者」、「パートナー企業・団体」と連携して効果検証を行い、国や社会に向けて政策提言や機運醸成の活動も行っている。

地域の実態や子どもの成長にあわせた居場所モデルを用意し、適切な支援が行えるようにしています。日本財団は、「子ども第三の居場所」運営団体に対し、運営費の助成、ノウハウの共有、支援企業とのマッチングなど、さまざまな運営支援を行っています。

国や自治体への政策提言

画像「居場所に通うことで子どもに起きた変化」のグラフ。安心面において、「居場所なら安心できると実感する子ども」は7割以上、「居場所ならチャレンジできると実感する子ども」は7割以上、「安心、援助希求等心理的な状態が好転した子ども」は7割以上。生活習慣において、「生活習慣そのものが改善した子ども」は6割以上、「つながりの状況(困ったことや楽しいことがあった時に友だちや大人に話す、一緒に楽しい時間をすごせる友達がいる等)が改善した子ども」は8割以上。学習面において、「学習習慣が改善した子ども」は7割以上、「勉強で分からない点を友達や大人に聞けるよう変化した子ども」は5割以上、「頑張れば結果につながると思うようになった子ども」は6割以上、「将来の夢ややりたいことが思い浮かぶようになった子ども」は6割以上。支援を受ける保護者と子どもの関わりの変化について、「大変な時に家族は味方だと思えるようになった子ども」は6割以上、「子どもとの関わりが増えた保護者」は7割以上、「学校での出来事などの会話が増えた保護者」は6割以上。子どもが居場所に通うことで保護者に起きた変化について、「自身の余力が増えたと感じる保護者」は7割以上、「地域や友人など、周囲と自身のつながりが改善したと感じる保護者」は7割以上、子どもや子育てに関して周囲の大人と会話をすることが増えたと感じる保護者」は約5割。

2022年に実施した調査の結果、「子ども第三の居場所」を継続的に利用している子どもとその保護者は、生活習慣や学習習慣などの改善がみられ、居場所における子どもへの包括的な支援の有効性が明らかになりました。こうした成果を国や自治体に提言することで、困難に直面する子どもが安心して過ごせる居場所を全国に拡充、継続することを目指します。

全国に広がる「子ども第三の居場所」拠点

236拠点(2024年9月末時点)

  • 常設(包括)ケアモデル 62拠点
  • 学習・生活支援 47拠点
  • コミュニティモデル 127拠点
  • 上記地図内のマーカーは、各都道府県の県庁所在に設定されており、実際の施設の所在地とは異なります。

下記より拠点情報の一覧をご確認いただけます。

各地域で「子ども第三の居場所」の開設・運営を希望される団体を対象に、助成事業の申請を募集しております。

より詳しく活動を知りたい方へ

パンフレットでは、より詳しく日本財団の取り組みをご紹介しています。ダウンロードしてご覧ください。

皆さまの温かなご寄付をお待ちしております。

関連リンク

お問い合わせ

日本財団 公益事業部 子ども支援チーム

  • 担当:金子、西川、飯澤、本田、高田、村田、菅原、濱橋

【問い合わせフォーム】「子ども第三の居場所」事業に関する問い合わせ(外部リンク)