子ども第三の居場所

日本財団「子ども第三の居場所」のワンシーン

すべての子どもたちが、未来への希望を持ち、これからの社会を生き抜く力を育むことのできる機会と環境を提供することは、大人世代の責任です。しかし現実には、家庭の抱える困難が複雑・深刻化し、地域のつながりも希薄になる中で、安心して過ごせる居場所がなく、孤立してしまう子どもも少なくありません。
日本財団は、子どもたちが安心して過ごせる環境で、自己肯定感、人や社会と関わる力、生活習慣、学習習慣など、将来の自立に向けて生き抜く力を育む「子ども第三の居場所」を全国に拡げます。ここをハブとして、行政、NPO、市民、企業、研究者の方々と協力し、誰一人取り残されない地域子育てコミュニティをつくることで、「みんなが、みんなの子どもを育てる」社会を目指します。

日本の子どもたちの今

「ご飯はおいしくないからいつもお菓子を食べる」、「夜遅くまでゲームをして疲れたら寝る」、「先生に何を聞いたらいいか分からない」、「家にいるとママに怒られる」
食生活や生活リズムの乱れ、学習の遅れやネグレクト等、日本の子どもたちは今、様々な困難に直面しています。

安心して過ごせる居場所で、小学校低学年から「生き抜く力」を育む

子どもたちの困難は家庭や学校だけでは解決が難しく、そもそも困難が家庭や学校に起因する場合も少なくありません。日本財団は、子どもたちの孤立しやすい放課後の時間に、家庭や学校以外の場で、信頼できる大人や友達と安心して過ごし、将来の自立に向けて「生き抜く力」を育む「子ども第三の居場所」を全国に設置しています。

写真:大人2名、子供2名で食卓を囲み食事をする様子

大切にしている「5つの機会」とモデルケース

安心して過ごせる居場所、栄養バランスのとれた食事、基本的な生活習慣、それぞれの子どもに寄り添った学習支援、非認知能力を育む体験の5つの機会を、地域の実態に応じたモデルで子どもたちに提供しています。

安心・食事・生活習慣・学習・体験

データに基づく効果検証と政策提言

子どもたちのデータを中長期的に集め、「子ども第三の居場所」の有効性を検証し、政策提言を行います。

あらゆるパートナーとともに、より多くの子どもたちへ

行政・NPO・市民・企業・研究者など、たくさんのパートナーとともに取り組んでいます。

寄付活用レポート

「子ども第三の居場所」の最近の活動をお知らせいたします。

寄付で支援する

日本財団では、「子ども第三の居場所」を全国に拡げていきます。「子ども第三の居場所」1カ所の建築には約2,000万円~5,000万円、運営には年間約1,000~2,000万円が必要です。あなたからの寄付は全額、「子ども第三の居場所」の活動に大切に活用させていただきます。

寄付の状況 2022年9月末現在
8億1,863万7,864円

日本財団への寄付 4つの特徴

  1. 寄付金はすべてを支援活動に活用します
  2. 50年以上の助成実績があります
  3. 寄付者の皆さまにきちんと報告します
  4. 税制上の優遇措置が受けられます

困難に直面する子どもたちの声

イラスト:家にいるとママに怒られる。

土日になると「19時まで帰ってきちゃだめだよ」と家を出される。神社や公園、スーパーを一人ぶらぶら。友達が帰った後の暗くなった公園で遊んでると涙が出てくる。私が居てもいい場所ってあるのかな。

イラスト:ご飯はおいしくないからいつも好きなものを食べてる

食事は一人、菓子パンが多いよ。ここで晩ご飯がもらえるけど、おかずとか野菜は変な味、いつも家で食べてるお醤油をかけたご飯の方が好きだな。

イラスト:好きなだけゲームをして疲れたら寝る。

朝決まった時間に起きれない。夜子どもだけの時が多くて、遅くまでゲームしちゃうから。お母さんは家にいる時はずーっと寝てるし、お兄ちゃんも学校に行かない。僕は学校に行きたいけど…起きたら昼になってる。

イラスト:先生に何を聞いたらわからない。

分からないから宿題はしない。だから先生に怒られる。今2年生だけど、ひらがなが全部書けない。算数は分からないところが分からない。お父さんは忙しくて教えてもらえないし。今日も宿題は忘れたフリ。

イラスト:先生に何を聞いたらわからない。

夏休みの家族旅行なんてないから、海や山に行ったことも、船や飛行機に乗ったこともない。やりたいことが何もない。夢とか、大人になったら何になりたいとか、きっと僕には関係ない。

「子ども第三の居場所」全体像と全国の拠点

安心して過ごせる居場所で、小学校低学年から「生き抜く力」を育む

子どもたちの困難は家庭や学校だけでは解決が難しく、そもそも困難が家庭や学校に起因する場合も少なくありません。そこで、子どもたちの孤立しやすい放課後の時間に、家庭や学校以外の場で、信頼できる大人や友達と安心して過ごし、将来の自立に向けて「生き抜く力」を育む「子ども第三の居場所」が必要です。

生き抜く力の育成ピラミッド図。基本的な生活習慣、非認知能力(自己肯定感、人や社会と関わる力)、認知能力(学力)。

ここでは「生き抜く力」を育むために、小学校低学年のうちに食事や歯磨きといった基本的な生活習慣を整えた上で、自己肯定感や人や社会と関わる力などの非認知能力を高めるプログラムや、発達段階に応じた学習支援を実施しています。

関係機関と連携して必要な子どもに支援を届ける

子どもの抱える困難は非常に見えにくいため、関係機関が連携して子どもの状況を共有し支援につなげるアウトリーチを行うとともに、課題に応じて専門機関につなげることが重要です。「子ども第三の居場所」は、学校や地域、専門機関と積極的に連携し、「誰一人取り残さない地域子育てコミュニティ」のハブとしての機能を担っています。

誰1人取り残さない地域子育てコミュニティの図。地域(放課後児童クラブ、子ども食堂)から子ども第三の居場所へアウトリーチ。専門機関(子ども家庭支援センター、療育機関、児童相談所、病院等)と子ども第三の居場所の連携。課題に応じて専門機関へ。学校(ソーシャルワーカー)から子ども第三の居場所へアウトリーチ。

地域の実態に応じたモデルで全国展開

「常設ケアモデル」「学習・生活支援モデル」「コミュニティモデル」の3つのモデルで展開し、地域の実態に応じた運営が行えるようにしています。「子ども第三の居場所」運営団体には、日本財団から運営費助成、ノウハウ共有、支援企業とのマッチングなどの運営支援を行っています。

3つのモデルと運営支援体制

3つのモデルと運営支援体制図。日本財団「子ども第三の居場所」パートナー企業から日本財団へ体験プログラム、おもちゃや本、食事等の提供。日本財団から子ども第三の居場所へ運営費助成(3年間)・研修・支援企業とのマッチング。日本財団は各居場所の情報収集を行う。子ども第三の居場所3つのモデル 常設ケアモデル、学習・生活支援モデル、コミュニティモデル。世帯の課題 虐待、ネグレクト、不登校、発達障害、ひとり親、共働き孤立、生活保護世帯、就学援助世帯。

「子ども第三の居場所」拠点マップ

134拠点(2022年10月時点)

  • 常設ケアモデル 42拠点
  • 学習・生活支援 24拠点
  • コミュニティモデル 68拠点
  • 開設準備 45拠点、全179拠点
子ども第三の居場所拠点一覧。北海道3拠点、青森県1拠点、秋田県1拠点、新潟県3拠点、長野県9拠点、石川県1拠点、千葉県3拠点、茨城県2拠点、栃木県4拠点、群馬県1拠点、埼玉県10拠点、東京都10拠点、神奈川県1拠点、静岡県2拠点、愛知県2拠点、富山県1拠点、三重県1拠点、京都府4拠点、奈良県1拠点、滋賀県1拠点、大阪府13拠点、兵庫県4拠点、岡山県6拠点、広島県4拠点、徳島県3拠点、香川県2拠点、愛媛県1拠点、高知県1拠点、鳥取県1拠点、島根県2拠点、山口県4拠点、福岡県2拠点、佐賀県5拠点、長崎県2拠点、熊本県7拠点、大分県2拠点、宮崎県1拠点、鹿児島県2拠点、沖縄県11拠点。

北海道(3:東神楽町×2、積丹町)/青森県(1:青森市)/秋田県(1:秋田市)/新潟県(3:燕市、胎内市、新潟市)/長野県(9:長野市、大町市、御代田町×2、諏訪市、松川町、伊那市、佐久市、軽井沢町)/石川県(1:穴水町)/千葉県(3:山武市、木更津市、東金市)/茨城県(2:笠間市、つくば市)/栃木県(4:大田原市×2、芳賀町、市貝町)/群馬県(1:みどり市)/埼玉県(10:戸田市、和光市、嵐山町、さいたま市×3、横瀬町、久喜市、三芳町、入間市)/東京都(10:渋谷区×2、大田区、清瀬市、江戸川区、豊島区、荒川区、調布市、青梅市、多摩市)/神奈川県(1:横浜市)/静岡県(2:三島市、御殿場市)/愛知県(2:長久手市、犬山市)/富山県(1:高岡市)/三重県(1:伊勢市)/京都府(4:南丹市、京都市×3)/奈良県(1:天理市)/滋賀県(1:彦根市)/大阪府(13:箕面市×2、摂津市、泉佐野市、高槻市、大阪市×6、寝屋川市、堺市)/兵庫県(4:尼崎市×3、明石市)/岡山県(6:備前市、美作市×3、奈義町、笠岡市)/広島県(4:尾道市×2、廿日市市、大崎上島町)/徳島県(3:鳴門市×2、徳島市)/香川県(2:丸亀市×2)/愛媛県(1:今治市)/高知県(1:須崎市)/鳥取県(1:鳥取市)/島根県(2:雲南市、益田市)/山口県(4:宇部市、下関市、萩市、山口市)/福岡県(2:久留米市、水巻町)/佐賀県(5:唐津市×3、基山町、佐賀市)/長崎県(2:大村市、長崎市)/熊本県(7:玉名市、大津町、熊本市×5)/大分県(2:杵築市、豊後大野市)/宮崎県(1:宮崎市)/鹿児島県(2:和泊町、知名町)/沖縄県(11:うるま市×3、沖縄市×2、宜野湾市、本部町、浦添市×3、那覇市)

「子ども第三の居場所」モデルケース

1.常設ケアモデル

対象児童、小学校低学年の子ども(計20名程度)。営業時間、月曜から金曜、放課後から20時(帰宅は保護者による送迎)。設備仕様、リビング、学習・読書スペース、キッチン、風呂場、相談室。スタッフ、3から5名(職員・ボランティア)。プログラム、居場所提供、生活習慣形成、学習支援、食事提供。利用料金、応能負担、ひとり親家庭や生活困窮世帯は基準に該当すれば無償。とある拠点での1日タイムテーブル。14時から15時 宿題や個別学習。毎日の宿題だけでなく、一人ひとりに合わせて苦手も無くします。15時から16時 おやつ。16時から17時 外遊びまたは体験活動。17時から18時 わくわく読書タイム。読書や読み聞かせに加えて、ゲーム形式でみんなで同じ本を読むなどの体験活動も行います。18時から19時 夕食。バランスの良い夕食を毎日提供します。調理や片づけをお手伝いし、皆で食卓を囲みます。19時から20時 自由時間。20時以降 お迎え、保護者とお話し。

特徴1:少人数制で子どもにとって居心地のいい場所

困難に直面している子どもをサポートするための居場所です。少人数制で目が行き届きやすく、心理的な不安等の子どもの小さな変化に丁寧に対応します。また、生活・学習習慣に加え、自己肯定感や好奇心を育む、子どもたちが来たくなる居場所です。

特徴2:多様な機関と連携した手厚い支援

自治体、学校、民生委員、子ども支援の専門家(ソーシャルワーカー)、関係機関と連携し、子どもが抱える課題の解決に取り組みます。

特徴3:保護者支援

子ども支援だけでなく、保護者にも寄り添い、子どもへの対応方法等の相談にのり、共に考えます

2.学習生活支援モデル

対象児童、小学校~高校生40名登録。営業時間、居場所 月・水・金、地域活動 第2・4土曜。設備仕様、学習室、相談室、休憩室、キッチン。スタッフ、職員2名、アルバイト2名、学習ボランティア。プログラム、学習支援、体験活動、食事(希望者)カウンセリング/進路相談。利用料金、応能負担、ひとり親家庭や生活困窮世帯は基準に該当すれば無償。とある居場所での1日タイムテーブル。小学生は14時から16時 全体学習や個別学習。16時から17時自由時間。17時から18時体験活動。18時以降に夕食/帰宅。中学生は17時から19時 全体学習や個別学習。19時から20時夕食/帰宅。20時から21時希望者で体験活動、個別指導。21時以降に帰宅。画像下側に、施設のイメージ写真と写真についての説明文章「友だちと楽しく過ごせる休憩室、学校・学年を超えて皆で遊びます。」「学校から帰ったら宿題。分からない所は個別指導で対応。」「体験活動では地域ボランティアが大活躍!子どもたちのワクワクの時間です。」「保護者と一緒に個別指導の時間。包括的に支援します。」「土曜日は教室のみんなで、社会見学やボランティアへ。」

特徴1:学習習慣、生活習慣の定着

学習の前提としてまず学習習慣、そして学齢にあわせた学力を身につけます。また、体験や人との関わりを通して教科学習とは異なる学びを得たり、行動や生活リズムの乱れを改善する支援を行います。

特徴2:カウンセリング/進路相談

定期定期に学校生活の悩みや進路決定のためのカウンセリングを実施します。また、保護者も含め包括的な支援で子どもの成長を後押しします。

特徴3:様々な学びや生活の課題に対応

学習の遅れ、不登校、発達課題等、それぞれの子どもの学びや生活上の課題に対応します。

3.コミュニティモデル

対象児童 小学生から高校生30名程度、子ども食堂開催日100名。営業時間 居場所 火水木曜(土日開放)。カフェ 11時から19時(月曜定休)。設備仕様 学習室、遊び場、カフェ、畑。スタッフ 職員2名、ボランティア6名。プログラム 学習支援、体験活動、おやつ。第2、第4土曜は子ども食堂。利用料金 無償。カフェ利用は有料。とある拠点での1日タイムテーブル。カフェ 11時から13時 ランチ。13時から16時 おやつづくり(ボランティア)。18時から19時 夕食提供(有料)。夕食はカフェを利用。支援が必要な子どもは無料です。19時以降 帰宅。学習室・遊び場 11時から13時 地域サークル活動。子どもだけでなく、地域の居場所としても活用。14時から16時 おやつ、宿題、遊び、収穫体験。シニアボランティアと畑に行ったり、思い思いに過ごします。16時から18時 学習支援や体験活動(ボランティア)。ボランティアに教えてもらいながら宿題の時間。子どもたちの相談相手にも! 18時以降 帰宅。

特徴1:多世代が交流する居場所

地域の方が気軽に立ち寄れる居場所です。多世代と関わることで、人と接する力や自己肯定感を高めます。また、地域の人々の繋がりを深め、課題がある子どもの早期発見や見守り、学習支援を行います。

特徴2:地域資源の活用

子どもたちに、より多くの体験機会を提供するため、地域の既存の建物や農作物を使ったり、学生・高齢者ボランティア、地元の企業の協力を得るなど、地域資源を有効活用します。元教員による学習支援も。また、カフェや弁当販売等の自主事業で収益を得て、地域密着型で事業を継続します。

効果検証と政策提言

大学の研究者の協力のもと、自治体と調査研究に関する協定書を締結し、子どもたちのデータを追跡収集することで、「子ども第三の居場所」の有効性を検証します。検証結果等を踏まえて、国や自治体に有効施策を提言します。

「子ども第三の居場所」応援メッセージ・パートナー企業

中室牧子氏 慶応義塾大学総合政策学部教授

質の高い教育支援は社会全体の大きな利益に(研究者の声)
日本の就学期の児童のおよそ7人に1人が生活困窮家庭に暮らしています。ある雑誌に、保護者が深夜まで働くため、行き場を失った子どもがたむろするのを追い払うために、駐⾞場にモスキート⾳を流しているという記事が載っていて、思わず絶句しました。社会全体で子育てをする雰囲気が失われてしまっているのです。貧困の連鎖を放置すれば、潜在的な納税者を減少させるだけで、結局、社会的損失は大きくなります。海外の優れた研究では、子どもらに質の高い教育的支援によって、子どもの貧困に正面から取り組めば、社会全体にとって大きな利益となることを示したものが多くあります。当事者だけでなく社会全体でこの問題を解決しようとすることが大切ではないでしょうか。

写真:中室牧子氏

李炯植氏 (特非)Learning for All 代表理事

子どもを支える地域の支援のハブに(運営団体の声)
子どもの貧困解決のためには、子どもたちが生活を通して自立する力を養える安心安全な居場所、そして関係機関と連携して子どもを支える地域支援のハブが全国に必要です。私たちの団体が運営する「子ども第三の居場所」は2016年に第1号拠点として開設以来、実践を重ねその両方の役割を果たしてきました。ソーシャルワーカーと密に協力しながら、行政や学校と連携したアウトリーチやブリッジングを行うことで子どもたちに必要な支援を届け、さらに個別支援計画に沿った手厚い支援も提供しています。これからも子ども・世帯・地域にとってかけがえのない「子ども第三の居場所」として活動して参ります。

写真:李炯植氏

石畑晴章氏 (社福)尾道市社会福祉協議会 地域コーディネーター、元小学校長

子どもは変わる・家庭も変えられる(地域コーディネーターの声)
子どもたちに背負わされた困難は、社会や学校の中で気づきづらく、見えづらくなっています。「子ども第三の居場所」では、適切な学習支援と同時に、社会資源等を活用した体験や経験を積ませることで、将来の学びにつながる数値に現れない非認知能力の育成からも子どもと家庭の自立を目指しています。学校の教育方針も大切にしながら、“子どもは変わる・家庭も変えられる”を合言葉に、子どもたちの一隅を照らし、人生の生き方の種まきができたらと考えています。

写真:石畑晴章氏

パートナー企業

関連リンク

お問い合わせ

日本財団 子どもサポートチーム

  • 担当:金子、野本、吐師、高田、渡邉、佐藤、村田、藤井、飯澤
  • メールアドレス:100_kodomo_support@ps.nippon-foundation.or.jp