未来を拓く出会いの場所に。徳島県鳴門市に第三の居場所がオープン。

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第三の居場所オープンに向けて準備中。

2019年8月1日、徳島県鳴門市に、第三の居場所が新たにオープンしました。取材に訪れたのは、オープンを控え慌ただしく準備が進む、7月下旬。リーダーの酒井美里さん、そしてスタッフの皆さんが迎えてくれました。

鳴門市と共同でつくる第三の居場所

写真:室内の様子
絵本やおもちゃなどが置かれており、子どもたちが楽しく遊べるような空間になりました。

本施設を運営する母体となるのは、鳴門市の第1号NPO法人として20年以上福祉領域で活動してきたNPO法人山びこへるぷ。高齢者向けの輸送サービスや子どもの預かりなど、介護・子育て分野で住民に寄り添ったサービスを展開しています。
第三の居場所を運営することになったのは、「継続的な子育て支援の事業を検討していた時に、日本財団の子どもの貧困対策プロジェクトを自治体やインターネットで知ったことがきっかけ」と子育て支援事業部リーダーの酒井さんは話します。第三の居場所は、子どもたちに寄り添い現場運営を担う団体と、困難な状況を抱えた家庭の情報を把握している行政の連携が不可欠。山びこへるぷと鳴門市、そして研究機関である鳴門教育大学の協力を得て、オープンに向けて準備を進めてきました。

研修を重ね、準備万全

開設にあたり、山びこへるぷではスタッフ研修を重ねてきました。施設のビジョン、ミッション共有からはじまり、安全管理や子どもとの関わり合い方、そして実践に備えたロールプレイングまで、専門家を交えながら対話し、受け入れ体制を整えました。

写真:ロールプレイ資料
現役大学生からシニアまで、多様な立場の方がスタッフとして関わっています。

取材で訪れた日は、ロールプレイングを通じて、さまざまな状況を想定、それに対してどのような行動を取るのが良いか意見を交わしました。例えば、「学校帰り、施設に来た子どもの元気がなかったら?」との問いには、「『どうしたの?』と声をかける」と答える一人のスタッフ。すると別のスタッフが、「いや、声はかけずにそっとしておいた方がいいのではないか」、そこにさらに別のスタッフが「声をかけなくてもスタッフ同士で、子どもの様子は共有したいね」など、話を深めていきました。
酒井さんは「子どもへの対応に正解はありません。だからこそ、スタッフ間でどういうケースがあるのか想定することが大切」と考え、ロールプレイングを取り入れたそうです。

海外で見た子どもの貧困

そもそも酒井さんが、子育て支援に取り組むことになった背景には、海外で見た子どもの貧困問題があります。「山びこへるぷの仕事に就く以前は、海外で音楽教師をしていました。マレーシアに住んでいた頃、街や家に卵やお菓子を売りに来る貧困の為に就学より家族の為に働いている子どもたちに出会いました」。

写真:絵本「村の樹」を紹介する酒井さん
この日読まれた、絵本「村の樹」は、第三の居場所のあり方のヒントにもなっています。

彼らの将来の為に自分にできることはないかと考えた酒井さんは、子ども向けのエデュケーショナルコンサートやチャリティーコンサートを現地にて10年間開催。子どもたちは笑顔になりとても喜んだそうです。しかし、「コンサートは一期一会。子どもたちを貧困から救うには、継続した支援が必要です。何もできない自分に悔しさでいっぱいでした」。

将来につながる出会いが生まれる場所に

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研修のロールプレイングの様子。

子どもたちを継続的に支援したい。そんな思いから生まれることとなった第三の居場所。ここをどのような場所にしていきたいと考えているのでしょうか。
「子どもたちにとってリラックスできる場所にしたいです。学校では緊張して過ごしていると思うから、家のようにくつろいでほしい。そして学習支援と生活支援を通して、子どもたちの生きる力を育みたいです」。
その上で、酒井さんはさらに大きな未来も描いています。
「スタッフには、元教師もいますし、美術や工作、調理など得意分野を持った人たちが集まっています。尊敬する人に出会えたり、好きなものを見つけたり。将来につながる、出会いのきっかけが生まれる温かい場所に育てていきたいです」。

8月から始まった徳島鳴門市の第三の居場所。この場が、子どもたちにとって楽しい場になるよう、日本財団は運営団体と密に連携し継続的に取り組んでいきます。

取材:北川由依

寄付の状況 2019年9月末現在
3億51,99万7,279円

日本財団子どもサポートプロジェクトロゴ

日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。