出張プラネタリウムで星空体験!一般社団法人星つむぎの村の取り組み

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こんにちは。国内事業開発チーム 難病の子どもと家族を支えるプログラムチームです。

病院に星空を届けよう

光り輝く満天の星に、「わあ!」と子どもも大人も一斉に歓声を上げます。

実はこれ、病院内に設置されたドームの中に映し出されたプラネタリウム。難病や障害を持つ子どもたちに、普段見ることのできない星空を体験してもらおうと、一般社団法人星つむぎの村が「病院がプラネタリウム」事業として提供しているプログラムです。代表の高橋真理子さんは、仲間と共に2018年度は79もの病院を訪問。病院の他にも特別支援学校や施設など、呼ばれれば全国どこへでも、車にドームとパソコン、プロジェクターを積んで駆けつけます。

車いすやバギーに乗った子どもたち、親や保育士、医療従事者たちもドームに入って、星空を体験します。みんなの誕生日の星座を見た後に、地球を飛び出して、銀河系、さらに遠く宇宙の果てまで宇宙旅行。やがて地球に戻り、宇宙から地球を見つめます。

「私たちは星のかけらでできています。この広い宇宙の地球という星で、長い命のリレーの果てに私たちがこの瞬間に生きていて、みんなと出会ったのは奇跡のようなことですね」と高橋さんは語りかけます。

声を上げて喜びを表す子どもや、最初は無表情だったのが、目を輝かせ、いきいきした笑顔を見せる子どもたち。親は子どもの変化に驚き、時には涙し、自らも星を見ることで癒されると言います。

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普段見上げている天井の上には、広くて深い宇宙があるんだね!ドーム内の投影風景

大型ドームを導入!

高橋さんは、前の職場である山梨県立科学館のプラネタリウムで働いていた頃、山梨大学附属病院小児科の犬飼岳史医師と出会い、病院で初めてプラネタリウムを上映しました。以前から病児などの星を見られない人にも星や宇宙の魅力を知ってほしいとの思いを胸に抱いていた高橋さんは、その時のいきいきとした子どもたちの反応に手ごたえを感じ、活動を続けます。その5年後の2013年に独立し、移動プラネタリウムの活動などを開始。その中の「病院がプラネタリウム」事業は、口コミで次々と声がかかり訪問数は増え続けていきました。ドームに入る前と後では明らかに子どもたちの表情が違うと言い、実際に重度心身障者は集中力が高まりリラックス効果があったという国立病院機構甲府病院の保育士による研究結果も発表されました。

2013年から直径4メートルのドームを使っていましたが、2018年には直径7メートル、高さ4.5メートルの大型ドームを導入し、一度に50人が体験できるようになりました。バギーが入る数も5、6台から15、6台となり、特別支援学校でもプラネタリウムを体験できる人数が格段に増えて喜ばれています。

写真:プラネタリウムを鑑賞する子どもたちの様子
みんなで一緒に星を見たね。一体感が生まれます。

人材育成〜星がみんなの心をつなぐ

プラネタリウムを通した数多くの出会いの中でも、特に忘れられない家族がいます。いつも明るい笑顔のひなたちゃん。小児がんのために片目を摘出するという壮絶な治療に立ち向かう中、出張プラネタリウムを体験。それがひなたちゃんと家族の心の支えになりました。

高橋さんが届けたプラネタリウムを楽しんだ4カ月後、ひなたちゃんは3歳と8カ月でお星様になりました。

「悲しみにうちひしがれて部屋から出られずにいる人たちの気持ちが痛いほど分かります。苦しんでいる方や、必要とする方に自分ができることをお届けする。それが高橋さんや、いろんなことをしてくださった方への恩返しだと思います」と、お母さんは地元の新潟でのプラネタリウムを企画し、ナビゲーターとしてデビューを果たしました。

ひなたちゃんのご家族のように、星つむぎの村の活動に共感し仲間に加わりたいと、ボランティアは100人以上に増えています。その人材育成の場として、2018年度に合宿講座を二度開催しました。1回目はリスクマネジメント、心の問題がテーマでした。ひなたちゃんの両親の経験を交えたディスカッションをして、人の気持ちに寄り添うとはどういうことなのか、みんなでコミュニケーションの在り方を考えました。2回目は実際の夜空を見ながらガイドの練習をしたり、投影機やパソコンの使い方などのノウハウを学びました。

写真:プラネタリウムを鑑賞する子どもたちの様子
たくさんのお星さまが輝いているね。その中の地球に、山も海も川もみーんな生きているんだね。

星がつむぐ、これからの物語

「星を見ると心が開放され、素になれる。大きな宇宙の視点から見ると、自分の悩みなんてちっぽけに感じ、全てが愛おしいものに変わります」と高橋さん。「大自然の中に行くと生きている奇跡を実感させてくれますが、星は最も身近で最も広大な自然。普段はそこまで感じない人が多いだろうけれど、我々が物語を提供することで何かを感じてもらうきっかけになれば」。

「悩んでいた心が解放されました」と長い感謝の手紙をくれた重度心身障害児のお母さんが、八ヶ岳に拠点を持つ星つむぎの村での一般向けの星空観察会に、家族総出でやってきた事もありました。初めての旅行に、きょうだいの女の子がとても嬉しそうにしていたのが印象的だったそう。

同じ思いを持って活動できる人を増やすため、広報にも力を入れたいとホームページを全面リニューアル。遠く離れた場所を繋いでプラネタリウムを同時に上映する新しい試みも始めました。

全ての病院にプラネタリウムが常設されるという大きな目標に向かって、高橋さんと仲間たちは、今日も全国の病院に星空を届けます。

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高さ4.5メートルの大型ドーム。50人が一緒にプラネタリウムを鑑賞することができます。

「日本財団 難病の子どもと家族を支えるプログラム」では、日本全国に難病の子どもと家族の笑顔を増やしていきます。

難病の子どもと家族を支えるプログラム

一般社団法人星つむぎの村

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文責 ライター 玉井 肇子
日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム 中嶋 弓子

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