地域で連携して子どもを支える、長野県のコミュニティ型モデル

写真:長野県 第三の居場所の内観
第三の居場所のコミュニティ型モデルとして注目される、長野県を訪れました。

日本全国にある第三の居場所。その多くは日本財団が直接支援し、運営のお手伝いをしています。そんな中、長野県では、長野県みらい基金・長野県・日本財団が三者協定を結び、より地域密着の支援体制を整えています。

地域の力でつくる子どもの居場所

ご案内いただいたのは、長野県みらい基金の高橋潤さん。理事長として、数々のNPOの伴走支援の経験をお持ちです。
第三の居場所オープンに関して、長野県みらい基金が担うのは、日々の運営サポートに加え、ファンドレイジングや自主事業構築などの経営力を鍛えること。そして県と協力して、地域、学校など様々な現場との支援体制を整えることです。

写真
長野県みらい基金の高橋潤さん

「第三の居場所をオープンする際、通常なら団体を新設しスタッフを雇用、活動をゼロから始めます。しかし私たちが支援する拠点は、もともと地域密着で子育て支援や学習支援、高齢者の居場所づくりをしてきた団体ばかり。既存の枠組みやノウハウを生かせるので、より確実なサービス提供が可能です」。

ノウハウを生かした拠点運営

高橋さんの案内でまず訪れたのは、2019年9月末にオープンした諏訪市にある第三の居場所 諏訪拠点。駅から徒歩数分、商店街の一角にあります。

写真
諏訪拠点の内観。以前ラーメン屋さんだった場所をリノベーションしたため、こあがりがあります。

ここは以前より、週1回学習支援をしていましたが、第三の居場所として稼働するにあたり開館日を毎日に変更(現在は日、月は休館日)。コンセプトを「多世代型の居場所」に定め、主に昼間は高齢者の憩いの場として、午後は子どもの居場所として生まれ変わりました。日本財団の資金提供を受け、ゆくゆくは週5回の学習支援、週3回の食事提供などを実施する予定です。

「小・中学生の学習支援を、高校生がサポートし、活動拠点の建物は格安でオーナーからお借りしています。メンバーが以前から諏訪で様々な活動をしてきたからこそ、拠点オープンにあたり、地域のみなさんから様々な支援をいただけています」と話すのは、拠点を運営する「末広プロジェクト」の代表を務める石城正志さん。常時開館は初めての経験のため不安もあるようですが、「ここを拠点として取り組みたいことが次々とアイデアになって出てくる」と楽しそうに話す姿が印象的です。

写真
石城代表。本棚をどんな本で埋めていくかも、みんなでアイデアを出し合って決めていくそう。

地元企業との協働で、より充実する拠点活動

次に訪れたのは、長野県南部の松川町にオープン予定の拠点。以前から、地元企業のスペースを間借りして、子どもの学習支援や子ども食堂を通じた居場所づくりをしてきました。

代表の篠田阿依さんは、「松川町には農家が多いので、子ども食堂に使う野菜やフルーツをたくさん提供していただいています。調味料を購入する以外、食材は買わずに済むほどです」と地域の方へ感謝の意を表します。

写真
篠田さん。新たな拠点は幼稚園や小学校の近くにあるので「放課後に、気軽に寄れる場所にしたい」と話します。

現在は、第三の居場所 松川拠点としてサポートを受けると同時に、地元企業の全面的な協力を得て、新たな活動拠点をリノベーション中です。

「新たな拠点では、学習支援スペースに加え、活動を支える収入源としてカフェをオープン予定です。子育て中のママや高齢者にとっても、気軽に足を運んでいただける場所になればいいですね」。

第三の居場所開設・運営における中間支援組織の役割

諏訪市と松川町の拠点の他、新たに2拠点を長野県ではオープンします。複数拠点展開を可能にしているのが、中間支援組織としての役割を果たす長野県みらい基金の存在です。

「日本財団からの支援は3年。その間に、各拠点それぞれのノウハウを生かし様々なことにチャレンジし、自走していける仕組みを作ることを目指しています。そのために、僕たちはきめ細やかなサポートをしていきます」と高橋さんは話します。

写真
カフェとしてオープンするスペース。地元の木を使った温もりある空間です。

訪れた拠点のみなさんにお話をお伺いする中でも、「困ったことがあったら、まず長野県みらい基金さんに相談しています」、「こまめにコミュニケーションを取れるので、お願い事もしやすい」という声を聞きました。
長野県みらい基金のように、日本財団と第三の居場所運営団体のつなぎ役となるような地域に密着した窓口団体があると、より細やかで行き届いた支援が可能になり、継続的なサービス提供につながりそうです。

今秋、長野県では4ヶ所同時に第三の居場所がオープンします。
企業のバックアップを受け運営する松川拠点。さびれた駅前の商店街で活動する諏訪拠点。他にも住宅街のど真ん中にオープンした長野拠点。
4拠点それぞれ、居場所に集まる人も、子どもからシニアまで様々。応援してくれる人も、居場所のメイン事業も異なります。しかし、地域性があることが強みであり、互いに知恵を出しあいながら、地域で支え合える居場所に育てていくモデルとして、全国のモデルケースになっていくのでしょう。

日本財団は、行政、NPO、企業、市民、あらゆる立場の人々と連携して、みんながみんなの子ども育てる社会をつくるために活動していきます。

取材:北川由依

寄付の状況 2021年4月末現在
5億8,449万9,634円
日本財団子どもサポートプロジェクトロゴ

日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、「日本財団子どもサポートプロジェクト」として一元的に取り組んでいます。